(前回からつづく)
脱渓前、最後に向かったのは
いわゆる荒瀬と深瀬が
セットになったポイント。
流れが岩盤にぶっつけていて、
その際がエグレている
典型的な好ポイントである。
だが、少し気になったのが、
その脇にある細流。
こんなところに
思いもよらぬ大型魚が
定位していることだって
さほどめずらしいことではない。
だから、
本命スポットを探る前に
一応、簡単に探りを入れておく。
ゴン!
残念ながら
期待の大型魚ではなかったけれど、
アメマスらしき魚がヒット!
目視した感じでは、
ざっくり40cm台後半。
これまでと
似通ったサイズの魚のようだ。
だが、ファイトする魚をよく見ると
なんだか、全身に
黄色味を帯びているようにも見える。
そうか、
細流に定位していたくらいだから
居付きのエゾイワナかもしれない。
そう思って、
少しだけ慎重にランディングする。
ん!?
たしかに
魚種はエゾイワナで
間違いなさそう。
でも・・・
なぜか頭と尾ビレが
クロムメッキで
コーティングされたような
不思議な色彩をしている。
ほら・・・
長いこと釣りをしているけれど、
こんな姿をした
エゾイワナに出逢ったのは初めてのこと。
いったいどうして
こんな姿をしているのだろう?
そうは言っても、
ちょっと考えたくらいじゃ
答えが出ないのは当然。
まずは、何カットか
写真を撮っておくことにした。
アタマ・・・
眼・・・
尾ビレ・・・
縦位置全身・・・
やっぱり、どれをとっても
不思議な色彩である。
改めて思い返しても、
こんな激レアさんには
未だかつて出逢ったことがない。
だから、これはこれで
とっても貴重なうれしい体験。
超美形というわけではないけれど、
こんな姿をしたエゾイワナには
二度と出逢えないかもしれないから、
その姿をよ~く目に
焼き付けておくことにした。
激レアさんをリリースしてから、
フックを交換し、
ラインを結び直す。
そして、今度は、
本命のポイントに向けて
サイドハンドからルアーをキャスト。
すると・・・
この日の僕は、
めずらしく「持ってる」
男だったのかもしれない。
うれしいことに
またもや予期しなかった出逢いが
訪れるのであった。
(次回に続く)