在来鱒……今も変わらぬ想い

例年同様、
今年も3月は
時間を見つけては
支笏湖へと通う日々が続いた。

湖の釣りは愉しいし、
サイズが良くて
コンディション抜群の
ブラウントラウトと
手軽に出逢うことができるんだから、
日本中を探しても
こんな贅沢な環境には
そうそうお目にかかれないだろう。

けれども……

差別でも
偏見でもないのだが、
心のどこかに
在来鱒との出逢いを渇望する
強い想いが眠っていることに、
自分ではだいぶ前から気づいていた。

そして時は4月、
首尾よく釣りに割く
時間を確保できたそのタイミング、
その欲望を開放するために
在来鱒の棲む渓へと
足を運んでみることにしたのである。

ところで
ここ北海道の一部地域では、
4月に入ると
ヤマメが禁漁となる。

近場の渓もその対象となるので、
禁漁期間が
5,6月に設定されている地域へと
今回は車を走らせることに。

もちろん、
ヤマメが棲息しない
河川を狙うという方法もあった。

だが、
やっぱりそれだと
何かもの足りない……。

そうそう、
ヤマメとイワナ、
その両方が揃ってこそ、
自らの心が言葉にならない
充実感で満たされるのだ。

まあまあ、
これはアングラーとしての
完全なエゴなんだけど、
それが正直な気持ちなんだから、
特に逆らう理由もないんだよね。

最初に入った渓では
真新しい先行者の足跡が……。

4月にこの渓へ
エントリーしたのは初めてなんだけど、
へえ~、この時期に
この渓に入る人がいるんだ……って、
思わず感心してしまった。

ただ、雪代もほぼ終わり
渇水気味となったこの渓で、
プレッシャーがかかっている状況は
さすがにキツイ。

ココって激戦区だっけ???

思わず
そうつぶやきたくなるほど
神経質な反応ばかりで、
ショートバイトが多発。

しかもルアーに
アタックしてくるのが
小型魚ばかりだったため、
すぐに渓を変えることにした。

だが、
移動した先の渓にも
先行者の足跡が……。

足の大きさや、
靴底の模様がまった同じだったから、
おそらくその先行者は
このあたりの渓を
順繰りに釣り歩いていたのだろう。

ということは、
ちょっと発想を転換しないと
同じことの
繰り返しになっちゃうかも……。

そんな危機感を覚えたので、
少しだけ車を走らせ、
エントリーする場所の雰囲気を
思い切って変えてみることにした。

すると、
答えはすぐに出た。

最初に姿を現してくれたのは、
およそ20cmほどのヤマメ。

コンディション的には
まだ「春のヤマメ」という印象だが、
おなかを包み込むように配置された
マダラ模様がたまらない。

ヌメッとした
ヤマメらしくない質感といい、
原種を想起させる
独特の斑点の纏い方といい、
魚類というよりも
ほぼ両生類みたいだな……(笑)

続いて
顔を見せてくれたのは、
こちらも体長20cmほどの
エゾイワナ。

こちらはかなり
コンディションが回復していて、
おなかのオレンジも
盛期を思わせるような発色に。

よしよし、
これでヤマメとイワナ、
両魚種に思惑どおり
出逢うことができたぞ。

エゾイワナを
手づくりのいけすに入れて
釣りを再開すると、
次のキャストで
ややサイズアップした
ヤマメがヒット。

2魚種を並べた構図が
大好きな私にとっては、
これ以上ないほど
理想的な展開に。

4月にこの絵面を
拝むことができたのなら、
文句などあろうはずもない。

いや~、
在来鱒って、
やっぱりいいよな……。

そして最後に、
海へと降り損ねたのか
一尾のアメマスを追加し……

この日の釣りは終了。

支笏湖の釣りも愉しいけど、
こうした小渓流の釣りも
負けず劣らず愉しい。

仮に「どっちかひとつを選べ」と
言われても、
断固拒否の一択(笑)

多様なフィールドに恵まれ、
多様な鱒に出逢えることが、
ここ北海道の
他に類を見ない魅力なのだから。

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