道外に出る
機会を得たなら、
やはり北海道では出逢えない
新鮮な景色を観たいもの。
そんな時、
すぐに頭に浮かぶのが
旧中山道宿場町の
街並みだったりする。
今回訪れたのは、
妻籠宿と奈良井宿。
どちらも今や
木曽・松本地域を代表する
観光地の一つ
と言ってもいいだろう。
最初に訪れたのは、
岐阜県境に近い妻籠宿のほう。
こちらは
昭和の時代から愛されてきた
有名観光地だけあって、
駐車場や案内図の整備状況は
バッチリであった。
ただ、
円安の今は
インバウンド全盛の時代。
古い街並みを
のんびりと散策するには、
ちょっとせわしない
印象もあったかな……
それでも、
束の間の静けさに乗じ、
俯瞰画像をパシャリ。
さらに
一本裏の道に入れば、
らしいこんな景色を
ゆっくりと眺めることもできた。
蘭川沿いの
食堂で食べた中華そばも、
昭和の香りを纏った
なかなかの逸品。
およそ観光地とは思えぬ
良心的な価格設定にも、
しばし感心ぜずには
いられなかった。
続いては
こちら奈良井宿。
NHKの朝ドラ
「おひさま」の影響なのか、
ここが一大観光地と
化しているらしいことは
風の便りで耳にしていた。
そんな
予備知識もあったので、
この地は訪れたのは
朝の7時台のこと。
この時間だと
さすがに観光客の姿はまばらで、
混雑が始まるまでの
およそ2時間ほどは
のんびりと散策を楽しむことができた。
実はこの奈良井宿、
私にとっての思い出の地。
日付が変わった深夜の新宿駅、
青春18きっぷを片手に
夜行の普通列車上諏訪行に乗車、
翌朝、上諏訪、塩尻の駅で
それぞれ普通列車に乗り換えて
ようやくたどり着いたのが
この奈良井なのだ。
とは言え、
もちろん当時は
観光目的の
一人旅なんかじゃない。
安物のウェーダーが入った
20kgのザックを背負い、
右手にはお年玉で買った
シェイクスピア製のルアーロッド。
そんな不審者感満載のいでたちで
闊歩していたのが
この宿場町なのだから、
今考えると本当に恐ろしい(笑)
我が人生を振り返ってみれば、
ティーンエージャーとは
「怖さを知らない無敵の存在」
ということなのだろう。
そうそう、
この木曾大橋なんて
当時はまだなかった。
だから橋の上から
観光客にから
かわれることもなかったのだけれど、
令和の時代に
ここで釣りをするには
それなりの覚悟が要るようだ。
ただまあ、
後付けの橋ではあるものの、
ひとつの建築としてみれば
なかなかの美しさ。
ヒノキを
ふんだんに使った
木曽地方らしい
和の雰囲気を存分に
感じされてくれるしね。
こうやって
実際に歩いてみると、
やはり奈良井宿って
本当に魅力的なところなんだなと
改めて気づかされる。
奈良井川に棲む
ヤマメとイワナにしか
興味がなかった十代の頃には、
およそ30数年後に
こんな心持ちになっているなんて
とても想像できなかったけれど、、、
それでも、
目的は違えど10代の頃に
この地を訪れていたことは
私にとってかけがいのない
財産でもある。
そうも思っている。
そうそう、
同じ場所でも
人生のバックグランドが違えば
見える景色も
当然大きく違ってくるのだ。
そんな当たり前のようで
なかなか実感しにくい感覚を
当たり前のように
享受できているのだから
自分はなんて恵まれているんだろう。
可愛い子には旅をさせよ
この歳になって
ようやくこの言葉の意味を
ほんの少しだけ
理解できたような気がするな……