昨日、四半世紀の時を超えて、
尻別川、喜茂別地区の流れに立った。
喜茂別までは、自宅からわずか2時間足らず。
国道が交わる交通の要衝でもあって、
道南方面に仕事や釣りに出かけるとき、
しばしば通りかかる場所だから、
景色は飽きるほど見ていた。
にもかかわらず、北海道に移住後は、
大型の鱒ばかりに傾倒していたこともあって、
大型魚が数多く生息する下流部を目指し
車で川沿いの道を通過することはあっても、
車を停めて、川に降りることはなかった。
今シーズン、思うところがあって、
ショートロッドを握り、
渓流域を歩く機会が増えた。
かつての自分のスタイルで釣り歩く中、
小さい頃からあこがれていた
尻別川にはじめて立った時の感動が、
少しずつよみがえってきたのだった。
あれから、約27年。
入渓点から見る尻別川上流域の景色は、
驚くほど新鮮で、美しかった。
喜茂別地区を流れる尻別川は、
河畔林の中を軽やかに流れくだる里川の趣。
魚たちが、北海道とは思えないほどの
高いフィッシングプレッシャーに
さらされていることは、
あらかじめ予想していた。
休日ともなれば、河畔の空き地に
アングラーのモノとおぼしき車が
入れ替わり立ち替わり
駐車しているのを見ていたから。
ところが、意外にも予想に反して、
入渓して最初のポイントから、
ヤマメが反応してくれた。
その後も、らしきスポットからは、
必ずと言っていいほど、
魚たちの反応があった。
ヤマメ、イワナ、ニジマス。
サイズこそ20cmを
少し超えたくらいではあるけれど、
多彩な魚種が楽しませてくれる。
喜茂別川の合流点よりも上流域では、
おおよそ、ニジマス7:ヤマメ2:イワナ1の
割合で釣れてきた。
今度は、少しだけ移動し、留産地区を探る。
ここは、ヤマメの割合が多いようだ。
おおよそ、ヤマメ5:イワナ3:ニジマス2と
いったところか。
それにしても、驚くほど魚影が濃い。
先行者がいても、カヌーが下ってきても、
アタリは止まらない。
岸際のエグレや倒木の際をめがけて、
タイトにルアーを
プレゼンテーションできるだけの
基本的なキャスティングスキルさえあれば、
人的プレッシャーなどお構いなしに
魚たちは無邪気に遊んでくれる。
果たして、お昼までの半日で
いったい何尾の魚に出逢えたのだろうか。
その中に、1尾でいいから
大型ヤマメが混ざってくれたらという
願いは届かなかった。
けれど、たくさんの美しい魚を育む
素晴らしいフィールドが
すぐそこにある幸せを
感じることができた時間であった。
そして、そのフィールドが、
27年前、私の心に深い感動を刻んだ
尻別川の喜茂別の流れであったことも
非常に感慨深いものがあった。
やっぱり、ショートロッドを手に、
川を歩くのは、本当に楽しい。
オーソドックスな
渓流ルアーフィッシングスタイルで楽しめる
尻別川上流域。
道外にお住いの皆さんも、
いつものタックル、いつものタクティクスで
緑がまぶしい夏の北海道のフィールドに
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