予定外の寄り道で…

前回からつづく)

この日の宿に
直接向かう予定を急遽変更して、
稚内の市街地に入る手前で
国道40号線を右折。

稚内空港近くを流れる
声問川へと車を走らせた。

川に到着すると、
週末の増水の影響が残っているのか
いい塩梅で濁りが入っている。

が、、、
そこは声問川のこと。
秋シーズンでもあるし、
過度な期待をしても
ガッカリさせられるだけだろう。

夕マヅメの30分、
のんびりとロッドを振れればいい。

そんなリラックスした気持ちで
何気なく河畔に立つ。

それから約30分、
何も起こらないまま
ただ時間は過ぎていった。

あと、3投・・・

そう決めて、
イトウのフィーディングスポットに
なっていそうな場所に
ルアーを淡々と撃ち込む。

その1投目・・・

何も起こらず。

そして2投目・・・

ドン!

えっ、ウソでしょ???

にわかに信じ難い出来事ではあったが
カラダはしっかりと反応。

鋭いアワセが決まり
イトウが大きく首を左右に振っている。

う~ん、
だいたい85cmくらいかな?

ロッドを握る右手に伝わった感触は
そう教えてくれていた。

ただ、サイズの割には
まるでメーター級のイトウのように
ファイトが力強い。

なんだなんだ、
海と行き来している
遡上系のイトウなのだろうか???

その後、何度か
けたたましいドラグ音が
湿原に響き渡ることになった。

それでも、じわりじわりと
プレッシャーをかけていくと、
魚の体力が落ちてきたことが
ロッドを通して伝わってくる。

あとは、冷静にやり取りするだけ。

でも、ここ数分で
一気にライトが落ちてきた。

あんまりのんびりやっていると
ランディングした時には
ほぼ真っ暗になってしまうぞ。

そんな計算もあったので、
さらにプレッシャーを強め、
一気に勝負に出る。

えい!

お~、入った。

うんうん、
サイズは見立てどおりか
少し大きいくらい。

でも、だいぶ空が
暗くなっちゃったな・・・

まずは写真とカメラを取り出すが
やっぱり光量が足りない。

シャッタースピードが遅くなって
写真は全部ピンボケ。

保険でストロボ撮影しておいた
ショボい写真だけが、
なんとかそのイトウの姿を映していた。

あとから
サイズを測ると89cm。

腹部が銀色に光り、
海と頻繁に行き来していることを
示しているような個体だ。

およそ10分くらいかけて
慎重に回復を図ってからリリース。

もうその頃には
辺りはほぼ真っ暗に近い
状態になってしまっていた。

いや~、やっぱり
寄り道はしてみるものだ。

でも、きっと再現性なんてないし、
ただ偶発的にヒットしただけ。
だから、狙って釣っただなんて
口が裂けても言えない。

それでも
水の中にルアーを投げなきゃ
魚は絶対に釣れない。

あえて言うなら、
「声問川に寄り道してみよう」
という判断が
正解だったということなのだろう。

はっきり言って、この時季、
天塩川よりも圧倒的に確率が悪いと
断言してもいいくらいの期待薄河川で
この一尾を手にできたのは
ラッキー以外の何ものでもない。

もともとは
立ち寄るつもりさえもなかったのだから、
本当に釣りは面白いものだ。

だからと言って、
翌日の仕事終わり、
声問川を狙うという選択はない。

時間があれば天塩、
そう、やっぱり天塩川で
ロッドを振りたいのである。

次回に続く)

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