お手軽な紅葉狩りと
簡単な仕事を終え向かったのは、
ブルックトラウトが棲む
富良野の小渓。
昨年の釣行時、
ブルックトラウトが
複数の川や流域に潜んでいることを
すでに確認していた。
だから、
選択肢はそれなりにある。
ただ、
仕事終わりでもあり、
本気モードで
ガツガツという感じでもない。
やっぱ、
楽チンなところがいいな。
ということで、
最初に向かうのは、
昨年チェックしていた中で
最もアプローチが
楽な川に決まったのである。
ところで、
一時代を築いた
ドラマの名作「北の国から」。
途中、
その舞台となった麓郷地区を
車でさっと通ったのだが、
観光客の姿はまばらだった。
平日の日中、コロナ禍……など
いろいろと理由はあるのだろうが、
麓郷のかつての賑わいを知る者としては
なんだかちょっと複雑。
この春、
ドラマで主役を務めた
田中邦衛さんが亡くなられたことも、
僕の中では
強いインパクトを残していた。
個人的には、
決して「北の国から」の熱烈なファン
というほどではなかったけれど、
純くん世代の僕にとっては
やっぱり身近なドラマの代表格。
だから、
閑散とした麓郷の景色に接し、
ひとつの時代が終わりを告げたことを
胸にドンと突きつけられたようで、
なんだか妙な寂しさに
ふと、さいなまれたのである。
そんなこんなしているうちに、
目的の川に到着。
この時点では、
未だ感傷的な気持ちを
引きずったままの状態だったと思う。
それでも、
ウェーダーを履いて
川に入る準備が整ったら、
自然と気持ちは入れ替わる。
ここから
いつものペースを取り戻し、
川を上流方向に歩きながら
小さなスポットを
ひとつひとつ丁寧に撃っていった。
ファーストヒットは、
少し地味系のブルックトラウト。
派手さはないが、
いわゆる標準的な
ブルックトラウトらしい
カラフルないでたちだ。
ちなみに
この小渓流は
富良野地域にありがちな
いわゆるチョークストリーム。
だが不思議なことに、
他の河川よりも
なぜか魚影が濃いように感じる。
続いてヒットしたのは、
先ほどの個体よりも
ずいぶんと
発色が鮮やかなブルックトラウト。
サイズが22,3センチなので
見た目だけで
雌雄を見分けるのは難しいのだが、
おそらくこの魚は♂。
直感的にそう思わせるほど、
ド派手ないでたちをしていた。
この後も、
バイトは続き、、、
こんな魚とか……
こんな魚とか……
昨年、
この場所に来た時には、
数カ所のポイントしか
撃つことができなかった。
だから
気付けなかったのだけれど、
どうやらここは
ブルックトラウトパラダイスのようだ。
ただ昨年と違ったのは、
交雑種っぽい個体が
一尾も釣れなかったこと。
季節も少しずれているし、
一概に比較はできないが、
これもひとつの情報としては
ちゃんと記録しておきたいと思う。
その気になれば
まだまだスコアは
伸びそうだったけれど、
ただやみくもに
同じ川の魚ばかりを釣っても仕方がない。
ということで、
すぐに移動を決意。
次に向かったのは、
少し開けた雰囲気の小渓流である。
ここは、
いわゆる人工建造物が多く、
お世辞にも
環境が健全とは言えない流れ。
それでも、この流れに
ブルックトラウトが棲むことは
昨年立ち寄って
すでに承知していた。
ちなみにこちらは、
釣り人の痕跡が
数多く残されている人気河川。
だから、
それなりに
高いプレッシャーが
魚たちにはかかっているはず。
……だったのだが、、、
ところが、
幸先よく一投目から
ブルックトラウトがヒット。
うんうん、
エントリーするタイミングが
よっぽどよかったのだろう。
その後もバイトは続き、
この日、最後に
キャッチしたのがこの魚。
サイズは、
概ね32、3センチくらいだろうか。
サイズアップした分、
水色とピンク色のスポットが
より明瞭になって
ずいぶんと
ブルックトラウトらしさが増している。
この場所に
この魚が棲むことの
是非を措くとすれば、
ひとえに美しい鱒。ただそれだけ。
はたして
「美しい魚だな」で
済ませていいのかどうか、
自分の中で
しばらくは葛藤が続きそうだ。
個人的には
釣り人の利害にはいっさい関係なく、
外国外来種だけを目の敵にする
環境原理主義的な思想に
強い違和感があるのも確か。
その一方、
在来種が絶滅に向かって
まっしぐらという状況が
今、目の前にあるのだとしたら、
それをただ指をくわえて
黙殺していいとも思わない。
なにより、
科学的な事実に基づかない
偏った思い込みによって、
おかしな方向へと
行政施策が誘導されることだけは
なんとしても
避けなければならないだろう。
う~ん、
生物多様性の問題って、
本当に根が深いな……。