大苦戦の2週目

イトウの自主解禁2週目。

今週は、仕事の空き時間を利用しての
エントリーとなるから、
どうしても
短時間勝負を強いられることになる。

先週は、結果的に
満足のいくスコアが出てはいたものの、
実際は、それほど
楽観できるような状況でもなかった。

それを思うと、
1尾のイトウに出逢うのも
そう簡単なことではないはず。

なんとなく
そうは理解していたけれど、
現実は、想像以上に
厳しいものだったのである。

今週、釣りができるのは、
仕事終わりの夕方3時間と
翌朝の朝マヅメのみ。

最近、めっきり
体力の衰えが目立つオッサンには
短期集中で、ある意味、
ちょうど良いのかもしれないけれど、
時間が短い分、
ひとつのミスが命取りになる。

結果的に、そのことを
ガツンと思い知らされるのであった。

まずは、仕事終わりの夕方。

3時間、可能性のある場所を
ハイテンポでランガンしていくも
ヒットしたのは
チビアメ1尾とウグイのみ。

本命イトウの気配を
一切感じることもないまま、
タイムアップとなってしまった。

そして翌朝、
朝イチに狙うのは、
いかにもイトウが差していそうな
ここぞというピンスポット。

まだ夜が明けきらない午前4時前、
河畔に立ち、
そのピンスポットに
そっとルアーを送り込む。

すると・・・

バッシャン!

バッシャン!!

バッシャン!!!

ん、なんか様子がおかしい。
暴れ方が尋常ではないのだ。

コレ、絶対口じゃない・・・

なんて思っているとすぐに
テンションがフッと消えた。

あちゃ~
朝イチからミスバイトのスレ掛かり。

フックには、
中型イトウのウロコが1枚付いていた。

頼むからさあ~、
ちゃんとバイトしてくれよー

でも、痛かったでしょ。
ごめん、ごめん!

あ~あ、
朝イチからやらかした。

せっかくのチャンスをフイにして
ちょっとばかり意気消沈。

まあ、凄いクオリティーフィッシュを
逃したわけじゃないことだけが、
メンタル的には
せめてもの救いだったかもしれない。

気持ちを切り替えて、
今度は、近くのストレッチへ。

粘っても仕方ないので
ハイテンポでランガンしていく。

カスッ・・・

コツン

ロッドティップに違和感を感じ
すかさずアワセを入れる!

ブン、ブン、ブン・・・

ヨシ!

なんとか
フッキングしたぞ!

と思ったのも束の間・・・

すぐにフッと
テンションが消えてしまったのだ。

あちゃ~、
またしてもやらかした。

確かに、
超ショートバイトではあったし、
仕方のない面もある。

でも、もうちょっと
なんとかする方法は
なかっただろうか???

落胆、後悔、絶望・・・

ネガティブな感情が
次々と襲いかかってくる。

サイズは、推定95cm。

悪いサイズじゃなかっただけに
今回ばかりは
気持ちの切り替えが難しい・・・(泣)

こんなことが続くと
釣りのリズムが悪くなるのは
もはや必然。

その後もランガンを繰り返していくが
魚からの応答は一切ない。

そうこうしているうちに
時刻は、午前6:00を過ぎた。

現地を出発する時刻を考えると
ほぼほぼタイムオーバー。

春シーズンに
完デコ喰らって帰途に就くというのは
記憶にないことだった。

だから、すんなりと
現実を受け入れることができない。

う~ん・・・

下を向いて車に戻る途中、
ついさっき叩いたばかりの
エグレのポイントが目に入った。

ココ、毎年一回は
必ず何かが起こったのに、
結局、今年は
何も起こらなかったな・・・

冷めきれない心を抱えた僕は
ついつい、そんな感傷に浸っていた。

どうして、そのポイントに
もう一度、改めて
ルアーをキャストしようと思ったのか
自分でも説明がつかない。

でも、僕はそのエグレに向かって、
無造作にルアーをキャストしたのは
紛れもない事実。

ただし、キャストしたのは
魂なんかこもっていない
ただの小さな
プラスチックの塊だったのだが・・・

ポチャ、ガボ~~ン!!!!!

突如、大きな水柱が上がったのは、
ルアーが水面に着水すると
ほぼ同時のことであった。

まったく
心の準備など整っていなかった僕は
完全にアワセ遅れる。

それでもラッキーだったのは
魚がしっかりと
ルアーをくわえていてくれたこと。

すかさず追いアワセを入れて
なんとかフッキングすることができた。

ブン、ブン、ブン・・・

ジィィィーーーー

ちょっと複雑な気持ちを抱えながらも
心地よいイトウのファイトを
心ゆくまで愉しむ。

タイミングを見計らって、
無事にランディングに成功。

パッと見、メーターはないが
十分すぎるサイズのイトウだ。

あきらめなければ、
こんなことが起こるのが釣り。

でも、僕の意識の上では
完全にあきらめモードだったと思う。

あきらめていなかったのは
たぶん、普段は表に出ることのない
無意識の領域にある
感情だったんじゃないかな。

こんなにダッサイ釣れ方なんて
なかなかあるもんじゃないし、
もうこれは
「釣った」じゃなくて「釣れた」。

起死回生といえばカッコいいが、
偶発的な要素がほとんどだから
そんな立派なものでもない。

でも、自分でも驚くほど
その時、アドレナリンが
大量に放出されていたと思う。

魚のコンディションも
かなり回復していたから、
いろんなパーツに
マジマジと見入ってしまう。

ちゃんと測ると
サイズは97cm。

透き通った眼・・・

銀色に輝くウロコ・・・

存在感のある胸ビレ・・・

そして、たくましい尾ビレ・・・

どれをとっても
春のイトウとしては
十分すぎるほどに回復している。

いや~、この日の出来事は
しばらく僕の脳裏から
離れることはないだろう。

それほどまでに
心動かされる
ワンシーンであったのだ。

ただ単に、
1尾の立派なイトウに
出逢えたというだけの価値ではない。

長い釣り人生の中で不意に遭遇する
大事な物語のひとつとして・・・。

たぶん、今年は少雪の影響で
イトウの活性上昇のピークが
例年よりも早まっていたのだろう。

だから、この先、
状況が好転することは
あまり期待できない。

それでも、もう一度・・・

僕の心が
それを渇望している。

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