週中、
ついに巡ってきた
リベンジのチャンス。
ずっと増水が続いていた
天塩川本流の水位が、
ようやく減少傾向に転じたのだ。
ただそれでも、
12月としては
まだまだ異例の高水位。
こんな状況で
初冬の天塩川に刺さるのは、
おそらくこれが
初めてのことだろう。
だから、
楽観的な見通しが立たないのは
どうにも仕方がないこと。
それでも、
リベンジのチャンスが
与えられただけでラッキー。
そうは、言えるだろう。
なんたって、
一度は50cmを超える大雪が
天塩川流域に
降り積もったのだから……。
つまり
川に立てるだけでも
奇跡に近いような
状況だったのである。
今回は、
ちょっとした仕事と
セットでもあったので、
行程は2泊3日。
初日にやるべきことを済ませたら、
あとは、思う存分
プライベートフィッシングを
楽しもうという算段であった。
しかも運が良かったのは、
12月の道北としては
めずらしいほどの
見事な好天に恵まれたこと。
この季節に
天塩川流域で
抜けるような青空を見られるなんて、
滅多にないことだからね。
用事を済ませ、
天塩川に河畔に立ったのは、
ちょうどお昼を
回った頃のことであった。
スカンと晴れた分、
放射冷却現象が発生して、
朝はかなり冷え込んだのだろう。
もう南中を過ぎた
時間であるにもかかわらず、
河畔のイタドリには
霧氷がびっしり。
寒々しい景色ではあるけれど、
僕の中ではこれはこれで、
初冬の釣りの
楽しみのひとつにもなっている。
今季初の霧氷が
あまりに美しかったので、
なぜか釣りの準備は
完全にそっちのけ(笑)。
そして思わず
カメラのシャッターを
パシャリ……
パシャリ……
そして、パシャリ。
うんうん、
メンタルに余裕があるのは、
決して悪いことではないな(笑)
ところが、
足元に目をやった瞬間、
今度は思わずドキッ!
こんなわかりやすい痕跡が
生々しい形で残されていたのだ。
この日は、
ちょうど減水の最中だったから、
夜中の段階では、
まだここを水が流れていたはず。
ということは、
おそらく未明くらいの時間帯に
この場所を
うろついていたのだろう。
ちなみに
11月の天塩川では
ヒグマの痕跡をよく見かけるのだが、
12月に入ると、
めっきり足跡を
見かけなくなるのが例年の傾向。
う~ん、
なのにコレは???
今年は
気温が下がり切らない分、
冬眠のタイミングが
少しばかり遅れているのか。
もう冬なんだからさあ~
そろそろ眠ってもいいんじゃないの、
ねえ、クマさんってば!
とはいえ、
葉が落ちて視界が開けたこの季節、
クマさんだって
日中にこの場所へと
姿を現すのは勇気が要ることだろう。
ならば、
必要以上に
ビビらなくてもいい。
いきなりの洗礼を
浴びる形になってしまったけれど、
今回の遠征が
今年のラスト天塩釣行。
ならば、
しっかりと集中して
釣りを楽しまなきゃもったいない。
そう割り切ることを決めた。
そんなこんな
アクシデントがありつつも、
大きな期待を胸に抱きつつ
キャストを開始。
まだまだ
増水はしているものの、
ロッドを通して右手に伝わる感触は
思いのほか悪くない。
これならイケる!
スタート時は、
そんな感触があったのだが、、、
期待のポイントを
ステップダウンしながら
隈なく探ってみるも、
残念ながらノーバイト。
例年なら、
アメマスのバイトくらいは
あってもいいのだが、
この日はそれすらない。
う~ん、
いったい天塩川は
どうなっちゃってるんだろう。
もしかして、
はるか上流に位置する岩尾内ダムの
放水の影響があるのだろうか。
いやはや、
目の前の状況は謎だらけ。
こうして
僕の目の前には、
初日にしてすでに
もくもくと暗雲が
立ち込めることとなったのである。
移動した
次のポイントでも、
状況は大きく変わらず。
苦労して
ようやく得たワンバイトも
50cmクラスの
アメマスであった。
もちろん、
何もないよりはいい。
そう考えることもできる。
ただ、
アベレージサイズのアメマスが
ガップリ喰ってきたことが意味するのは、
このポイントに
イトウはお留守だということ。
そう考えると、
むしろ事態は深刻だ。
う~ん、
この状況、
どうやって打開したら
いいんだろうな……。
そんなこんな、
初日の釣果は、
このアメマス一尾で終了となり、、、
まあまあ
この時期に天塩川で
釣りができるだけでも
もちろん幸せなこと。
だけど、
できることなら
あと一回でいいから
イトウとコンタクトしたい。
やっぱり
これが当時の
僕の素直な願いだったと思う。
さてさて、
明日はどうしよう。
いつも以上に長い時間
温泉にのんびりと浸かりながら、
あれこれと
妄想を膨らませてみる。
うんうん、
このまま同じことをやっていても
きっとダメ。
自ら突破口を
開こうとするなら、
何かを大きく
変えないといけないよな。
この日の晩、
心に決めたのはここまで。
あとは一晩寝て、
頭をクリアにしてから
もう一度
落ち着いて考えればいいじゃん。
なぜだかは
よくわからないけど、
この日は妙に
フラットな気持ちでいられたのだ。
そしてこの時、
変に思考を
懲り固めかったことが
翌日、ついに実を結ぶこととなる。
そうそう、
やっぱり釣りは
一にも二にも
メンタルなんだよな~。
(次回へ続く)