偶然行き着いたその川は、
一見しただけでは
どこにでもある小渓流と
なんら違いはないようにも思われた。
ところが、
過度な期待はせず
おもむろに
ルアーをキャストしてみると……
なんと、
複数の渓魚が
ルアーを奪い合うように
激しくチェイスしてくるではないか。
その正体は、
ほとんどがヤマメ。
中には
エゾイワナらしき姿もあったが、
割合的には
ヤマメ9、エゾイワナ1。
そう、
この渓はまさに
ヤマメパラダイスの様相を
呈していたのである。
釣れてくる
ヤマメのサイズも
決して悪くはなかった。
アベレージは
およそ20cmほど。
ただ、
チェイスしてくる魚の中には
ワンサイズ上、
25cmクラスも視認できる。
多くのヤマメが降海する
ここ北海道の川で、
良型ヤマメを何尾も目視できる川に
そうそう
巡り合うものではないだろう。
季節の歩みが早い
北海道の渓だから、
もしかするとタイミングが
ピタリと合っただけなのかもしれない。
だとしても、
これはなかなかの
光景なんじゃないかな。
天然ヤマメが
密度濃く棲息する川と
巡り合えた幸運。
この大切な時間を
あとは心ゆくまで
味わい尽くすのみである。
そして、
ほどなくして
クライマックスは訪れた。
この渓にしては
そこそこ規模の大きな
ポイントにたどりついたとき、
「これは!」と思わせる感触が
ロッドを握る右手に
伝わってきたのである。
そして
その正体はこの魚。
惜しくも尺には
わずかに届かなかったけれど、
どこまでも美しく
そして立派な体型をした
いわゆる泣き尺ヤマメであった。
北海道の渓で
このサイズ、このクオリティの
ヤマメに出逢うことは、
メーターオーバーのイトウを
キャッチすることよりも
はるかに難しい。
これまでの経験から、
私はそう思っている。
しかも
偶然巡り合った渓で
こんな素晴らしい
体験ができるなんて……
いや~、
北海道の鱒釣りって
本当に奥が深いんだよな。
お盆休みは
釣りのほうもお休み。
さてさて、
お盆休み明け、
次はどこの川に
エントリーしようかしら。