日本のてっぺん稚内のやや南、
天塩川の下流域に位置する
宗谷管内は幌延町。
北海道らしい大自然が
一面に広がるこのまちの高台に向かうと、
そこには、周囲の見事な風景には
およそ似つかわしくない
巨大な人工建造物が姿を現す。
その名は、
幌延深地層研究センター(外部リンク)。
国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構が所有する
高レベル放射性廃棄物の
地層処分技術に関する研究施設である。
すでに大量にたまってしまった
高レベル放射性廃棄物の
処理方法を確立することは
今、この国における喫緊の課題だ。
そういう意味では、
この施設が無駄とは言わない。
けれどね・・・。
現状、まともに処理すらできない
極めてアブナイ物質を
この先、この国のどこかの地域が、
いずれ引き受けなければならない。
これは紛れもない事実。
それでも、そのアブナイ物質は
現在進行形でつくり続けられている。
そのことに、いったいどれほどの人が
危機感を抱いているのだろう。
この施設を見るたびに、
そんな憂鬱な気持ちになってしまうのは
きっと私だけではないんじゃないかな。
その、幌延深地層研究センターの
となりにある観光施設が、
「ほろのべトナカイ観光牧場」
(外部リンク)だ。
規模的には、
ややこじんまりとはしているものの、
人口密度が極端に低い
このあたりの地域にあっては、
貴重な観光スポットであると
言ってもいいだろう。
この施設の目玉は、もちろんトナカイ。
クリスマス前には、
サンタのコスプレをして
トナカイの曳くソリに
乗ることもできたりするから、
家族連れには特に好評のようだ。
そして、この施設のもう一つの目玉が
ヒマラヤの青いケシの花。
「メコノプシス」が正式名称で、
俗に「ブルーポピー」とも呼ばれる
とてもめずらしい花である。
この花、冷涼な地域でしか
栽培することができないようで、
日本国内では、
ここ北海道内の数カ所でしか
見ることができないそうだ。
例年であれば、6月の下旬は、
ちょうど見ごろと言ってもいい
季節のはずなのだが、
今年は春先から続く高温が影響してか
すでに開花のピークは過ぎていた。
それでも、何輪かの青い花は、
最後の力を振り絞って、
美しい姿を保ってくれている。
人為的に植えられた花とは言え、
間近で見ると、
素直にやっぱりキレイな花だなと思う。
このほろのべトナカイ観光牧場には、
ほかにも多くの種類の花が植えられていて、
見る者を楽しませてくれる。
ピンクや・・・
黄色も・・・
でも背景にあるのが、
巨大な人工建造物であるというところは
正直なところ、何とも複雑。
けれど、現実は現実。
うまく言葉に表すことができない
その一種異様な光景は、
自分の目で見てこそ価値があると思うから、
あえて写真は載せないでおくことにしたい。
そんなヒリヒリする部分も含めて、
道北を旅する際は、
是非、立ち寄ってみてほしいと思う。
ところで、
なんで週末に幌延にいるのかって?
えーとー、初夏の道北旅行です。
うん・・・、たぶん、きっと(汗)