小春日和の天塩川

しばらく続いたバタバタも一段落し、
週末は久しぶりの温泉へ。

北海道のこの時期は、
一年でもっとも
観光客が少ないこともあり、
宿泊料金が安い。

だから、いつもなら
予算上の制約に縛られてばかりの
温泉地選びだって、
今の時期は自由度が高いのだ。

広い選択肢がある中で、
どっちの方向へ向かうか
ちょっと思案したのだけれど、
結局、最北のまちの
温泉を目指すことに決めた。

それって、いつもの方向じゃない?

カミさんには
予想どおり突っ込まれたけれど、
それは仕方がない。

だって、2日間も
完全フリーで動けるのに
近くに魅力的なフィールドがないんじゃ
ちょっと残念過ぎるしね(笑)

11月下旬にもなると、
北の大地で釣りができるのは
午前7時から午後4時まで。

白夜感漂う春シーズンから一転、
秋シーズンの夜は
びっくりするほど長いのである。

そんなこともあって、
温泉旅行ではあるけれど、
やっぱり暗いうちに家を出発。

祝日の早朝は交通量も少なく、
道央道の三笠ICから
深川ジャンクションまでの間、
なんと1台の車に抜かれることもなく、
1台の車を抜くこともなく・・・

まあ、時間的に
空いているのはいつものことと言え、
さすがにこれは初めての経験かな。

遠く離れた距離にいるであろう
前後の車と
たまたま似たような速度で
走っていたからなんだろうけれど、
そんなことあるんだなと
ちょっと不思議な
気持ちになったものだ。

そんなこんなで、
日本海側を南北に走る
オロロンラインに出る頃には
東の空は明るくなりかけていた。

最後の最後に
凍結路面を走ることにはなったものの、
そこまではずっと乾燥路面。

たいした疲れもなく、
天塩川沿いを走る
国道40号線までやってきた。

その時すでに、
時刻は午前7時30分過ぎ。

この日最初に入る予定だった
ポイントに到着したのだが、
あいにく先行者の姿が・・・。

そこは、そんなに
メジャーなポイントじゃないし、
いかに休みの日とは言え、
11月の下旬なんて、
普段ならアングラーの姿は見ることも
かなり稀なのだけれど、
やっぱり今年の天塩川人気はスゴイ。

仕方がないので、
すぐ近くの別のポイントに
エントリーすることにした。

車を降りて、河原まで約5分。

目の前を流れる天塩川は
かなり減水していて、
イメージしていたものとは
全く違う光景が目の前に広がっていた。

直感的に良いイメージは
浮かばなかったけれど、
とりあえずは
ルアーをキャストしてみる。

でも、やはりと言うか
異常は何も起こらない。

そこは、粘るほどの場所じゃないので
次なる少し上流のポイントに向け
とっとと移動することにした。

移動中、メジャーポイントには
必ずと言っていいほど、
アングラーの車が停まっていた。

確かに、この日は小春日和。

道北地方に
最も似つかわしくない言葉を
あえて選択してしまうほど、
穏やかで暖かい。

だから、フィールドが賑わう
条件が揃っていたのは間違いない。

でも、さすがにちょっと
異常と感じるくらいの混雑っぷり。

きっと、猿払川が、
一度結氷した影響もあったのだろう。

「ここって鬼怒川とか犀川だっけ!?」

そんな勘違いをしかねないほど
アングラーが天塩川に集中していたから
この日は、マイナーポイントだけを
ランガンしていこうと決意する。

次なるポイント、
ここは実績のあるポイントなのだが、
なぜかいつも不人気。

幸い、この日も
そこに先行者の姿はない。

ここでも5分ほど歩いて、
河畔に立つ。

目の前の流れは、
下流のイメージからすれば
意外に水位が高い。

そうか、気圧が高いから
下流部の水位が下がってるんだな。

その時になって、
ようやくその日の状況を理解できた。

それはそうと、
目の前を流れる天塩川は
まさに「釣れる」水色をしていた。

けれども、
キャストを始めてしばらく、
魚からの反応はない。

徐々にステップダウンしながら
流れにルアーを投じていく。

コツコツ。。

そんな感触が
ロッドティップに伝わったのは
瀬尻の少し流速が緩んだスポットに
差し掛かった時のことだった。

間髪入れず、
渾身のアワセを決めた・・・

・・・はずだったのだけど、
見事に空振り。

ただ、フッキングした
感触はなかったから、
もう一度、同じスポットに
ルアーをキャストしてみる。

コツコツ。。

今度は、ほんのわずかに
送り込む時間を作ってから、
思いっきり合わせる。

クン・・クン・・・

一応、フッキングは成功したようだ。
でも、明らかに魚が小さい。

それでも、油断せずに寄せてみると
正体は、50cmクラスの
小イトウくんであった。

まあまあ、サイズはともかく、
とりあえずは、
この日のファーストフィッシュ。

ちょうど太陽が当たっていて、
イイ感じの写真が撮れそうだったから、
何カットかその場で撮影。

胸ビレとか・・・

腹ビレとか・・・

なんかちょっと、イイ感じ。

だからって、魚のクオリティを
誇張するのはイヤなので、
50cmの魚らしい雰囲気だけは
ちゃんととどめておく。

元気なうちにリリースして、
すぐに次のキャストに移る。

まあ、そこからは凄かった。

そのポイントでも、
次のポイントでも、
そのまた次のポイントでも
アメマスの大爆釣。

40~60cmをメインに
次から次へと釣れてくるから
最初のうちは楽しい。

けれど、だんだんと
フックを外すのも面倒になって
さすがにちょっと飽き気味に。

圧倒的な魚影の濃さに驚きながらも、
今度は、イトウの確率の高い
不人気ポイントに移動する。

ここで、カミさんに選手交代。

岩盤が入っていて
少し流れに変化があるスポットの
やや上流側にスタンスを取る。

おもむろに振りかぶり
流心の奥に向けて
ルアーをキャストしたその1投目。

それは、
ミノーがちょうど流心を横切った
次の瞬間のことだった。

ドン!

ブンブンブン・・・

ロッドティップが、
イイ感じで引き込まれている。

しかも、先までずっと見ていた
アメマスのそれよりも
ずいぶんとスローなピッチで・・・。

釣りの腕はともかく、
天塩川の流れを前にして、
自分の出番をかぎつける嗅覚には
いつも感心させられてしまう。

ビビリーなファイトで
ちょっと時間はかかったけれど、
無事、ランディングに成功。

グッドコンディションの
見事なイトウであった。

ところでこの魚、
顔つきも悪くないんだけれど、
極端な上半身デブの体型。

長さを測ってみると、
あらあらビックリ、
78cmしかない。

もともと、イトウという魚自体、
なんとなくアンバランスで
不格好なイメージなんだけれど、
この魚は、究極的。

肌艶も素晴らしいし・・・

魚体のキメの細かさも
文句なしなのに・・・

イトウという魚は、
クオリティと長さがリンクしない
典型的な魚種なんだなと
しみじみ感じる瞬間であった。

元気なうちにリリースして、
この日の釣りは終了。

温泉を求め、
最北のまちへと車を走らせた。

さてさて、翌日の天気も
予報を見る限りは小春日和。

ということは、混雑必至。
きっとメジャーポイントには
入れないだろう。

さてさて、
温泉に浸かりながら、
作戦でも立てることにするかな。

(次回へ続く)

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