(前回から続く)
弟子屈最後の晩は、
昇龍軒さんで
北海道の町中華を
存分に堪能させてもらった。
ちなみに北海道では、
東京の町中華とは違い、
「中華そば」「タンメン」
「レバニラ炒め」といったメニューを
見かけることは少ない。
その反面、
特に餃子とザンギに
強いこだわりを持つお店が多く、
ここ昇龍軒さんも
例外ではないだろう。
そうそう、
こちらのお店の名物は、
手づくりの「弟子屈餃子」。
もちもちの皮に
地元食材満載の餡が
ぎっしりと詰まった
食べ応えのある逸品なのだ。
暖簾をくぐると、
食べ過ぎを承知で
ついつい注文してしまうのだけれど、
ここの餃子は
やっぱり外せないんだよな。
そして遠征最後の朝、
湖畔へと続くけもの道を歩きながら
その先に広がる
湖の方向へと目線を向けてみる。
すると、
前日の予報どおり、
案の定、
湖面はペッタンペッタン。
いや~、
これはかなり厳しい。
ひと目見て、
そうわかる状況であった。
それでも、
湖畔に立ってみると
頬を撫でるように吹く微風が
時折、湖面に
さざ波を立てていた。
うんうん、
勝負が成立するとすれば、
太陽が昇り切るまでの
短い時間。
微風が吹いて
湖面にさざ波が立った
その瞬間が、
まさにチャンスタイムだろう。
もしもわずかでも
可能性が残されているとすれば、
不意に訪れるかもしれない
そのワンチャンスを
逃さずに捕まえられた時だけ。
きっと
そうに違いない。
この時、
外気温はー13℃。
冬の屈斜路湖としては、
驚くような寒さではないのだけれど、
やはり厳冬期の釣り特有の準備を
怠ることはできない。
そうそう、
キャストごとに
ガイドに付着する氷を
こまめに溶かしながら、
またキャスト、の繰り返し。
地味な作業ではあるけれど、
不意のバイトに備え、
ラインブレイクのリスクは
極力減らす努力を
しておかねばならないのである。
そんなこんな、
開始から約30分、
何も起こらない
静かな時間が続いていた。
陽が完全に昇ってしまったら、
ほぼノーチャンス。
ならば、
今、まさにこの時間に
集中、集中!
それでダメなら、
素直に完敗を認めればいい。
それだけのことだ。
ゴン!
その瞬間は、
やはり不意に訪れた。
しかも、
回遊コースを狙った遠投ではなく、
足元のカケアガリを狙った
ショートキャストで。
やはり釣りというのは、
何十年やっていても
すべてお見通しとはならないから
本当に面白い。
ジィーーー
ジィーーー
ジィーーー
さすがに盛期の
スピード感には欠けるものの、
いかにもニジマスらしい
直線的なファイト。
ファイト中も
油断するとガイドが凍って
ラインブレイクする可能性もあるから、
テンションを保ったまま
ロッドティップを水中に突っ込んで
氷を溶かさないといけない。
その分、
普段のファイトよりは
格段に神経を遣わされるのだが、
こんなファイトを体験できるのは
厳冬の北海道の
フィールドだからこそ。
だから、
ビクビクはするけど楽しい。
そう、圧倒的に
ワクワクドキドキなのである。
ワンチャンスをモノにする
貴重な一尾だったので、
いつも以上に
ファイトが慎重に
なってしまったような気もする。
それでも、
最後は落ち着いてネットイン。
う~ん、
本当に最後の最後、
首の皮一枚のところで、
なんとか
ミッションコンプリートだな。
サイズは、
目算で55,6cmといったところ。
初日の午後に
カミさんがキャッチした
ニジマスよりは
やや小ぶりなサイズだったけれど、
この期に及んで
文句などあろうはずもない。
ピンピンに張った
尾ビレの状態も良好。
ビカビカとは言えないが、
それでもこの時期としては
十分すぎるほどの
コンディションじゃないか。
そして、
このニジマスも
アクアマリン色のアイシャドーが
得も言われぬほど美しかった。
うんうん、
たかが一尾、されど一尾。
この見事な
魚体に出逢えるからこそ、
過酷な釣りを
強いられるシーズンに
わざわざこの地への
遠征を毎年繰り返しているのだ。
最後の最後で
救ってくれたこのニジマスには、
心の底から感謝だな。
こうして、
2021年屈斜路湖釣り納め釣行は
無事に終了。
カミさんも僕も
それぞれ1ニジ、1アメという
スコアにとどまったのだから、
もしかすると
屈斜路湖での釣り納めとしては
過去最低の釣果だったかもしれない。
それでも、
最終的にゼロではない
スコアを刻むことができて、
美しい鱒と出逢えたことには
大きな価値があったと思う。
この調子だと、
おそらく来年も
厳しい状況は続きそうだが、
それでもめげずに
屈斜路湖の鱒と対峙したい。
そう思っている。
最後に
このブログを見てくださっている
アングラーの方々に
僭越ながら
ワンポイントアドバイスを。
屈斜路湖の攻略法に関しては、
ジグ、ミノー、スプーンなどなど
さまざまなメソッドが
雑誌などで公開されていますが、
はっきり言って、
どの方法でも魚は釣れます。
何より魚を遠ざけるのは
アングラーの迷い。
だから、
無理してトレンドに乗っかるよりも
終始、自分のスタイルを
貫き通したほうが
結果にコミットする可能性が高い。
そう思います。
もしも、
ほかの湖で通用する
確信のパターンを
すでに会得しているのなら、
自信を持って、
そのパターンをそっくりそのまま
屈斜路湖に持ち込めばいい。
それこそが、
屈斜路湖の鱒と出逢うための
近道なんじゃないでしょうかね。
このルアーじゃないと
全然釣れないとか、
このカラーじゃないと
魚が反応しないなんてことは、
絶対にありない。
これだけは、
断言しておきたいですね。
もし工夫をするなら、
アクションに変化をつけるとか、
湖流とキャスト方向を
丁寧にシンクロさせるとか、
そっちのほうが
よっぽど大事な要素でしょう。
もし、屈斜路湖の攻略に
頭を悩ませている
アングラーの方がいらっしゃれば、
是非、参考にして
いただければと思います。