トロッコの川

週中は、出張で道北へ。
出張と言いつつも、前日に、
迷うことなくタックルを積み込んだ。

仕事の約束は午後からだけれど、
早起きをして、まだ暗いうちに家を出る。

目的のまち、美深町までは
およそ3時間の行程だから、
午前中、少しだけ
鱒たちに遊んでもらおうとの算段だ。

天塩川本流のニジマスも気になったけれど、
久しぶりに訪れてみたい支流があるので、
そちらを選択することに。

入渓したのは、
道北の隠れた観光名所
トロッコ王国(外部リンク)の横を流れる
ペンケニウプ川。

余談になるが、このトロッコ王国、
地味ながら、超おススメの観光スポットだ。

ロッドを置いてでも、
一度、訪れてみてはいかがだろうか。

閑話休題、12年前に
ペンケニウプ川を初めて訪れたときは、
小型のニジマスを数尾キャッチした程度で、
特に魚影が濃い川という印象もない。

けれど、苔むした渓の雰囲気が好きで
いつかまた歩いてみたいと思っていた。

入渓してしばらくの間、
鱒からの反応はない。

12年前の記憶を呼び戻せば、
十分に想定内で、
まだまだ心にゆとりがある。

しばらく釣り上っていくと、
突然、上流側からヤマセミが姿を現した。

鱒に出逢うのもイイが、
こんな希少な珍客に出逢うのも
愉しいものである。

ヤマセミからすれば、
得体のしれない侵入者に驚かされたのだから、
いい迷惑なだけかもしれないが・・・。

30分ほど釣り上っただろうか。
水深のあるぶっつけの淵で
はじめて鱒からの反応が訪れる。

正体は、意外にも良型のエゾイワナ
40cm台後半はありそうだ。

過去の記憶から、
てっきりニジマスの川と思っていたから、
正直、結構驚いた。

本流から遡上ができないことを考えると、
完全な河川残留型だろう。

エゾイワナをそっと流れに戻し、
さらに釣り上っていくと、
今度は、小型のヤマメがバイトしてきた。

あれっ、ここって
ニジマスの川じゃなかったっけ!?

ヤマメをリリースしようと
足元に目を落とすと、
そこには、先行者の足跡が。

足跡が少し消えかかっているけれど、
直前まで叩きつけるような
強い雨が降っていたから、
それほど古いものとは思えない。

少しビクビクしながらさらに釣り上る。

しばらくして、水深のある大場所に出た。

「ビッグワンが出るならここかな。」

そんな期待をよそに、
サイズにして30cm台半ばの
元気なニジマスがヒットした。

特段にサイズがいいわけでもないし、
レッドバンドが鮮やかなわけでもない。

けれど、頬が七色に染まり、
アップで見ると格段に美しい鱒であった。

時間にはまだ少し余裕があったけれど、
先行者が戻って来ても困るので、
ここで、渓を抜けることにした。

午後の仕事を終えたら、
次の日の仕事に備えて、
さらに北上しなければならない。

でもそこは、あの幻の魚が棲むまち。
何とか時間を作れないだろうか。

そんなことを妄想しながら、
国道40号線を北に向かった。

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