アメマス群れる小渓流 1

週明けの月曜日、
ちょっとした用事があったので
日高の浦河町へと向かった。

用事は、
朝イチだけですぐに片付くから
その後はフリータイム。

すぐに自宅に戻って、
デスクワークをしてもいいのだが、
せっかく浦河まで出かけるのなら
手ぶらで帰ってくるなんて
ちょっともったいない。

どうせ今週は
釣りができたとしてもこの日だけ。

つまり、
朝の用事が済んだ後、
ほぼ確信犯的に
フィールドへと車を走らせたのである。

ところで10月下旬と言えば、
僕が北海道に移住したばかりの
数年間は屈斜路湖へ、
その後は天塩川に通い詰めるのが
いわば恒例行事になっていた。

この時季の屈斜路湖では
完璧なコンディションのニジマスが、
そして天塩川では
体力があり余ったイトウが
僕の期待に応えるように
ロッドを大きく曲げてくれたもの。

彼らの魅力に
憑りつかれてしまった僕にとって、
屈斜路湖通いや
天塩川通いが恒例行事化することは
たしかに必然ではあったのだと思う。

ただここ数年、
秋シーズンに僕が通うフィールドが
かなり固定化してしまっていることに
何となく疑問を抱くようにもなっていた。

残りの釣り人生、
これでいいのか、と。

そんな折、
今年は、秋シーズンに初めて
蘭越地区の尻別川本流や
日高山脈を水源とする川へと
赴く機会を得た。

実際、フィールドに刺さってみて
とっても新鮮だったし、
新しい発見もいろいろあった。

やっぱり、
たとえそのフィールドが
どんなに魅力にあふれた
場所だったとしても
ルーティンを繰り返すばかりの
釣り人生なんて
面白くもなんともない。

ここ最近、そんなことを
漠然と考えていたところでもあったので、
2週連続で
日高方面のフィールドに刺さることを
僕は前向きに捉えられていた。

さらなる
新しい発見があるかもしれない。
そんな期待感も込めて、である。

かようなコンセプトもあったので、
今回は、エントリーする場所を
主要河川に限定するつもりはなかった。

むしろ、保護水面に指定された
河川だけは避けつつ、
無名の川にもフォーカスする形。

実際にやってみると、
想像以上に、
いろいろな発見があったのである。

最初に入ったのは、
小渓流とはいえ、
それなりの規模の川。

さらに、先週末に
まとまった雨が降った影響もあったので、
適度に増水して
悪くない雰囲気を醸し出していた。

試しに、河口からほど近い
ポイントにエントリーし、
ミノーを小さな落ちこみにキャストすると
一発でヒット。

サイズは30cmほどだが
銀ピカに輝く
コンディションの良いアメマスであった。

見た目の雰囲気からして
明らかに海と行き来している個体であろう。

背中も緑色をしていたし、
今回の増水で、
川に遡上してきたのかもしれない。

次に訪れたのは、
谷が深く、ちょっと薄暗い渓。

ここでも、
エントリーしてすぐに
いきなりのヒット!

こちらもさっきと
似たようなサイズの魚ではあったが、
谷が暗い分、
色のトーンも控えめ。

見た目だけでは
河川残留型のエゾイワナなのか
それとも、
海と行き来しているアメマスなのかを
判別するのは難しかった。

ならば、
はっきり河川残留型とわかる
エゾイワナを1尾釣って、
その視覚的な特徴を確認しておきたい。

ふとそんな思いに駆られたので、
この川の上流域に移動。

すると、
車を停めた目の前のポイントで
すぐに魚がヒットしたのだが、
今度は、なんとサビの入ったヤマメ。

20cmちょっとのサイズの♂。
カラダの大きさに似合わぬ
精悍な顔つきをしている。

本当は、来年の夏まで
そっとしておきたい魚ではあったけれど、
こんなヤマメが釣れるということは
河川が健全な状態を保てている証し。

結局、この上流域で
エゾイワナに出逢うことはできなかったが、
狙いとは異なる発見があったのは
大きな収穫だったと思う。

たしかに、この川、
ロケーション的にも
ついうっとりしてしまうような
美しい流れが続いていたなあ~。

次にエントリーした川は、
とにかくアメマスの魚影が濃かった。

魚影が濃いというより
アメマスが群れていたといったほうが
表現が正しいかもしれない。

面白かったのは、
この川で釣れるアメマスの
ほとんどがイエローフィン。

中には腹部にも
美しい黄色が浮かんでいる個体もいた。

サイズもアベレージで
約40cmと一気に急上昇。

川の規模は小さいのに
こんなクオリティーフィッシュが
ちょっとの区間に
たくさん潜んでいるのだから
これは本当にスゴイことだ。

この時、時刻は
ちょうどお昼を過ぎたところ。

チョイ釣しては移動、
チョイ釣しては移動を
ひたすら繰り返していたから
時間を効率的に使えている。

しかも、どの河川でも
エントリーしてすぐに
何らかの反応を得られていることには
本当に驚かされる。

これが、北海道というフィールドの
ポテンシャルの高さなのだろう。

まだ、夕暮れまでは数時間ある。
ならば、体力が持つ限り
気になる流れに刺さってみよう。

軽い昼食を摂って気持ちを入れ直し、
未知なる小渓流探索を
もう少しだけ
続けてみることを決めた。

次回につづく)

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