ほっとする川

来週は、
出張やら何やらいろいろと忙しく、
どうやらフィールドに出ることは
ちょっと難しそう。

ならば、行くなら今日しかない!

いつもより少しだけ
早く目を覚ましたのをいいことに
衝動に駆られて
とっさに家を飛び出したのは、
昨日の午前6時半頃のことだった。

もちろんそんな状況だから、
最初から行き先が
決まっていたわけではないのだが、
こんなときのために
普段から膨らませているイメージはある。

まずは、ということで
とりあえず目指したのは喜茂別の街。

尻別川の流れにビビッとくれば
そこに刺さればいいし、
もしビビッとこなければ、
別の場所に移動すればいい。

それにしても、
この日は天候が実に不安定。

家を出た時は曇り空であったが、
すぐに霧雨が降り出し、峠では本降り。

でも、峠を抜けると道路は乾燥していて、
喜茂別に着く頃には、
キレイな青空が広がっていた。

とりあえず、
橋の上に立って、
尻別川の流れをのぞき込んでみる。

見た目上、
まったく悪くはないのだが、
やっぱり良型ヤマメが出そうな雰囲気が
なんとなく感じられない。

う~ん・・・
ちょっと迷ったけれど、
ここは自分の感覚を信じることにして、
先へと進むことを決断。

釣りにならないことも覚悟しつつ、
黒松内の朱太川を目指し
車を走らせることにした。

朱太川に向かうにあたって、
釣りにならない覚悟が必要だったのは、
今週に入ってから
この地域にピンポイントで
ずっと雨が降り続いていたから。

およそ1時間ちょっとのドライブで
無事、朱太川に到着したのだが、
案の定、増水した川には
かなり強い濁りが入っている。

う~ん、やっぱり駄目だったか。
どうしよう、
進むべきか、戻るべきか・・・。

尻別川水系に戻れば、
濁るどころか
ほとんど平水であることをすでに確認済。

でも、せっかくここまで来たのなら、
ダメもとでいいから
未知の河川を探索してみても面白いだろう。

少し考えてすぐに結論が出たので、
早速、日本海に面した島牧へと向かって
ドライブを敢行することを決めた。

途中、峠は霧に煙り、
ものすごい爆風が吹き荒れている。

だが、その向こうには、
快晴の領域がパッと広がっていることも
遠目から確認できる。

山を下りる途中、
こんなめずらしい景色にも出くわした。

山の稜線の低いところに虹が架かり、
その遥か遠くでは、
日本海が白波を立てて荒れ狂っている。

う~ん、釣りをするには微妙だけど、
まあ、こんな素敵な景色が見られるのなら、
これはこれで悪くはないものだ。

島牧に出てからは、
海岸線を西に向かって走る。

このあたりは禁漁河川も多く、
もともと釣りができる場所も
ずいぶんと限られるのだが、
水源が狩場山周辺にある川の水は
どこもアマゾンのような
強烈な濁り方をしていた。

それでも、島牧の中心を通過し、
せたなの街に近づくにつれて、
川の流れはどんどんクリアになっていく。

そして、旧瀬棚町の中心部で
日本海へと流れ込む馬場川の流れを覗くと
濁りはまったくなく
水位も平水より少し低いくらい。

うん、ここなら釣りはできる。
かなり強い風が吹いてはいたが、
それでも贅沢は言っていられない。

こうして、僕の人生で初めて、
この馬場川という川を
釣ってみることになったのであった。

少しだけ上流に向かって車を走らせ、
安全に入渓できそうな場所を探す。

すると、迷惑にならない
ちょうどいい場所がすぐに見つかったので、
そこに車を停めて川へと降りた。

そこにあったのは、
いかにもヤマメが棲んでいそうな流れ。

いつも思うことだが、
やっぱり初めての川に入ると
とってもワクワクする。

しかも、
里川の雰囲気が色濃く残るこの川は、
熊との遭遇リスクが
さほど高くはないようにも思え、
そんな安心材料を補強することで
ワクワク感はさらに増していくのだ。

入渓点近くこそ
さすがに無反応であったが、
少し歩くと、ありがたいことに
魚が頻繁に反応してくれるようになった。

最初にヒットしたのは
このエゾイワナ。

サイズはおよそ30cmほどだが、
アメマスに近いビジュアルだし、
もしかすると、
海と行き来している個体なのかもしれない。

その後は、ピンコの猛ラッシュ。

サイズにして
10~16cmくらいのチビヤマメが
ポイントごとに飛び出してくる。

ものすごい魚影の濃さなのだが、
サイズアップの気配はなし。

やっぱり
まともなヤマメは無理かと半ばあきらめ、
今度は、久しぶりにスピナーでの釣りを
楽しんでみることにした。

すると、ようやく
まともなサイズのヤマメがヒット!

まともなサイズと言っても
せいぜい25cmクラス。

それでも、
紆余曲折の末たどり着いた川で
この秋色を帯びた
一尾に出逢えた喜びはひとしおだ。

もしかすると、
盛期に出逢えていたら、
このヤマメは
ものすごいベッピンさんだったかも。

そう感じさせてくれるほど、
このヤマメは、
ハイクオリティーな魚であった。

その後、
背中に傷の回復痕が残る
エゾイワナを一尾追加して
馬場川での釣りは終了。

まともな魚は
3尾しかキャッチできなかったけれど、
とっても愉しい時間を
この川で過ごさせてもらった。

なんだかほっとする川。
馬場川はそんな印象の川だったかな。

時間はまだあったが、
この日は結構な疲れを感じていたので
あまり無理はせず
ここで自宅方面に引き返すことに。

でも、その途中で
気になる川があったら
ちょっとだげ撃ってみようかな。

そんな気持ちを抱きつつ、
目まぐるしく変わる天気の中、
車どおりの少ない国道をひた走る。

そして、
やっぱりというかなんというか、
途中でおもむろに車と停め、
少しの時間だけ道草を喰ってから
帰ることにしたのであったが・・・。

(次回に続く)

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