そして迎えた
2日目最終日の午後は、
ひとまずアングラーの姿がない場所を
探して回るところからスタート。
そんな中、
都合よくあのフライマンの車が
とあるポイントに
停まっていることを確認できたので、
間違っても彼が
移動して来ないような場所に入るのが
とにかく必須であると考えた。
そして出した答えは、
朝と同じポイントに入ること。
きっと何も得られず
あのフライマンは
場所移動したのだろうから、
バッティングの確率が
最も低いポイントは……
そう考えたのである。
そしてラッキーなことに、
その後、あのフライマンのみならず
他のアングラーとも
一切干渉することはなかった。
しかも湖の状況は、
朝と比べ格段に良化。
わずかながら風向きが変わり、
波のエネルギーが
岸際まで確実に
届くようになっていたのである。
うんうん、
これなら確実に
ワンチャンス訪れるはず。
そう、二人のうちどちらかにはね。
ところが、
期待に反し
しばらくの間
沈黙の時間が続くこととなった。
それでも、
ルアーの引き心地に関しては
今回の遠征の中で
間違いなく一番の手応え。
うんうん、
この条件をもらって
何も起こらなかったことは
過去を振り返っても記憶にない。
この後、
必ず何かが起こる、そう絶対に!
ドスン!!
ヨシ!
でも、
想像していたのと
相手のパワーがまったく違うぞ!
どうやら
想定外の魚が
ヒットしちゃったみたいだ……
いや~、
こりゃ大変だわーーーーー
ちなみに
この時の外気温は-6℃。
何もしなければ
ファイト中にガイドと
リールのガイドローラーは
どんどんと凍り付いてしまう。
だから
その状況を
放置してしまえば、
ラインブレイクは避けられない。
これを回避するには
普段よりもドラグを緩め
ラインテンションを弱めること、
ロッドを湖水に通しながら
凍結によるガイドと
ラインの固着を防ぐこと、
ガイドローラーに向け強く息を吹きかけ
定期的に氷を取り払うこと。
これらの作業を
同時並行的にこなさなければ、
ランディングに
持ち込むのはほぼ無理。
そんな苦しい状況に
追い込まれてしまったのである。
この難局を
救ってくれたのが、
ufmウエダ時代の名竿、
スティンガーラックスであった。
決して魚と引っ張り合いをしない
そのしなやかなブランクスが、
自分のスキルだけでは
どうにも補い切れない部分を
しっかりとサポートしてくれたのだ。
ぶっちゃけ、
キャスト性能に特化した
現代のロッドを使っていたら、
ラインブレイクは
免れなかっただろう。
素晴らしいバランスで
ロッドを設計してくれた技術者の方、
使い込み過ぎてヘタレてしまったロッドを
見事に蘇らせてくれた
東京吉祥寺の工房正喜さんには、
もう感謝しかないよな……
難局を乗り越え
ギリギリのところで
手にすることができたこの魚は、
手尺で右手3つ分ほど。
私の右手の長径は
おおよそ23cmだから、
わずかながらナナマルには
届いていなかったと思う。
だが、
このヘラブナ体型の
グッドコンディションは、
過去にキャッチしたナナマルを
完全に凌駕するもの。
なんたってこの魚体が
1m級のスーパージャンプを
見せてくれたのだから、
それ以上望むものなんて
あるはずもないじゃないか。
このサイズになると、
体力の回復に
それなりの時間を要する。
氷水のような湖水に
手を突っ込んで回復を図る行為は
一種の修行みたいなものだが、
このニジマスに
敬意を示す最低限の姿勢として
必要不可欠なものだろう。
強制的に
魚体を前後させて
鰓から酸素を
供給することおよそ5分。
彼女は
激しく尾ビレを翻し、
自らの力で
湖へと帰って行った。
その姿を
最後まで見届け、
2024年の釣りは終了。
一日半の釣りで
二人合わせて4尾という釣果が
はたして妥当なもので
あったかどうかは正直わからない。
ただ何より、
完全にプライベートエリア化した
ポイントでの釣り納めが叶ったこと、
これが良かった。
どんなに良い魚が釣れる
好ポイントだって、
気持ちよく釣りができないような場所で
ロッドを振りたくはないからね。
その意味で、
2024年釣り納めの
最後の1時間ほどは、
本当に素晴らしい時間を
過ごさせてもらえたんじゃないかな。
プライベートフィッシングであれ、
ガイドフィッシングであれ、
とにかく純粋な気持ちで
心から釣りを愉しめるような
環境の醸成に意識を傾けること。
2025年はこれを目標とし、
まずは自分自身の行動から
一つひとつ地道に
実践していきたいと思っている。
全4回の一連の投稿に
最後までお付き合いいただき、
誠にありがとうございました!