昆布川で道草

前回からつづく)

せたなからの帰路、
後志利別川は
美利河ダムからの放水もあって増水中。

その支流も、増水と濁りで
エントリーは
ほぼ不可能な状況であった。

一方、噴火湾に注ぐ国縫川は
増水はしているものの、
水色はササ濁り。

ただ、まだ道草を喰うには
ちょっと早すぎるので
ここはとりあえずパスして、
長万部方面へと向かう。

すると、長万部の
市街地に入る手前を流れる紋別川には
まっ茶色の水が流れていた。

その後、念のための
確認に立ち寄った長万部川も
濁りが強く、エントリー不能。

さらに、朱太川水系も覗いてみるが、
黒松内川には濁流が流れていて、
本流筋の濁りは取れていたものの、
増水でかなりポイントが狭まっている。

この状況を見ると、
やっぱり狩場山周辺にだけ、
集中的に雨が降っているようだ。

確かにここ数日、
南東からの強い風が
噴火湾側からずっと
吹き込み続けてはいたけれど、
それでも、ここまで
雨の降り方がピンポイントなのも
かなりめずらしいことであろう。

結局天候は、
大枠で見ると午前中と大差はなく、
黒松内を過ぎるあたりまでは
しばらくずっと生憎の空模様。

そして、蘭越の市街地に
差し掛かるあたりから、
急激に天候が回復するという
傾向を辿っていた。

ただ、天候の回復に伴って、
少しは空が明るさを取り戻したけれど
時刻はもう夕方。

さすがに
これ以上道草を引っ張れば、
熊と遭遇するリスクも高まる。

なんとしても
それは避けたかったところで、
国道5号線を少し進んだところを流れる
昆布川の雰囲気がいいことに
ふと目が留まった。

よし、少しだけ
この川を撃ってから帰ろう。
そう決断したのである。

久しぶりに入ったその流域は、
以前と変わらず、
底石がいい塩梅で入っていて、
そこいら中に
魚が隠れられるスポットが点在する
実に素晴らしい流れであった。

ただ「以前」とはいっても
その「以前」は、
今から30年も昔のこと。

これほどの長い月日が流れても
少なくとも見た目上は、
川が健全な状態を保っていたことに
なんともうれしい気持ちになる。

さっと準備を済ませ、
入渓点前のポイントから
順繰りに探りを入れてみる。

やはりここは激戦区なのか
わかりやすいポイントから
魚が出てくる気配は
まったく感じられない。

だが、小さなスポットを
ミノーで丁寧に探っていくと、
岸際のちょっとしたスポットから、
30cmを少し超えるくらいの
元気なエゾイワナが飛び出してきた。

う~ん、
やっぱりここは尻別川水系。

かつて首都圏でやっていたような
"セコい"釣りを展開しない限り、
どうやら魚は反応してくれないようだ。

その後も、
竿抜けになりそうなポイントからは、
エゾイワナやニジマスが
次々と飛び出してきた。

ここは河原がないので
写真を撮るのは最低限。

でも、ポイントが多く、
コンスタントにアタリが出るので
結局、100mほどしか
進むことができないうちに
日没サスペンデッドになってしまった。

やっぱり、
ここは人気河川と言われるだけの
十分な裏付けのある川なんだな。

昆布川に対して、
改めて感じるところがあったのは
僕にとって
大きな収穫だったと言えるだろう。

"セコい"釣りが、
ちょうど楽しくなってきたという
タイミングだったので、
昆布川を離れるのは
ちょっと名残惜しくもあった。

だが、これ以上の長居は、
鱒ではなく、
熊と遭遇する危険を高めるだけ。
ということで、
この日の釣りはこれにて終了。

う~ん、もうちょっとやれていたら
もっといい魚に出逢えたかも・・・。

そんな思いも無いわけじゃないけど、
かなり充実した道草だったから
ひとまずここは良しとしようかな。

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