イエローフィンに出逢う旅

緊急事態宣言が
解除されてからというもの、
それまで止まっていた仕事が
一気に動き出した。

もちろん、それはとっても
ありがたいことなんだけれど、
デスクワークが苦手な僕にとっては
結構なストレスだったりもする。

そうだ!
画像ソースを集めておかなきゃ
いけない件もあったっけ!?

…とかなんとか
もっともらしい理由をつけて、
週中の1日だけ、
久しぶりのフィールドワークに
出かけることを決めた。

目的地は、十勝地方。

もちろん、
車にタックルを
積み込むことだけは忘れない。

先にやるべきことを片付けて、
残った時間は釣り。

目論みはと言えば、
やっぱり、いつもと
まったく変わり映えがしない(笑)

やるべきことが片付いたのは、
午前11時頃のこと。

ちょっとだけ早起きして
家を出発した分のご褒美か、
うまいこと、
釣りをする時間を十分に確保できた。

向かったのは、
糠平湖よりも上流の音更川。

ここで、湖から遡上した
アメマスを狙おうという算段である。

アメマス狙いなら、
わざわざ、
そんな山の奥まで行かなくても…

北海道の釣りに
精通しているアングラーの中には、
そんなふうに
ちょっと不思議に思う人もいるだろう。

でもね・・・

この川に棲むアメマスは、
ヒレが澄んだレモン色をしていて
特別に美しいのだ。

ただ、僕はもう10年以上、
この流域に足を運んでいない。

だから、どうしても
イエローフィンアメマスが
健在なのかどうか、
この目でしっかりと
確かめておきたかったのである。

現地の天候は、小雨。

気温も13℃台と、
この時期にしては、
ちょっと寒いくらいの
コンディションである。

思ったよりも早く現地に着けたし、
せっかく、ウェーダーを
履いているのだからと、
まずは、歩いて
タウシュベツ橋梁方面に向かう。

もともと、
湖で釣りをするつもりはなかったから、
無駄足と言えばそう。

でも、久しぶりに、
近くで橋を観たいなという
衝動にかられたので、
その感情に素直に行動してみる。

レンズに雨粒が付くほど
フィールドコンディションは
よくなかった。

でも、今のこの橋には
雲ひとつない晴天よりも
むしろこんな悪天候の方が
似合っているのかもしれないな。

タウシュベツ橋梁を離れ、
少しだけ移動してから、
目的の流れを目指す。

獣道を辿り河畔に出ると
目の前には、
以前とは全く異なる景色が広がっていた。

そうだ、ここも
何年か前の台風の大雨で
大きく地形が変化してしまったのだな。

すぐに、事情は飲み込めた。

ただ、流れる水の質感は
以前とまったく変わっていない。

魚の着き場は
ゼロベースで探さないといけないけれど、
きっと魚はいるはず。

そんな期待感の方が
不安よりも大きかったと思う。

流れにルアーを投じると
すぐに答えが返ってきた。

アメマスが流れの中で
全身をくねらせながら
必死に抵抗している。

サイズは45cmほどだが、
流れの中でのやり取りは
やっぱりエキサイティング。

昔と何も変わらないこの感触に
充実感とも、安堵とも言えるような
ポジティブな感情が
僕の胸には去来していた。

そっとランディングして、
そのヒレに目を遣る。

う~ん、黄色いと言えばそうだが、
そこまで極端な感じはしない。

まあ、昔もそうだった。

個体差があるのは当然だし、
1尾だけではなんとも言えない。

とりあえず、
もう何尾か魚を釣って行けば、
そのうち、もっとはっきりとした
イエローフィンに出逢えるはずだ。

そんな期待に応えるように
次にヒットした魚は、
イエローフィンと呼ぶにふさわしい
美しいヒレの持ち主であった。

尾ビレだけを凝視すると
先ほどの魚よりもレモン色が鮮やか。

白い石を背景にすると
こんな感じになる。

サイズアップした分、
その特徴が顕著になったのかもしれない。

そうそう、この川のアメマスは
確かに50cmを越えてくると
よりいっそう
美しさを増してくるんだったな。

ようやく
かつての記憶が鮮明に蘇ってきて、
ワクワク感は最高潮に。

いや~、愉しい!

ちょっと頑張って
ここまで足を延ばした甲斐があったな。

その後も、断続的に
アメマスが釣れ続いた。

サイズは、小さくても40cm、
大きいやつは55cmくらいある。

だから、ライトタックルは
ずっと曲げられっぱなし。

このサイズのネイティブトラウトに
ここまで簡単に出逢えるのは
やっぱり日本じゃ北海道だけだろう。

目的のイエローフィンにも出逢えたし、
数も釣れたからもう十分。

この後は、
今年初のオショロコマに出逢うため、
さらに上流を目指す予定だから、
そろそろ脱渓しようかな・・・

でも、あそこのポイントだけ
軽く叩いてからにしよう。

ただの思いつきであったが、
そんな思いつきが
めずらしい出逢いを生むこととなる。

そう、これだから、
釣りはやめられない。

心躍るひとときは
これで終わりではなかったのだ。

次回へ続く)

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