オショロコマ(Salvelinus malma)
1 主なオショロコマの生息地
2 オショロコマのルックス・表情
3 オショロコマの運動能力・賢さ
4 オショロコマのサイズ
5 オショロコマのライフサイクル
6 はじめてオショロコマを狙うならココ
- 忠類川(根室管内標津町)
- 羅臼川(根室管内羅臼町)
- 十勝川(十勝管内新得町)
- 石狩川(上川管内上川町)
- 真狩川(後志管内真狩村)
- その他、千走川以北の冷水域に広く分布
イワナ好きのアングラーなら、
ひと目で、そのウブな表情に惹かれるだろう。
なんとも言えない
愛らしい表情はもちろんのこと、
オショロコマ最大の魅力は、
ド派手なアクセサリーを身に着けた
その魚体の美しさである。
オショロコマの英名は「ドリーバーデン」。
いつも赤玉模様の服を着ている
イギリスの少女の名前が語源とされるが、
美しいオショロコマの姿を間近で見たとき
「ドリーバーデン」命名者の
感性溢れる描写力に
感嘆せずにはいられない。
その体側にちりばめられた「赤玉模様」は、
オショロコマの生息環境によって、
オレンジ、レッド、ピンクと
さまざまに発色する。
また、同じ河川、同じ流域の魚であっても
1尾1尾、結構な個体差があって、
決して、見るものを飽きさせることがない。
また、ほとんどの地域に生息する個体で、
腹部は鮮やかなイエローや
オレンジに染められ、その可憐な容姿に、
思わずうっとりしてしまうほどである。
1尾1尾との出逢いにおいて、
これほどマジマジと
その姿に見入ってしまう魚は本当に貴重だ。
魅力的な容姿が魅力のこの魚、
残念ながら、お世辞にも運動能力が高いとは、
言えない。
だから、ミスバイトが頻発するのだけれど、
ルアーをしっかりをくわえることができず、
オロオロしている様子を見ていると、
なんだか、ほのぼのとした気持ちに
させてくれるのだから、本当に面白い魚だ。
警戒心は希薄で、
アングラーがかなり魚に近寄った状態でも
平気で口を使う。
知床半島を流れる川などでは、
足元でルアーを8の字に動かすだけで
簡単にヒットしてしまうことも多い。
もちろん、
「鱒」らしい学習能力は持っていて、
何度も同じルアーを見せていれば、
もちろんスレる。
それでも、圧倒的に釣りやすい魚であることに
変わりはない。
基本的には、
大型に育ちにくい魚なのかもしれない。
多くの河川では、
20cmを超えれば十分に良型と言え、
アベレージは15cmくらいである。
生息密度が濃い場所ほど魚のサイズは小さく、
魚影が薄い河川の方が
むしろ良型が多いという傾向は、
他の「鱒」たちと同様だ。
もちろん、30cmを超える
「尺オショロコマ」も生息していて、
このサイズになると、
表情にも徐々に風格が出てくる。
稀に降海型もいて、中には、
ドリーバーデンと呼べるほどの
大型もいるらしいが、
私が現認したのは、35cmまで。
尺サイズなら狙って釣れるが、
それ以上のサイズを狙うとなると、
綿密なフィールドリサーチと
少しばかりの運が必要なのかもしれない。
<12月~5月上旬>
この時期、
オショロコマの生息域は深い雪に覆われ、
その後の雪代による増水が収まるまでの間、
淵などの深場で、じっと遅い春を待っている。
<5月中旬~6月>
生息域の中でも、
春が遅い地域の魚のコンディションは、
まだまだ、良化途上。
それでも、雪代が収まるころから、
徐々にルアーを積極的に追うようになる。
また、本流の水温が低いこの時期は、
思わぬ下流域で姿をみせることもある。
<7月~9月上旬>
一年で、もっとも美しい魚体に出逢える季節。
低水温が保たれている流域では、
活発にベイトを追い、ルアーに好反応を見せる。
川の水量が減るこの時期は、
フィールドへのエントリーが容易で、
ビギナーでも気軽に
オショロコマに出逢うことができるだろう。
<9月中旬~11月>
魚体は婚姻色に覆われ、
発色がさらに鮮やかになる個体もいる。
この時期、魚たちは産卵のため、
川の上流部を目指す。
遡上スピードは思いのほか速く、
昨日までたくさん魚がいた流域に
今日は全く魚影がないなんてことも珍しくない。
☆ 羅臼川
近年、河川工事の影響もあるのか
魚影が減少気味に感じるが、
それでもなお、魚影の濃さは折り紙付き。
堰堤が多く、釣り場の趣はイマイチでも、
入渓は容易で、ビギナーでも安心して
釣りを楽しめる貴重なフィールドだ。
魚の特徴は、腹のオレンジ色が
濃い個体が多いこと。
オショロコマの美しさに触れるには
もってこいのフィールドと言えるだろう。
なお、羅臼川近辺の河川にも、
たくさんのオショロコマが生息する。
ただし、そこはヒグマの濃密な生息域。
安易な入渓はおススメしない。
羅臼川とて安心はできないが、
交通量の多い道路に沿って流れているため、
少しばかりの安心感をもって、
釣りを楽しめるのは、
精神衛生上、とっても助かる。
☆ 石狩川
一昨年の台風の影響で大水が出た
影響が心配されるが、
良型のオショロコマが釣れる
フィールドとしての価値は
依然として高い。
層雲峡あたりでも魚影は見られるが、
大雪ダムのインレットより上流域が
ロケーションもよく、おススメ。
ダムから上流しばらくの間は、
アメマスとオショロコマが混生している。
オショロコマの魚影は、
知床半島の河川と比べると、
圧倒的に薄いが、その分、良型が多く、
尺ものもしばしが姿を見せる。
ダムのインレット周辺で釣れる個体は、
色の派手さは控えめで、
銀毛化しているのも特徴的。
ただし、ヒグマの生息密度が濃い地域なので、
早朝や夕方の入渓は避けた方が安全だ。