晩秋の2ショット

今週に入ってから
あちこちで
積雪状態となったここ北海道。

中でも、日本海側の地域は
11月半ばとは思えないほど
結構な積雪となったようだ。

そのため、
多くの河川では
かなり水位が上昇。

そこに、
当然、濁りも加わるから、
ほとんどの河川で
まともな釣りができないことは
ある程度、想像できていた。

例年であれば、
今は、ちょうど
天塩川を行脚しているシーズン。

ただ今年は、
新たな世界を切り拓こうと
この時季に訪れたことがない
いつもと違う地域のフィールドへと
意識的に足を向けるようにしている。

よって、日本海側河川の増水は
さほど致命的なものだとは
最初から考えていなかったのだ。

とは言え、
日帰りで行ける範囲の中で
雪の影響を回避しようとすれば
ある程度、地域は限定される。

そこで、釣行先として
一気に浮上してきたのが
日高地方を流れる川。

こちらの方面に向かえば
どの川に入るかはさておくとしても、
釣りが成立しないという
最悪の事態だけは
どうやら免れることができそう。

さらに、日高方面の海沿いは
ライブカメラの映像を観ても
雪が積もっている様子は確認できない。

こうして、
向かう方向は決まった。

いつもより少しだけ早起きして
まだ薄暗い夜明けの空の下、
まずは、海沿いに伸びる高規格道路
「日高道」の入口を目指す。

ところでこの地域、
特産のししゃもが
今、旬を迎えている。

日高道ができる前は、
店の軒先に干されたししゃもが
晩秋ならではの情緒を
醸し出していたものだった。

ただ、高規格道路を
利用することが多くなったここ最近は、
こうした昔ながらの風景を
目にする機会が
減ってしまったかもしれない。

便利さと引き換えに
失われゆくものがあるのは、
僕の第2の故郷、
長万部の街と
どこか共通するところが
あるようにも思える。

そうこうしているうちに
車は、新冠川、静内川と
日高地方を流れる
名だたる名川を次々と超えていく。

本当は、これらの河川で
ブラウンとか、シートラウトを
狙うのもアリかなとは考えていた。

ただ、どうにも
水量も水色も気に入らない。

その後、通過することになる
三石川、元浦川も含め、
なんとなく、気配が薄いのだ。

結局、エントリーする場所を
決められないまま、
浦河、様似の街を次々と通過。

ついには、
様似町のはずれを流れる有名河川、
幌満川まで来てしまったのである。

さすがに、
これ以上走り続ける気力もなかったので、
まずは、2週前に
かなりの数のアメマスが
溜まっていたポイントにエントリー。

とりあえずは、
魚の顔でも見ておこうかと
軽く考えていたのだが…

ところが、だった。

先日、ものすごい数
群れていたはずのアメマスが
まるであれは幻だったのかと錯覚するほど
見事なまでに
姿を消していたのである。

いや~、マイッタ。。

早くも大ピンチ、
さてさて、これからどうしようかな?

幸いだったのは、
こんなこともあろうかと
予備として
ショートゲーム用のタックルを
ちゃっかり車に積んできていたこと。

よし、こうなったら
襟裳岬から南十勝方面へ向かって
時間の許す限り
小さな河川を叩いていくことにしよう!

やることは決まった。
早速、地図とにらめっこしながら
エントリーする河川と
スポットのイメージづくりをしていった。

そして、入渓した最初の河川は、
人工建造物の多い貧相な流れ。

それでも小型ながら、
銀色のアメマスが
ミノーに反応してきてくれた。

サイズ的には、
たぶん30cmほどだっただろう。

それでも、
確実に海と行き来していることを
感じさせてくれる魚体。

果たしてこの魚、
貧相な流れに嫌気が差したら
海に降って
ストレスを発散しているのだろうか。

次の河川でも、
小型のアメマスを一尾…

その次の河川でも
小型のアメマスを一尾…

一尾釣ったら移動、
そして、一尾釣ったらまた移動。

こんな超ハイテンポな釣りを展開し、
コンスタントにスコアを重ねていった。

迎えた次の小河川、
そこは岩盤質で、
河川環境も悪くないように思えた。

そして、なんとここで、
思いもよらず
良型のヤマメに出逢うこととなる。

ちょっとした深みに
無理矢理ねじ込んだミノーを
一発で喰ってきたのだ。

サイズは、27cm。

晩秋のこの時期に、
こんな良型のヤマメが
ヒットしてきたこと自体に
まずは最初の驚き。

そして、色のトーンこそ
かなり秋めいてはいるものの、
肌艶も魚体の張りも
ずいぶんと回復が進んでいる。

この点にも、
正直、驚かされたものだ。

それにしてもこの魚、
パーマークの形状が独特で
お腹の斑模様の主張も強い。

本州では、
よく"本ヤマメ"なんて表現が
使われたりするけれど、
原始の姿をとどめているという意味では
もしかすると
共通した部分があるのかもしれない。

この後、近くのポイントからは
都合のいいことに、
アメマスが次々と飛び出してきた。

そう、だからこんな写真を
撮影することが可能になったのだ。

晩秋の2ショット。

これは、僕の釣り人生の中で
はじめて見る新鮮な画だったと思う。

この後、狙いどおりに
お腹がオレンジ色をした
河川残留型のエゾイワナを追加し、
ネットの中は、
トラウトの盛り合わせ状態に。

それにしてもこの川、
魚たちにとっては
楽園のような場所なんだろうな。

そんなこんな、出だしで
大きく躓くことにはなったけれど、
なんとかリカバリーに成功。

さらに、
今まで僕が知ることのなかった
新しい世界にも触れることができて、
ずいぶんと充実した時間を
過ごすことができている。

でも、まだ時間はある。

そして、
その先に待っていたのは、
心躍るような
新鮮な出逢いだったのだ。

次回に続く)

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