そうそう、8月の下旬と言えば、
サクラマスの遡上シーズン。
道東では、
こんな素敵な光景を
目にすることもできました。
ところは、斜里川の上流、
清里町内にある「さくらの滝」。
駐車場からも近く、
手軽にサクラマスの遡上が見られる
定番スポットと言える場所です。
以前は、三脚での場所取りなど
観光客による迷惑行為が
ちょっとした問題になったことも
確かにありました。
けれど、マナー向上を呼び掛ける
立て看板の設置効果もあるのか、
今回は、変なストレスもなく
サクラマスの遡上風景を
のんびりと眺めることができましたね。
ちょっと観察したところでは、
相当数のサクラマスが
滝つぼに溜まっている模様。
訪問した時が、
ちょうど、まとまった雨のあとの
絶好のタイミングだったこともあり、
待ち伏せなどしなくとも
普通に"ジャンプ"を見られたのは
ラッキーだったかもしれません。
「さくらの滝」から、
車で15分ほど
走ったところにあるのが「神の子池」。
かつては、知る人ぞ知る
穴場的スポットであった
「神の子池」ですが、
近年は、完全に
メジャー観光地化してしまいました。
訪れた時も
大音量の多言語が飛び交っていて、
さすがに、その場の空気感に
ちょっとゲンナリ。
"グローバル化"自体は
もちろん否定しないけれど、
行き過ぎて"外国化"してしまうのは
さすがに歓迎できませんね。
「神の子池」が、
いくつもの偶然が重なってそこに誕生し、
誕生の瞬間から、
これまでずっと放ち続けてきた
その本質的な魅力を
決して、失わせてちゃいけない。
SNSなどでその存在を知った外国の方が、
是非、行ってみたいと思って
「神の子池」を訪れてくれるのなら
それはもう大歓迎です。
だって、あこがれを持って
遠いところからわざわざ来てくれた方々は、
「神の子池」を見て、
キラキラとした
笑顔を浮かべる素敵なお客さん。
当然、自然環境や
周囲の人々への配慮も忘れません。
けれど、私たちが率先して
"外国化"する戦略を採った結果、
集まってくる人たちというのは・・・。
結果的に、大声で騒いだり、
平気な顔をしてゴミを捨てたりする
歓迎せざる人たちが集まってきたのでは
いったい何をやっているのやらということに
なるんじゃないでしょうかね。
もうそろそろ、
長期的な視野を持って、
地域のインバウンド戦略を
再構築すべき時期が来ているのだと
私は思うのですが、
皆さんは、どうお考えになるでしょうか。
それでも、水の中には
「神の子池」のあるべき姿が
ちゃんと残されていました。
普段でも、オショロコマが
のんびりと泳ぐ姿を
見ることができるのですが
この日は、遡上してきた
サクラマスの姿も・・・。
アウトレット、
いや、流れ出しのところでは、
サクラマスのつがいが
産卵行動をおこしていましたね。
複数の個体がせめぎ合う様子も
見どころ十分ではありますが、
しれ~っとつがいに寄り添って、
おこぼれを狙う
オショロコマのしたたかさも
見逃せません。
少数派の日本人の中からも
「あれは、ニジマスだ!」とか
「いや違う、シャケだ!」なんて声も
飛んでいていましたね。
今、遡上しているサクラマスは
きっと、4~5年前に
このあたりで生まれた個体のはず。
水の中から見た
地上の景色の変わりように
彼らは、いったい何を思うのでしょう。
まあ、彼らとて、
本来は斜里川本流を遡上すべきところ
間違えて、
支流の札弦川に入ってきてしまった
可能性も否定できないから、
「変なところに来ちゃったな」と
ちょっと困惑しているだけかも
しれないのですけれど・・・(笑)
まあ、いろいろあるけれど、
つまるところ、この地域の魅力が、
次の世代に、
しっかりと引き継がれれば良い
ということなんだろうと思います。
そうすることが、
私たちの世代に課せられた
最低限の責任なんですよね。
短期的な経済的な豊かさと
世代を超えた精神的な豊かさの両立。
言葉で言うのは簡単だけれど、
しっかりとバランスを取りながら、
その道筋をつけるのは本当に難しい。
「神の子池」での出来事は、
そんなことを考えさせられる
ワンシーンでもありました。