開幕戦が最終戦・後編

(前回からつづく)

翌朝、
前日の午後と比べても
さらに濁りが取れ、
川の状態は絶好に見えた。

派手な
ボイルが見られないのは
いつものこと。

イトウが界隈にいることは
確認済なのだから、
疑心暗鬼になる必要など
まったくない。

そう、あとは
自らのアプローチを信じ、
ただただ
やり抜くのみである。

開始2投目、
答えはすぐに出た。

ルアーを
ピックアップするかしないか
ギリギリのところで、
突如、イトウが
激しく水面を割ったのだ。

このシチュエーション、
実のところ
春のイトウ釣りでは
よくありがち。

ここで焦って
ロッドを煽ってしまえば
即、ジ・エンド確定。

そうならぬよう、
瞬時にロッドティップを水中に突っ込み
ルアーを水中にとどめることで、
スイッチの入ったイトウは
ルアーめがけて激しく突進する。

この日、
そんな瞬時の対応は
実にうまくハマってくれた。

だが、
この時点でロッドティップと
ルアーにバイトしたイトウとの距離は
せいぜい20~30cmしかない。

この状態を放置すれば、
フックアウトは時間の問題。

そこで自らの左手で
強制的にラインを引き出し、
魚との距離を取る。

これができると、
形勢は一気に逆転。

あとは冷静にファイトし、
イトウと繋がった至福の時を
トコトンまで
味わい尽くせばいいのである。

キャッチしたイトウは
前日よりも小型の80cmクラス。

それでも
太さは尋常でなく、
湖の90cmクラスと
同じくらいの重量感であった。

写真撮影中、
このイトウは
見事に脱走に成功……

と思いきや、
逃げる方向を間違えて
自ら浅瀬に座礁してしまうところなんか、
なんとも愛らしくてたまらない。

この魚をリリースした時、
すでに心は腑抜け状態。

連日の早起きで
疲れがたまっていたこともあり、
一旦宿に戻って
朝食を摂ってから出直すと決めた。

その後川に戻ると、
さらに状況は好転していた。

なんか釣れそうだな……

通い慣れた川では、
そんな予感が
しばしば当たるもの。

言葉では
うまく言い表せないこの感覚、
何度味わっても
やっぱりたまらん(笑)

ヌーーーーー

衝撃というよりも
大型のイトウらしい
鈍重なバイトが訪れたのは、
再エントリーから
わずか5分後のこと。

一本のラインを通じて
魚とつながった瞬間、
今対峙している相手が
メーターを超えるサイズであることは
すぐに察しが付いた。

その一方で、
昨年12月に
天塩川で経験した出来事と比べれば、
その衝撃度なんて微々たるもの。

しばし相手のパワーに
翻弄されながらも、
要所要所では確実に主導権を握り、
ささやかなマイルールどおり
90秒以内のランディングに
無事成功となった。

このスポットも
付近に撮影に適した場所がなかったので、
魚をネットに入れたまま
水中で何カットかパシャリ。

幸い、自身は川に立てる
シチュエーションではあったので、
ベストにはほど遠いが
雰囲気だけはなんとなく伝わる
写真が撮れたように思う。

せっかくなので、
メーター越えの魚らしい
巨大なパーツもパシャリ。

五百円玉よりも
大きいアブラビレには、
このイトウの魚生が
集約されているように見える。

一筋縄ではいかない、
酸いも甘いも知る
賢い個体だからこそ、
出逢えた喜びはひとしおであった。

うんうん、
もうこれで
お腹はいっぱい。

その直後、
ラインスラッグを取るために
何気なくキャストしたルアーに
80cmクラスがガツンとヒット…

なんて驚くべき
アクシデントはあったものの、
ネットインせず
サッとリリースして
思わず苦笑い。

こうして
2024年最初で最後の
春イトウ釣行は終了となった。

帰りがけに
ようやく姿を見せてくれた太陽。

晴れるとやっぱり
オロロンラインの景色は美しい!

もちろん、
イトウに出逢えた
充実感があるからこそ…
でもあるのだけれど、、、

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