異変

週中は、
いよいよ道北を流れる
イトウの川へと足を運んだ。

ただ今年は、
やはり例年とは
目的が少しばかり違う。

そう、昨夏の干ばつの影響が
実際はどの程度のものだったのか、
自分の眼で確かめたかったのだ。

だから、
積極的にルアーを投入したのは
おそらくほとんど干ばつの
影響がなかっただろうと考えられる
一部の河川だけに限定。

多分にイトウへの
影響があったのではないかと
想像される河川については、
ただひたすらに河原を歩き、
例年との違いを
観察することに終始したのであった。

結論から言うと、
当初、こちらが想定していた以上に、
干ばつの被害は甚大。
それが率直な感想である。

多くの河川では、
例年なら頻繁に目撃する
ボイルを目にする機会も
まったくなかったし……

一部の河川では、
砂煙を上げて岸沿いのブレイクから
逃走を図るイトウを、
まったく確認できないような
予想だにしない状況にも出くわした。

そして極めつけは、
ほぼ干ばつの影響がなかったと考えて
ルアーを投じた
ある河川での出来事。

いつもなら
ちょっとランガンすれば
すぐにイトウに出逢えるはずなのに、
どういうことか
なかなか魚からの反応が得られない。

そして、
しばらく歩いてようやく
ファーストバイトを得たものの、
例年ならパッツンパッツンに
肥えているはずの魚体が、
まるで湖のイトウのように
ひどくやせ細っていたのである。

その様は、
とてもじゃないが
写真を撮る気にもならないレベルであり、
記録を残すことよりも
少しでも早くリリースすることを
優先せざるを得ない状況。

正直なところ、
かなりのショックを
受けることとなってしまったのだ。

もちろん、
今回、私が実際に歩いた川は、
猿払川のように
釣りの自粛要請が
発出されている河川ではない。

それでいて
このありさまなのだから、
現実は想像以上に
深刻な状況なのだろう。

誤解を恐れずに言えば、
昨秋に確認していた
天塩川本流のイトウの状況から
「ちょっと騒ぎ過ぎなんじゃないの!?」
と感じていたのは紛れもない事実。

だからこそ、
実際に自分の眼で
現地の様子を確かめてみて
本当によかったと思っている。

どんなに
突きつけられた現実が、
想像以上に厳しいもので
あったとしても、である。

こうして、
今年の春のイトウ釣りシーズンは、
あえなく終了となった。

個人的な感覚で言えば、
道北のイトウは
昨年の春から確実に
個体数を減らしていると思うし、
影響はおそらく10年単位で
継続することになるのだろう。

そう考えると、
今後しばらくは
道北のイトウとの向き合い方を
少し考え直さないと
いけないのかもしれない。

さもないと、
道東のイトウと同様に
いずれ道北のイトウも
本当の幻になってしまいかねない。

そんな懸念すら、
期せずして
抱いてしまうのである。

いつもなら
気分の上がるこの景色が、
今年はなんとも
寂しいもののように
感じられてしまった。

人間もイトウも
自然の猛威には
何をしても敵わない……。

そんな現実を
どうやらグサッと正面から
突きつけられちゃったみたいだ。

う~ん、
なんともせつなくて
言葉にならないな。。

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