(前回からつづく)
翌日、必要な仕事を終えたのが
ちょうどお昼前のこと。
残りの仕事は帰りがけに
済ませればいいから
午後は、いよいよお楽しみの
フィッシングタイムだ。
この日、もともとは、
猿払川の様子を見に行く予定であった。
だが、念のため
天塩川の水位をチェックしてみると・・・
おっ、前日よりも
約15cmも
水位が下がっているではないか。
だとすると、
あそこのポイントが
絶好の状況になっているはず。
ならば、
猿払へ向かうのをキャンセルして
天塩川に刺さることにしよう。
やっぱりイトウを釣るなら
天塩川がいいのだ。
もう彼岸を過ぎているから、
午後の明るい時間は短い。
悩んでいる時間ももったいないので、
そのイメージしたポイントを目指し、
一路、国道40号線を南下。
中川町、幌延町、天塩町の
境界付近に向けて車を走らせた。
およそ1時間ちょっと走って
目指すポイントに到着すると、
幸い、そこに先行者の姿はない。
コロナ禍で
どこのフィールドも
人がかなり増えている現状を考えると
いかに平日とはいえ、
先行者がいても
おかしくはないと考えていたのだが、
その懸念は杞憂に終わった。
余談ではあるが、
僕がそのポイントにエントリーしてから
さほど時間を置かずして、
アングラーのものとおぼしき車が
アプローチとなる道路に入ってきたのだから、
ちょっとのタイミングの差で
狙ったポイントに
エントリーできたことになる。
まあ、もしかすると
すでに午前中のうちに
ほかの先行者に叩かれた後なのかも
しれないけれど・・・
目の前を流れる天塩川は
前日よりもかなり減水し、
大河の風格は
幾分削がれていたように思う。
それでも狙ったポイントに
首尾よく入れたのだから、
このチャンスを
モノにしなければもったいない。
そんな思いもあったから、
前日よりもちょっとだけ気合を入れて
河畔に降り立った。
だが、やはり先行者はいたようだ。
ほ~らね、、、
まあ、さすがに
イトウ釣りはしてないだろうけど、
対岸から川を泳いで
渡ってきたことだけは確実。
これじゃあイトウは
怯えてしまって
反応してこないかもしれないな。
そんな悲観的な未来予想図が
ついつい頭をよぎりそうになったけれど、
そこはもう割り切るしかない。
天塩川で過ごす貴重な時間、
ネガティブ思考なんて
邪魔にしかならないのである。
ドン!
ワシャン、ワシャン、
ワシャン、ワシャ~ン!
様子見がてら
ヒョイとキャストしたルアーが
着水するのとほぼ同時に
水面が大きく割れたのだ。
サイズは、
やはり大したことがない。
まあせいぜい、
前日と似たようなサイズだろう。
それでも、狙い通りの
ポイントでのヒットは格別。
イトウとつながった至福の時間を
じっくりと噛みしめながら
あわてず騒がず
ゆっくりと浅瀬まで誘導する。
サイズは、60cm+α。
やっぱり70cmにも届かない。
ただ、サイズアップはならずとも
連日、イトウと出逢えていることは
シンプルにうれしいものだ。
このイトウ、
前日の魚ほどではないが
やっぱり黄色味が強くやや細身。
ここも岩盤絡みのポイントだけに
居付きの魚は
このようなビジュアルに
なりやすいのかもしれない。
回復も早かったので、
手早くこの魚をリリース。
続いて、広範囲に
このポイントを攻めてみる。
すると・・・
ガン!
今度は、衝撃に近いアタリ。
ルアーとイトウが
「点」で衝突したような感触だ。
でも、サイズは
今までと同じような感じ。
ここまでスコアを稼げていたので、
ずいぶんと
気持ちに余裕も出てきていた。
だから、のんびりと
ファイトを堪能させてもらおうかとも
思ったのだけれど、
サイズの割に引きが強く、
なかなか、こちらの
思いどおりにはさせてくれない。
流心には突っ込むし、
オマケに大ジャンプまで披露。
それでも、
無事、先ほどの浅瀬まで
誘導することに成功した。
う~ん、少しだけ
サイズアップしたような
やっぱりしないような・・・
ただ、太さだけで言えば
今までの天塩川の2本よりも
確実にぶっとい。
いわゆる「砲弾型」の体型である。
しかも、魚体は
シルバーメタリック系。
どうやらこちらは
下流域から遡上してきた魚のようだ。
先ほどの1本目と比較するために
同じ石の近くに魚体を固定してみる。
う~ん、やっぱりサイズは
似たり寄ったりだけれど、
色や黒点の密度が違うから、
はっきり別のイトウであることがわかる。
まあ、こんな比較ができるのも
2本のイトウをキャッチできたから。
これで、もう十分。
2日で計4本のイトウに出逢えたのだから、
サイズが小さいなどと文句を言ったら
確実にバチがあたるだろう。
こうして、
沈黙の3週間を経て
ようやく満足のいく鱒たちと
出逢うことができた。
やっぱり、
北の大地の鱒釣りは最高!
多少のブランクがあったからこそ、
自分の中で
気がつくこともある。
この素晴らしい環境が
当たり前でないことだけは
これからも常に意識しながら
フィールドに立ち続けたいと思っている。
イトウはやっぱり天塩川で。
朱鞠内湖や猿払川とは
明らかに違う魅力が
ここ天塩川にはあるのですよね。