後志地方を流れる
いくつかの渓をめぐり、
この日最後に訪れたのは
梅花藻ゆらめく
美しき湧水の渓。
ここは、
お世辞にも
魚影が濃いなんて言えない
いわゆる瀬戸際に立たされた川。
けれども、
ここに棲む
オショロコマは
まあ美しいことこの上ない。
他の追随を許さない
その可憐なビジュアルは、
一年に一度でいいから
目に焼き付けておきたい。
そう思えるほど
群を抜いているのである。
この渓を訪れるのは、
今年に入ってから2度目。
前回はオショロコマの魚影を
まったく確認できず、
ついにその時が来てしまったかと
心配するほどの状況だったのだが、、、
ところが、
この日はさにあらず。
梅花藻の下に
定位しているであろう
オショロコマに対し
丁寧なアプローチをかけると、
5分もしないうちに反応が。
そうそう、
この魚、この魚。
サイズはせいぜい
20cmあるかないかなんだけど、
やっぱこのビジュアルは
唯一無二なんだよな!
大きいイトウが狙えるのも
ここ北海道ならではのこと。
けれどもその一方で、
ビジュアル重視の
ライトフィッシングを
気軽に楽しめちゃうのも、
ここ北海道ならではと
言っていいのではないだろうか。
この渓の
オショロコマは、
一尾出逢えれば
もうそれで十分。
一尾釣るだけでも
十分にエゴイストなのだが、
今の時代を生きる者として
過剰に負荷をかけることだけは
なんとしても避けたいのだ。
次の時代、
またその次の時代へと、
そのいのちを着実に
つないで行ってほしい。
この美しき
オショロコマを前にして、
今はただ
そう願うのみである。