(DAY1 前編 からつづく)
予想もしていなかった
爆釣劇の余韻も冷めやらぬ中、
目指すポイントに到着。
期待どおり、
そこに先行者の姿はなかった。
あとは、ここから1時間ばかり
ルアーを投げ倒すだけ。
夕マズメのプライムタイム、
1本でもいいから
イケてるニジマスに出逢いたい。
10cmほど雪が積もった
獣道をたどり、
雑木林を抜けて湖岸に出る。
そのポイントは、
北西の風が吹くこの日は
ちょうど風裏。
だから、波の直撃はないのだが、
回り込んできたうねりの影響で
湖面はイイ感じに波立っていた。
見た目の雰囲気は悪くない。
と言うよりも、
むしろいいイメージしか
湧かないくらいだ。
ところが、
ルアーをキャストしてみると
そのイメージは一変。
どの方向にキャストしても
引き抵抗を感じることがなく、
水が生きている感じが
全くしないのである。
とりあえずは、
キャストを繰り返してみるが、
鱒からの反応はない。
まあ、普段を思い返しても
このポイントで
バイトが頻発するなんて
滅多にないこと。
だから、すぐに
鱒からの反応がないからと言って、
それ自体は、
別に驚くようなことでもない。
けれど、見た目の雰囲気が
あまりに良かっただけに
現実とのギャップに
落胆のほどは小さくなかった。
さらに悪いことに、
しばらくすると、
ターンオーバー後のアワアワな水が
どこからか波に押されて
流れ込んで来る始末。
入ってくるのは
そんなネガティブな情報ばかりで、
コレと言ったヒントすら
つかめない状況が続く。
厳しい現実を
目の前に突きつけられて
少しずつこちらのテンションも
下がりはじめてしまった。
それでも、
しばらくキャストを続けていると、
岸から20mラインを
潮目が帯状に走っていることに
ようやく気が付いた。
それほどはっきりした潮目ではないが、
このネガティブな状況の中では
注目すべき”変化”である。
さらに、潮目のちょっと沖に
キャストしてみると
少しだけ水噛みのいい層があることも
はっきりとわかった。
そこからは、
ナナメ後ろから吹き込む
強風を味方につけて、
ロングキャストでアプローチ。
潮目の奥だけに絞って
ネチネチと徹底的に攻めてみる。
すると、
ほどなくして待望の違和感が
ロッドティップに伝わってきた。
このポイントに入って
はじめて鱒のバイトを捉えたのだ。
アワセも決まり、
労せずしてランディングに成功。
上がってきたのは、
40cmちょっとのアメマスであった。
期待に反し、
この日、最小サイズの鱒ではあったし、
魚種も狙いとは異なる。
それでも、
この一尾をキャッチした意味は大きい。
それは、ポイント攻略の
大きなヒントを
この40cmほどのアメマスが
与えてくれたからだ。
先ほどまでの爆釣劇で
アメマスの写真を
撮りつくした感もあったので、
ネットインせずにさっとリリース。
魚は勢いよく、
湖水へと帰って行った。
日暮れの時間も迫っていたので、
すぐにキャストを再開。
他の方向はすべて捨て、
潮目の沖だけを
徹底して狙い続ける。
すると、
アメマスをリリースしてから
5分も経たないうちに、
先ほどよりも金属的なバイトが
ロッドティップを襲った。
ジリジリと音を立てるドラグ。
ジャンプこそしないが、
スピード感のあるファイトは
本命のニジマスに違いない。
瞬時にガイドも凍る
厳しいコンディションの中での
一進一退のファイト。
最盛期ほどの
パワーとスピードはないものの、
大型ニジマス独特の瞬発力に
予断を許さない状況が続く。
さらに、
ライントラブルまで発生しかけて
ヒヤリとさせられる場面も。
それでも何とか
一定のラインテンションを保って
徐々に魚の体力を奪っていく。
波も高かったので、
最後は慎重を期して
カミさんにランディングを依頼。
かなり危なっかしかったけれど、
無事、ネットインに成功した。
姿を現したのは
屈斜路湖の鱒らしさを全身にまとった
オスのニジマス。
少し色は出ているが、
あごもしゃくれていて、
なかなかのイケメンである。
この写真じゃ
ちょっとわかりづらいのだけれど
沖目でヒットした魚だけあって、
背中はやや青緑がかった色をしていた。
サイズを測ると、59cm。
LLサイズには
ちょっと足りなかったが
体高があって
ハイクオリティーな魚だ。
もちろん、
文句などあろうはずもない。
これでこそ、
イケメンニジマスにフォーカスして
ポイントを移動した
甲斐があったというもの。
いや~、狙いどおり。
うまく行き過ぎて
ちょっと怖いくらいである。
このニジマスを最後に
この日の釣りは終了。
出来すぎともいえる釣果に
満足感が漂う。
ただ、翌日以降に関しては、
不安が期待を
大きく上回っていたというのが
正直なところだったと思う。
充実した釣果とは裏腹に
湖のコンディションが
あまり良いとは言えないことが
どうにも気がかりだったのだ。
良い条件をもらえるのは、
次の日まで。
風向きが変わる翌々日以降は
大きな期待は持てない。
となると、勝負は翌日。
朝マヅメのポイント選択をミスれば
このニジマス以降、
釣果なしの結果に
終わることだって十分ありうる。
う~ん、
満足感にずっと浸っていたら
たぶんこの先、
良い結果は得られないだろうな。
そんなこんな
何とも悩ましいフィールドの状況が
漂いかけた楽観ムードを
強く牽制していた。
そんな複雑な思いを抱えながら、
今回の宿がある川湯温泉へと向かう。
でも、せっかくの釣り旅、
アタマを悩ませてばかりじゃ
もったいなさすぎる。
少しばかり
爆釣劇の余韻に浸りながら、
まずは、刺激的な硫黄泉に浸かって
アタマとカラダをリフレッシュ。
イイ感じに
リラックスしたタイミングを見計らって、
明日の作戦を練ることにするかな。
さてさて明日は、
いったいどうなることやら・・・
(DAY2 前編につづく)