年末恒例の釣り納め DAY1

我が家では、年末恒例となっている
屈斜路湖、釣り納め釣行。

厳冬期のチャレンジをスタートした
2007年頃には、
年末に、このフィールドで
アングラーを見かけることは
かなり稀であったのだけれど、
近年、人気ポイントは
混雑するほどのフィーバーっぷり。

屈斜路湖では、結氷直前まで、
鱒が積極的に口を使うという事実が
アングラーの間に、随分と
浸透してきたんだなあと実感する。

振り返ってみると、よくもまあ
性懲りもなく、10年以上にもわたって
道内でも特に冷え込みの厳しい
このフィールドに立ち続けているなあとは
もちろん自分でも思う。

「屈斜路湖がもっとも幻想的な表情を見せる
この季節が好き」

それでも飽きずに継続してきたのは、
この想いに尽きると言っていいだろう。

春の新緑も、秋の紅葉も、
結氷期の御神渡りも
屈斜路湖の景色は表情が豊かで、
どれも本当に見事なのだけれど、
結氷直前のけあらしに朝日が差し込む
幻想的な景色の中、
心を落ち着けてロッドを振るのが
私にとっては、何より愉しいのだ。

過去には、-25℃の寒さの中、
キラキラと宝石のように輝く
ダイヤモンドダストと
水面から湧き立つけあらしが
交錯して作り上げられた
言葉ではおよそ言い表せないほど
神秘的な空間でロッドを振ったことも。

そんなフィールド、
日本全国どこを探しても
ほかにはないだろう。

さて今年は言うと、さにあらず。
冬将軍の到来で放射冷却現象は発生せず、
気温だけを見れば、
むしろ例年よりかなり高い。

その代わりと言ってはなんだけれど、
強烈な北西風が吹きすさび、
高波が次々に湖岸を洗う
なかなかにハードな環境だ。

それでも、この湖で釣りをする上で
重要なファクターと言える”波”。

一定方向に波が打ち付けることで、
安定的な湖流が発生する。

このことは、
魚を釣ることだけにフォーカスすれば
かなりの好条件と言える。

冬将軍のせいで
幻想的な景色には出逢えなかったけれど、
お詫び程度に、少し早い
お年玉をもらったような気分にもなった。

【DAY1】

エントリーしたのは、午前10時頃。

例年、この時期は、他のアングラーを
あまり見かけないポイントなのだが、
今年は雪が少なく
アプローチが容易なこともあってか、
先客が1人、すでにエントリーしていた。

声をかけると、
少し離れた場所にエントリーすることを
快諾してくださったので、
深場が隣接するエリアでキャストを開始する。

ドン!

開始から5投もしないうちに、
重量感のあるアタリが
ロッドを握る右手にダイレクトに伝わった。

水温も5℃を切り、
さすがに最盛期のファイトには及ばないが、
そのスピード感は、
さすが屈斜路湖のニジマスだ。

近くまで寄せてくると、目測で55cm。
いや、もう少しあるかもしれない。

さあ、そろそろランディング態勢に
入ろうかと思った矢先、
フッとテンションが消えた・・・

あ~あ、やっちまった。。

今年は、比較的バラシが少なく、
キャッチ率は堅調に推移していたのに、
最後の釣行でいきなりのバラシとは
気持ちの整理をつけるのが
なかなかに大変だ。

くやしいと感じなくなった時、
きっと成長は止まってしまう。

だから、そんな感情が湧き立つことは
むしろ、歓迎すべきことなはず。

でも、その瞬間は、
そんなポジティブな気持ちにはなれない。

自然と言えば自然、いつものことと言えば、
いつものことだなあ~(笑)

そんなモヤモヤを引きずりながら
キャストを続けていると、
少し離れたところにエントリーしていた
カミさんのロッドが弧を描いた。

足元のブレイクでヒットしたらしく、
近距離でのファイトが続く。

バレそうな雰囲気もあったので、
やや強引にネットインすると、
なかなかのサイズの凛々しい面構えをした
オスのニジマスであった。

計測してみると、58cm。
体高もあるから、かなりの重量感だ。

ライトを抑えて撮影すると、
やや青みがかったグリーンバックの
美しい体色が浮かび上がる。

屈斜路湖のニジマスとしては、
十分、満足なサイズと言える。

ファーストコンタクトとしては
かなりの上出来だ。

そうそう、自分で釣ったわけじゃ
ないんだけどね(笑)

でも、この魚体を手にできるだけでも
十分、満足できるくらい
クオリティーの高い個体だった。

湖の状況は、相変わらず悪くない。

とかく、マズメ時に偏りがちな
魚からのコンタクトが、
日中に連続して訪れたことも
期待を膨らませる。

それから、およそ30分ほどして、
私のロッドに、この日2回目の衝撃が訪れた。

衝撃と言っても、
バラした時ほどの重量感は感じない。

また、かなり沖目でバイトしたので、
フッキングに不安が・・・。

それでも、弱気こそ最大の敵と
自分に言い聞かせるように
慎重かつ大胆にファイトする。

そして、何とか
無事、ランディングに持ち込んだ。

49cm。

もちろん、素晴らしい魚なのだけれど
少し冬の装いをした個体だったし、
先ほどバラしたヤツよりも、
確実に小さいこともあって、
心の底からスッキリとはいかない。

それでも、パーツパーツが
しっかりとしているという点で
屈斜路湖のニジマスはやはり魅力的だ。

あまり負荷をかけたくない個体だったので、
撮影もそこそこに、そっとリリース。

一目散に、湖水へと帰っていった。

そこから、1時間弱くらいであろうか。
少しだけ、アタリが遠のいた。

まあまあ、ここではよくあること。
いくらフィールドの状況が
悪くないと言っても
そうそう連発するほどは甘くない。

それでも、期待感を持ちつつ
キャストを続けていると、
また、カミさんのロッドが曲がった。

ロッドの曲がりからして、
なかなかのサイズに見える。

しばらくのファイトの後、
今度は、やや慎重に
ランディングに持ち込んだ。

57cm。今度のヤツは、
かなりイカツイ顔つきのイケメンだ。

魚体にサビもほとんど出ておらず、
コンディションも良好。

尖った口先とレッドバンドの美しさが
ひと際目を惹く。

透きとおった胸ビレからは、
艶めかしさすら漂う。

昨年、しばしば見かけた成魚放流魚とは
完全に別物だ。

屈斜路湖のニジマスはこうあってほしい
という理想に限りなく近い。

キリっと引き締まった表情は
かなりの男前。

今どきのイケメンじゃなくて、
昔風のイケメンかもしれないけれど・・・

いやはや、
ロケーションの素晴らしさだけじゃなく
こんな美しい鱒も釣れちゃうから、
いよいよ毎年恒例になっちゃうんだよね。。

あっ、そうそう、
自分で釣ったんじゃなかったっけ(笑)

その後、少しだけ粘ってみたけれど、
次のバイトが訪れることはなく、
1日目はストップフィッシング。

個人の釣果には不満があるけれど、
本当に美しい魚には、
誰が釣ったかなど
もうどうでもいいと思ってしまうほど
心を激しく揺さぶられるものだ。

翌日に期待を持ちつつ、
傾きかけた午後のやわらかい日差しが照らす
湖畔をゆっくりと歩き、車へと戻る。

屈斜路湖で釣り納めを敢行する
もう一つのお楽しみが良質の温泉。

やっぱり、温泉は冬に限るなあ~。

美しい魚に出逢ったら、
冷え切ったカラダを温めるべく
源泉かけ流しの温泉でほっこり。

これ以上の贅沢はないだろう。

もちろん、カラダには
絶対よくないとわかっているけれど
雪見の露天風呂は最高だ。

ひとつ気になるのは、
翌日、天候が悪化する予報が出ていること。

何とか、朝だけでも
エントリーできることを祈りつつ、
そのことはいったん忘れて、
まずは、温泉をゆっくり楽しむこととした。

DAY2へつづく・・・)

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