ジンクリアな流れ

ここ北海道には、
いろいろなタイプの流れがある。

「北海道らしさ」という意味では、
琥珀色をした湿原河川が
最も特徴的だと言えるだろう。

そんなこともあってか、
北海道に移住してからというもの、
足しげく通うのは
北海道らしい風情のある川ばかり。

意識してそうしたわけではないが、
かつて強く抱いていた
北海道への「憧れ」みたいなものが、
知らず知らずのうちに
僕の心の奥底に
染みついていたのかもしれない。

昨日は、ちょっとした
仕事の用事があって、
十勝の広尾町に出かけた。

広尾町には、
日高山脈を水源とする単独河川が
何本も流れている。

ただ考えてみると、
僕は未だかつて
これらの河川に刺さっていない。

なかなかそういう機会に
恵まれなかっただけと言えば
確かにそうなのかもしれないが、
自分の中では、
はっきりとした別の理由も存在している。

それは、このあたりを流れる川は
ほとんどがクリアな水質で、
北アルプスや南アルプスから流れ下る川に
どことなく似ているところがあるのだ。

とても美しい川に違いはないのだが
どこか新鮮味に欠ける。

潜在的なところで
僕がそういった感覚を
持ち合わせていたことだけは
間違いないだろう。

ただ最近になって、
まだ足を踏み入れていない
このあたりの川が
気になりはじめていたのも事実。

今回は、まさに
ちょうどよいタイミングだった。

長い時間は無理だが、
少しなら釣りをする時間的余裕もある。

仕事終わり、
広尾町内で太平洋へと注ぐ楽古川に
少しだけ寄り道してみることにした。

とは言え、
ロクに入渓点もわからないから、
とりあえずそれっぽい場所を探して
あてずっぽうで入川してみる。

まあ、さすがはお盆休み明け。
河原の砂地には
多くの足跡が残されていた。

一方、水質は素晴らしく、
ジンクリアな流れが
盛夏の景色と相まって実に美しい。

これは簡単には釣れないパターンだと
すぐに悟ったけれど、
別にそれならそれで仕方がない。

小一時間ほど釣り上ってみたが、
予想どおりというか何というか
アタリどころか
魚のチェイスすらない。

釣れないのは仕方がないとして
せめて、この川にどんな魚種が
棲息しているのかだけでも知りたい。

そんな気持ちで
川を眺めながらもう少しだけ
歩みを進めてみた。

すると、
水深2m以上はあるであろう
淵への流れ込みで、待望のアタリ。

底まで見通せてしまうほど
透き通った水の
いったいどこに隠れていたのだろう。

大きくはないが、
小さくもない魚が
ラインの先で必死に抵抗している。

ヤマメ用タックルだったから、
少しだけ慎重にやり取り。

姿を現したのは、
およそ40cmのクラスの
コンディションの良いアメマスであった。

うんうん、
これは「THE アメマス」といった
ビジュアルだ。

鱒に出逢えないことも
すでに覚悟していたから
魚種がどうあれ、
もうこの一尾で満足。

アメマスをリリースして
楽古川での釣りは
これで終了することにした。

さてさて、
せっかく広尾まで来たんだし、
帰りはえりも岬方面を
経由して帰るかな。

黄金道路を走るのも
およそ1年半ぶりだし・・・。

とかなんとか言って、
車の針路を南南西に取る。

う~ん、まだ明るいし、
たしか、途中に何本かの
小さな川が流れていたっけな!?

そうそう、狙いはコレ。
往生際の悪いことに
今度は、えりも町内を流れる川に
少しだけ寄り道しようという企みを
こっそりと胸に忍ばせていたのである。

次回へ続く)

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