ブラウントラウト(Salmo trutta)
1 主なブラウントラウトの生息地
2 ブラウントラウトのルックス・表情
3 ブラウントラウトの運動能力・賢さ
4 ブラウントラウトのサイズ
5 ブラウントラウトのライフサイクル
6 はじめてブラウントラウトを狙うならココ
- 鳥崎川(渡島管内森町)
- 静内川(日高管内新ひだか町)
- 士幌川(十勝管内士幌町ほか)
- 千歳川(石狩管内千歳市)
- 支笏湖(石狩管内千歳市)
- その他、一部の湖と河川に分布
北の大地「北海道」のブラウントラウトは、
自然繁殖によって世代交代を繰り返した
俗に言う「ワイルドブラウン」。
本州では、長野県の上高地を流れる梓川など
一部の河川を除いては、
ブラウントラウトの自然繁殖は
確認されていないことからも、
北海道が、いかにブラウントラウトの生息に
適した場所であるかが、よくわかる。
一方、その魚食性の強さゆえ、
北海道では移植禁止魚種に指定されてしまった
悲しき運命の魚でもあるのだ。
そのルックスは、
湖を回遊するシルバーメタリックタイプと、
居付きの「The 茶鱒」タイプがいる。
この違いには、生息環境のほか、
もともと持っている
遺伝子の影響もありそうだ。
表情も、いかにもワルそうなタイプと
スッとした上品なタイプの2種類がいる。
ニジマスのような派手さはないものの、
「茶鱒」の名に恥じない落ち着いたトーンの
美しさを備えているのも特徴と言えるだろう。
本州の管理釣り場のブラウントラウトは、
ウネウネとしたファイトをする印象があるが、
北海道のワイルドブラウンは、ヒット後、
激しいジャンプファイトを繰り広げることが
圧倒的に多い。
ニジマスに比べると非力ではあるが、
それでもアングラーを熱くさせるだけの
パワーとスピードは秘めていると言えよう。
性格は、魚食性の強さから
大胆な面ばかりが強調されがちだが、
実は、ニジマスよりも
はるかに繊細な一面を持つ。
「賢い」と言うよりは、
「臆病」と言ったほうが
ニュアンス的には正確だろうか。
ブラウントラウトは大型に成長する。
北の大地の豊かな環境の下では、
なおさらである。
小渓流などのフィールドでは、
小型魚が多い場所もあるけれど、
湖や本流では、50cmクラスで
ほぼアベレージ。
60cm、70cmは珍しくなく、
90cmオーバーも年間に数本は上がる。
それくらい、ここ北海道には
大型のブラウントラウトが生息している。
最近は、秋産卵の個体も確認されているが、
基本的には、ブラウントラウトは
冬~春に産卵する。
<1月~2月>
ブラウントラウトの越冬期間。
スポーニングの個体も混じるので、
この時期のブラウントラウトは
そっとしておいてあげたい。
<3月~4月>
産卵を終えたブラウントラウトが
荒食いするシーズン。
一年でもっとも
数も型も期待できる季節と言えよう。
ただし、コンディションは
まだまだ回復途上の個体が多いのも事実。
できるだけ、コンディションの回復した
回遊系の魚を狙いたいところだ。
<5月~6月>
荒食いを終えたブラウントラウトが
劇的にコンディションを回復するこの季節、
ショートバイトが多発するようになって、
明らかに魚の反応がシビアになってくる。
それでも、6月の上旬になって、
春ゼミが鳴き出すと、
魚が水面を強く意識するようになる。
いよいよ、トップウォーターゲームが熱い
シーズンの到来だ。
<7月~8月>
湖の水温が上昇するこの季節、
低水温を維持した小河川に
メインフィールドが移行する。
テレストリアルを意識する魚たちを
繊細なアプローチで攻略する
ゲームが面白い。
<9月~11月>
いよいよ、
北の大地「北海道」のブラウントラウトが、
最高のコンディションとなって、
アングラーを迎える。
秋を迎え、湖や河川の水温低下が始まると
ブラウントラウトの活性は一気に上昇。
特に湖では、魚が岸寄りし始め、
朝夕は、水深が人間の膝くらいの
シャローエリアに差し込んでくる
大型の個体もいる。
この季節こそ、
肌艶のいいハイクオリティーな魚体を
手にするチャンスであると言えよう。
<12月>
残り僅かな釣りシーズンだが、
まだまだ、ブラウントラウトは活発に
ベイトを追う。
モノトーンの景色の中でロッドを振るのも
なかなか良いものである。
ただし、積雪状態になることも珍しくなく、
エントリーするには十分な注意が必要だ。
☆ 支笏湖
北の大地「北海道」で、
ワイルドなブラウントラウトを狙うなら、
ここを置いてほかにないだろう。
釣れないことで
有名になってしまった感のある
ここ支笏湖であるが、
実のところ、魚のストック量は豊富で、
時期とアプローチさえ間違えなければ、
かなりの確率でワイルドブラウンを
キャッチできるに違いない。
実際、春と秋のベストシーズンなら
1日あたり、3~4時間のエントリーで
釣れない日が
20~30日に1日あるかないか。
フィールドに立ったほとんどの日に、
ブラウントラウトと出逢えている。
この湖で魚をキャッチするための
キーワードは、
「波」と「ローライト」である。
「波」に関しては、正面から岸に向けて
安定的に打ち付けている状況が
ベストであるが、横向きに流れていても
十分チャンスはある。
「ローライト」に関しては、
曇りや雨の日なら、
日中でも大いにチャンスがあるが、
晴れの日なら、朝と夕方のマヅメ時が、
唯一のチャンスタイムとなることが多い。
経験上、この2つの要素が組み合わさった時、
魚からの強烈なコンタクトが訪れる確率が
圧倒的に高いと言える。
ところで、「カレント」という要素も
確かに重要であることは間違いないが、
初めてエントリーするときには、
どういう状況なら釣れるのか
判断できないから、
「カレント」という要素は、
ひとまず、無視していいと思う。
何回かエントリーを繰り返す中で、
「カレント」という要素を、だんだんと
身体に染み込ませていけば良いだろう。
最後に、最も重要なこと。
それは、すべてのレンジを狙うのではなく、
活性の高い個体にターゲットを絞ることが
支笏湖のワイルドブラウンを
手にするための近道であるということ。
具体的には、深場のカケアガリに定位する
居付きの魚を狙うよりも、
フィーディングで表層に上がってきた魚を
狙い撃ちする方が圧倒的に
効率が良いということ。
居付きの大型魚を狙うのは、
支笏湖に通い詰めてからでも遅くはない。
まずは、
ヒットに持ち込みやすい魚に焦点を絞って、
北の大地の美しいワイルドブラウンと
ご対面してほしい。