「タラレバはダメ!」
しばしば、日常的に耳にするフレーズである。
誰が言ったか知らないけれど、
これがこの国の常識であることに
どうやら、疑いの余地はないようだ。
「もっと背が高ければ・・・」
「お金持ちの家に生まれていたら・・・」
むろん、この類の、
今後、実現する確率が0%の
タラレバ(外部リンク)は
どうせ実現することはないのだから
何の意味も持たないという指摘は、
ある意味、的を射ているのかもしれない。
一方で、こんなタラレバはどうだろう。
「ちゃんとラインを確認していれば・・・」
「フックを新品に交換してあったら・・・」
こちらは、同じタラレバでも、
だいぶ、性格が異なる。
具体的に言えば、こうだ。
ちゃんとラインを確認していれば、
ラインブレイクを
防げたかもしれないから、
今度からは、まめにラインを
チェックするように気を付けよう!
とか・・・
フックを新品に交換していれば、
ちゃんとフックアップできた
かもしれないから、
今後からは、まめにフックポイントを
確認するようにしよう!
とか。
そう、次に生かせるタラレバであるという点で、
実現確率0%のタラレバとは全く異なり、
意味のあるタラレバなのである。
多くのアングラーは
無意識のうちにやっていることでもあるから、
「そんなこと、当たり前じゃないか!」と
怒られるかもしれない。
けれど、
あえて、一旦立ち止まって、
タラレバの本質を考えてみることには
一定の意味があるのではないだろうか。
当たり前のようで、
意外と見過ごされがちなんじゃないかな。
私のアングラー人生は、
常にタラレバとともにあり、
だからこそ、アングラーとして
成長できた部分が大きいと思っている。
むしろ、タラレバがなければ、同じ失敗を
何度も繰り返すだけだったであろうし、
数々の美しい鱒たちとも
出逢うことができなかったに違いない。
だから私は、
釣りを愛するアングラーの皆さんに
タラレバを強くおススメしたい。
そして、ビギナーがつぶやくタラレバを
決して否定しないでほしい。
失敗したら、後悔するだけすればいいし、
もし、その失敗が、
自身の努力によって克服できるものなら、
鍛錬を繰り返し、リベンジの時を待てばいい。
そうすることで、
アングラーとして、必ずレベルアップできる。
アングラー全体のレベルアップが図られたとき、
現代のフィールド環境を
未来につなげていくという観点において
間違いなく、ポジティブに作用するであろう。
タラレバのススメ、
実は、何もフィッシングシーンに
限ったものではなく
日常にも当たり前のように
応用できるのだと私は思っている。
むしろ、「タラレバ=悪」という常識が
現代社会を当たり前のように席巻していて、
「タラレバ」を人前で口にしようものなら
炎上は免れないという現実に、
強い危機感を抱かずにはいられない。
PDCAサイクル(外部リンク)なんて
ビジネス用語も一般化したこの時代において、
一方では「タラレバ=悪」と決めつけて、
「C」の工程を軽視する。
こんな風潮が生まれるのは
なぜなんだろう。
ちゃんと考えてみれば、
難しいことではないはずなのに・・・
まあ、思うところはたくさんあるけれど、
少なくとも釣りの世界には、
タラレバを否定する文化が
似合わないことだけは確かだ。
だって、タラレバを否定したからと言って、
何かが生まれるわけではない。
むしろ新しい何かが生まれることを
邪魔することにしかならないのだから。
アングラーみんなでタラレバを言って、
スキルアップにつなげよう。
そして、スキルアップして
少し心に余裕が持てるようになったら、
トラウトフィッシングの未来に、
想いをめぐらせよう。
ひとつの問題提起として
タラレバを取り上げてみたけれど
皆さんは、どう思われるだろうか。