2021 釣り納め DAY1

なんとなく
エントリー前から
想像はしていた。

ただ、いざ目の前に
その厳しい現実を突きつけられると、
人間は弱いから
ついつい気持ちが
折れそうになってしまう。

我が家では
毎年の恒例行事となっている
屈斜路湖釣り納め釣行。

案の定、今年も
終始、厳しい釣りを
強いられることになったのである。

今年の日程は、
カレンダーの関係もあって
2泊3日。

釣りができるのは、
初日の午後、
2日目の早朝と午後、
3日目の早朝の延べ10時間ほどだ。

条件さえよければ、
これだけの時間を確保できれば
なんとか攻略できそうな
感触はあった。

だが、
風のアシストがあるかは
なんとも微妙な情勢。

う~ん、
うまいこと
運をこちらに引き寄せないと
デコまでありえそうだぞ……。

昨年来の
湖のコンディションを
頭の中で振り返りつつ、
ついつい最初から
悲観的な予測を
立ててしまっていたのである。

初日の午後、
湖畔に立った時は、
ほぼ無風。

湖面は、
ペッタンペッタンに
凪いでいた。

前向きな要素は
天気がくだり坂だった分、
すぐにローライトに
なってくれたことくらい。

そのこと以外、
ポジティブな材料に乏しい
かなり絶望的な
コンディションだったと思う。

ところが、
湖畔に立って15分が経過した頃、
南東方向からの風が
徐々に強まってきた。

この季節、
屈斜路湖で南寄りの風が吹くのは、
南から低気圧が
接近している時くらいのもの。

なので、
毎年、この季節に
湖に刺さっている僕らでも
それほど頻繁に遭遇する
風向きではない。

ただ、風により発生する
湖流の向きを考えてみると、
ベクトルは
水温が上昇する方向に
向いているはずだ。

うんうん、
これは悪い条件ではない。

何か起こるとしたら、
おそらく今だな……。

そんな感触を得てから
たった5分。

ロッドティップに
モソっという違和感が、、、

間髪入れず
大きくロッドを煽って
渾身のアワセを入れる。

スポ~ン!

あちゃ~、
完全なすっぽ抜けだ。

アタリの感覚からして
その正体は
まあまあサイズのアメマス。

アタリで
魚種が判別できた分、
ひどく動揺することはなかったけれど、
貴重なバイトを逃してしまったのは
やはり大きな痛手には違いない。

あ~、う~、
アワセ損ないは
何度やらかしても
やっぱり凹むんだよなあ~。

それでも
チャンスタイムは
まだ続いていたらしい。

それから約10分後、
左斜め前方で
高さ1mほどの
スーパージャンプをブチかます
ニジマスの姿が
視界に飛び込んできたのだ。

咄嗟に
隣でキャストを続けていた
カミさんのほうに目を向ける。

すると、
ロッドが大きく
弧を描いているではないか。

ジィーーーーー!!

ドッシャーン!!!!

なんだなんだ、
年末のニジマスにしては
ファイトがド派手だぞ。

ん、、、
どうした、どうした!?

そうそう、
水温が一気に下がってくるこの季節、
さしものニジマスといえども
ファイトの力感が
少しずつ鈍ってくるのが常。

なのにこの魚は
まるで盛期のニジマスのような
強烈なファイトを
繰り出していたのだ。

それでも、
フッキングがよかったからか
不思議なほど
バレそうな雰囲気はなく……

じっくりと
慎重にやり取りした後、
無事、ランディングに成功。

いや~、
これは貴重な一尾だ。

もしかしたら、
この魚がこの釣行
最後の一尾となる可能性も
否定はできないくらい
大切にすべき出逢い。

うんうん、
自分でキャッチした
わけじゃなかったけれど、
とっても心落ち着く
一尾ではあったかな、、、

サイズは、
60にちょっとだけ
届かないくらい。

それでも、
屈斜路湖の魚としては
グッドサイズに違いない。

サビの出始めた
オスの個体だったので、
「プラチナ」ではなかった。

それでも、
屈斜路湖のニジマス独特の
このアクアマリン色の
美しいアイシャドーは健在だ。

ちなみにだが、
年末の屈斜路湖で
ルアーを投げている限り、
カミさんと僕とで
釣果に大きな差が付くことはない。

もう15年以上も
毎年、毎年、湖に刺さっていて、
常に傾向が変わらないのだから、
これが必然の結果なのだと思う。

もちろん、
釣りのキャリアには
大きな違いがあるのだから、
キャストの飛距離だとか
ルアーのアクションだとかには
当然、違いはあるのだろう。
それでも、、、だ。

つまり、
この釣りで最も大事なのは
細かいスキルとかじゃなくて
ズバリ戦略。

そこさえ
しっかりしておけば、
普通にルアーをキャストできて
普通にリトリーブできる人なら、
誰でも屈斜路湖の
ワイルド・ネイティブトラウトに
出逢うチャンスがある
ということなんじゃないかな。

ニジマスを
リリースした後も
しばらく悪くない
コンディションは継続していた。

だが、
追加のバイトが
訪れることはなく
ただただ時間だけが経過。

やがて
日暮れ間近となり、
最後の一投と決めた
そのキャスト。

そこで、
またしても
カミさんのロッドが
曲がったのである。

正体は、
50cmクラスの
アメマスだった。

ちょっと
痩せていたこともあり、
この魚は写真を撮らずに
すぐにリリース。

まあ、
いまの湖の状況を考えれば、
二人で約2時間やって
3バイト2キャッチなら
悪くはないだろう。

でも、
ひとつだけ大問題が、、、

そう、
僕はまだ
鱒を手にしていないのだ。

たった2時間と言えばそうだが、
このパターンは
あんまり経験がないので、
フィールドコンディションの厳しさが
身に染みてわかる。

そうそう、
カミングアウトすると、
アブラビレのない魚は
キャッチしていた。

でも今の時期、
どちらかと言えば
ギューちゃんに
口を使わせるほうが難しいはず。

ということは、
やっぱり鱒の回遊が
少ないのは確かなのだろう。

う~ん、
これは明日以降も
苦戦を免れないんじゃないか。

そんな確信に近いものが、
この時にはもう
僕の胸の奥に
去来していたような気がする。

(次回へつづく)

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