雨上がりの1時間散歩

不安定な天気が続く
今週の北海道。

昨日も、カーンと晴れたり
ザッと強い雨が降ったりと
空模様は目まぐるしく変化していた。

ただ、予報を見る限り、
夕マズメの時間までには
概ね、雨は上がるらしい。

4月は、
今日がラストチャンスかな・・・

そんな思いもあったので、
おもむろにタックルを準備して
支笏湖へと向かった。

ただ、仕事が一段落した時、
すでに17時が目前に迫っていた。

そのため、
現地到着は17:40過ぎ。

あいにくの天気だし、
時間も遅かったので、
今日こそは空いているかと思いきや、
さにあらず。

定番ポイントには、
アングラーのものとおぼしき車が
国道を走る車の邪魔にならないように
法面に寄せて、停められていた。

そうなると、
やるべきことは
空いている場所を探すだけ。

後続車は確認できないので、
国道を美笛方面に向かって
チンタラと流していく。

すると、
苔の洞門を過ぎたあたりから
駐車車両の姿が見えなくなったので、
トンネルの少し手前から
エントリーしてみることにした。

時間的にはピッタリだけど、
風もほとんどなく、
湖面はとても穏やか。

まあ、あんまり
釣れる雰囲気はなかったけれど、
春シーズン最後になるかもしれない
支笏湖の見事な
ロケーションを楽しみながら
キャスト繰り返していく。

キャストを開始して、
およそ20分。

景色を眺めながら
のんびりとリトリーブしていると
突然の生命反応が訪れる。

ゴン!

バッチャン!

バッチャン!

バチャバチャン!

驚くようなサイズではないけれど、
元気なブラウントラウトが
3連続ジャンプ!

そこからは、
魚とつながった
至福の時間を噛みしめながら、
落ち着いてファイト。

ネットにおさまったのは、
50台後半の
コンディションの良い
ブラウントラウトであった。

ところが・・・

カラダはブリブリで
コンディション抜群なのだが、
なんと、この魚、
顔面が崩壊しているではないか。

顔の右半分がえぐり取られていて、
下あごも原型をとどめていない。

救いは、皮膚が
キレイに面取りされていたこと。

察するに、
おそらく、かなり昔に
負った傷なのであろう。

そんな状況だったから、
キャッチできた充実感など
すぐさま吹っ飛び、
その後はしばらく、
せつなさと申し訳なさしか
こみあげてこなかった。

大怪我を負っている
場所が場所だけに
天敵に襲われたというよりは
かなり厳しい状況で
リリースされたと考える方が
自然なのかもしれない。

それを考えると、
なおいっそうの
せつなさがこみあげてきたのだが・・・

ちょっと待てよ。。

こんな大怪我を負っているのに
ブリブリの
コンディションを保てているって
なんて素晴らしいことなんだろう。

見方を変えれば、
そうとも言えるよな。

「よくぞ、生き延びていてくれた」

そう思うと、
せつなさは一気に消え去り、
この魚に対する畏敬の念が
少しずつ湧き上がってきた。

これだけの大怪我を負いながらも
天敵だらけの大自然の中で
しっかりと生き続けているのは
本当にスゴイこと。

その逞しさ、
生命力の強さには、
頭が下がる思いしかない。

少しだけ気持ちが楽になったので、
魚に無用な負荷をかけないように
数カットだけ撮影させてもらって、
さっとリリース。

頼むからさ、
もう二度とニセモノには
口を使っちゃだめだよ!

勢いよく湖水に戻ってゆく
ブラウントラウトを見送った時、
空はすでに茜色に染まっていた。

そんなこんな、
ひどく心が揺り動かされた
雨上がりの1時間。

僕にとっては、
いろんなことを考えさせられる
建設的な1時間で
あったことだけは間違いない。

さまざまな思いが交錯する中、
次々と道路脇から
飛び出してくるエゾシカを避けつつ、
この日は、帰路に就くこととなった。

まるで、自分の車で
ゲーセンのドライビングゲームを
やらされているかのような感覚で・・・。

あー、もー
恐ろしいったらありゃしない。

ふぅ~

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