2020 再会

例年とは
明らかに様子が違うこの5月。

ギリギリまで
新型コロナウイルスの感染状況を
注視していた。

僕自身は、
往来の自粛が要請されている
札幌市民ではなく、
また、わがまちで
市中感染が広がっている様子もない。

この状況なら
あえて自粛する方が変だな。

必要な対策を行った上であれば
イトウの川に向かうこと自体は
問題はないと判断。

タックルのほかに
マスクや消毒液などの
感染対策用備品を積み込み
道北方面へと車を走らせた。

小平、苫前、羽幌、初山別、遠別と
オロロン街道を北上していると
左手に見えるサーフでは
海サクラを狙う多くのアングラーが
波打ち際でキャストを繰り返している。

いつもなら、
もっと密になりそうなポイントでも
お互い距離を取って
釣りを楽しんでいるのは
とても印象的。

そんなふうに、アングラーが
自律的に感染防止対策を講じるって
とっても大事なことだと思う。

ワイドショーでは、
サーフィンなんかと同様に
釣りも迷惑行為のように
報じられているけれど、
ちゃんとやることをやっていれば、
いくらでも反論はできるからね。

もちろん、現状は
都道府県をまたいだ遠征が
許容されるわけじゃない。

でも、やるべきことさえをやっていれば
居住圏域内で釣りを楽しむ分には
何の問題もないんじゃないのかな。

そうこうしていると、
利尻富士の姿が
だんだんと大きくなってきた。

何度観ても、
雪が残る春の利尻富士は
感動的な美しさだ。

原野ではタンポポも開花し、
いよいよ
このシーズンがやってきたかと
テンションは急上昇。

こんな景色を観ていたら、
やっぱり川も見ておきたくなったので、
ちょっと寄り道して、
湿原河川をのぞき込んでみる。

ん・・・

まだ5月中旬だというのに
あまりに水量が少ない。

いや~、これは前途多難だな・・・

目的の川に着いたのは
午後3時を回った頃のことであった。

予想どおり水位は低く、
例年に比べて水の透明度も高い。

さらに厄介だったのは
雪代による水位上昇が
限定的だったため、
枯れたイタドリが
倒れることなく直立している。

こりゃ、マイッタ・・・

もう10年以上
この地域に通っているけれど
こんな景色は初めてだ。

今年の道北は
雪が異常に少なかったから
どうなることかと
心配していたのだけれど、
抱えていた不安は
どうやら現実のものと
なってしまったようだ。

仕方がないので、
ウェーダーを破かないように
細心の注意を払いながら
立ち枯れたイタドリをなぎ倒し
河畔へと出た。

河畔には、
冷たい東風が吹き付けていたけど、
空は、雲一つない快晴。

う~ん、
やっぱ厳しいぞ、こりゃ・・・

そんな状況だから、
イトウの気配こそ感じないのだけれど、
春の川での第一投目は
いつも、ワクワク・ドキドキである。

特に今年に関しては、
この場所に立てているだけでも
ある意味、十分満足。

そんな心持ちだったから、
あんまりガツガツすることもなく
小刻みにポイントを撃ちながら
ランガンしていく。

ゴン!

ブンブンブン!

はっきりと
口にフッキングしたニブい感触・・・

そして、
ちょっと控えめな首振り・・・

待望のその瞬間が訪れたのは
キャストを開始して
およそ1時間が経過した
タイミングであった。

大したトルクこそないが
本命を確信するファイトに
熱い思いがこみ上げてくる。

ただ、何年この釣りをやっていても
シーズン最初の1尾とのファイトは
どうしたって緊張する。

今年も、
ロッドワークが
なんだかちょっとぎこちない・・・

けれども、フッキングは
期せずして完ぺきだったから、
慌てなければ大丈夫だ。

イトウの顔をこちらに向け、
ロッドのパワーと惰性を利用して
そっとネットイン。

回復が進んだ
70cm台半ばのイトウであった。

2020 再会・・・

これくらいのサイズだと
この流域では
小型の部類に入るのだけれど
シーズン1尾目との出逢いとなれば
サイズなど関係なしにうれしい。

イイ感じの撮影場所がなかったので、
ブサイクな画像しか
残っていないのは仕方ない。

しばし、
幼げな表情を浮かべるイトウの姿に
うっとりとさせてもらってから、
しっかり蘇生術を施してリリース。

勢いよく尾ビレを翻し
琥珀色の流れへと帰っていった。

あまり期待度が
高くなかっただけに
思いがけず
この魚をキャッチできたことは
本当にうれしかった。

しかも、ちょうど良い
ウォーミングアップになったし、
なにより、この1尾で
プレッシャーから解放されて
肩の力が抜けるのも大きい。

そうそう、やっぱり
1尾キャッチできたかどうかで
メンタルが全然違うのだ。

でもね、
この時はまだ、
ウォーミングアップの効果が
すぐこの日のうちに現れるなんて
知る由もなかったのである。

次回へつづく

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