この川には、
珍しいニジマスがいるんだ。斑点がひとつもないんだぞ。
自慢げに見せてくれた
写真のニジマスには、
確かにひとつも斑点がなかった。
これは、
今から27~8年ほど前、
当時、占冠の山奥にあった宿の
お兄ちゃんがしてくれた話。
その話を聞いた次の日、
朝早く起きて、
鵡川の中流域を
しゃにむに叩いた。
何とか、数尾のニジマスを
キャッチすることはできたけれど、
その中に"ムハン"はいなかった。
朝食の時刻が迫っていたから、
林道へ戻るため、小さな沢をのぼる。
もうあと少しで
林道にたどり着くというところに、
ちょっとした落ち込みがあり、
何の気なしにルアーをキャスト。
当時、こんな沢で
ルアーを投げるヤツなんて
いなかったのだろう。
着水と同時に
小さな鱒がヒット。
「小さいなあ」と思いながら、
寄せて来ると、
なんと、背中に斑点がない。
ウォ~~~~~~~(叫)
今日、久しぶりに
鵡川の流れに立った時、
そんな記憶が、ふと蘇ってきた。
そうそう、かつて鵡川には
ムハンニジマスが棲んでいた。
ホウライマスなのか、
それとも、鵡川の流域で
突然変異を起こしたのか。
それは、
正直なところわからない。
だから、その魚に
どれほどの価値があるのか
ギモンがないわけでもない。
でも、久しぶりに
出逢えたらうれしいな。
それが、素直な気持ちだった。
北海道内では、
6月からずっと、
渇水状態が続いているのだが、
ここ鵡川も例外ではなかった。
水温も、肌感覚で言うと
23~4℃といったところか。
まあ、厳しい状況なのは
十分承知の上。
もともとは、
雨の降り出しが少しでも遅くなりそう
という理由だけで
東へ向けて車を走らせたのだから、
贅沢など言っていられない。
それでも、
開始から10分もしないうちに
最初のバイトを捉えた。
ピン子ヤマメだったけれど、
鱒がヒットしてくれたことで、
「おっ、釣れるのか!?」という
ちょっと前向きな気持ちに。
さらに、すぐ下流のガンガン瀬に
ルアーを撃ち込むと、
小さなニジマスがヒットしてきた。
ん・・・
よく見ると、
上半身に斑点が少ない。
もしかしたら、
ムハンの遺伝子を受け継いだ
ニジマスかもしれないな。
そうな妄想をしつつ、
少しだけ郷愁に浸る。
さらに次のガンガン瀬でも
ニジマスがヒット。
気持ちサイズアップした
その個体には、
無数の斑点が散りばめられている。
おお、こっちは
フツウのニジマスじゃないか。
どっちがキレイかと言えば、
ちゃんと斑点があった方が
キレイに見えるのは事実だ。
でも、鵡川でニジマスを釣るなら
"ムハン"の匂いがする方がイイ。
もちろんそれは、
私の勝手な趣味なのだけれど・・・
そうこうしているうちに、
大粒の雨が落ちてきた。
仕方がないので、
一旦、川を上がる。
ネットで天気予報を確認すると、
北へ向かえば、
少しだけ天気はマシなよう。
空模様とにらめっこしながら
しばし車を走らせると、
ありゃ、南富良野まで来てしまった。
ここまで来ると、雨は小降り。
北海道らしからぬ
蒸し暑さも多少はマシになっていた。
何のプランもなかったので、
とりあえず、目の前を流れる
空知川に刺さってみる。
水量は落ち着いているが、
こちらは、大雪山系に
源を発しているだけあって、
鱒たちには
ちょうどいい塩梅の水温に思えた。
ただ、比較的新しい
先行者の足跡が目立つ。
まあ、人気のフィールドだから、
それは仕方のないこと。
ならばと、
竿抜けになりそうなピンスポットを
立ち位置を工夫しながら
丁寧に流してみることにした。
すると、最初のポイントから
エゾイワナがヒット。
サイズは小さいのだけれど、
居付きの魚というよりは、
何となく遡上魚の趣。
かなやま湖から
遡上してきた個体なのかもしれない。
その後も、同サイズを数尾追加。
でかウグイに、
一瞬だけ、ドキッとさせられることも
あったけれど、
結局、大型魚が
姿を見せることはなかった。
雲行きが怪しさを増し、
雷のリスクもあると判断して、
今日の釣りは終了。
あんまり魚は釣れなかったけれど、
やっぱり、いろんな川をめぐるのは
本当に愉しい。
もちろん、
尻別川のヤマメのことは、
いつも頭の片隅に置いてはある。
でも、やっぱり
懐かしい景色を見ながら
釣りをするのもイイ。
そうこうしているうちに
もうお盆の季節になってしまった。
次は、どこのフィールドに
行こうかな??
う~ん・・・
悩みは尽きない(笑)