尻別川を後にして
向かったのは、
ニセコ山系を流れる
オショロコマの渓。
毎年、安否確認に
訪れている川ではあるが、
やはり最初の一尾に出逢うまでは
ワクワクよりも不安が先立つ。
そんな瀬戸際に
立たされた小渓に、
少しばかり緊張した心持ちで
今年も立つことになったのである。
だが、
そんな不安や緊張も
まったくの杞憂に終わった。
この渓らしく
かわいらしさを纏った
オショロコマたちが、
必死の形相で次から次へと
ルアーに襲い掛かってくるではないか。
あ~、
無事でよかった……
そんな安堵の気持ちと
オショロコマに出逢えた歓びが
ないまぜになって、
言葉では簡単に言い表せない感情が
今年も湧き上がってくる。
それにしても
この川のオショロコマは、
容姿が実に多様で
なんとも興味深い。
有色斑点が小さく
色はオレンジで共通しているものの、
それ以外の特徴は
個体によってバラバラ。
こんなふうに
上からのアングルで眺めると、
まるで由来の異なる放流魚が
カオスを形成している
本州のイワナ河川を
つい思い出してしまうほど。
でもね、
この川のオショロコマに関しては、
どの角度から考えてみても、
どこからか人為的に持ち込まれたとは
とても考えづらいのだ。
まっとうな研究者が
この川に入って
遺伝子解析でもしてくれれば、
ある程度の謎は
解けるのであろう。
でも、
よくわからないからこその
ワクワク感はやはり捨てがたく、
このままそっとしておいて
いいんじゃないかという感情も
ついつい湧き起こってしまう。
まあまあ、
いずれきっと人間の手によって
謎は解き明かされるのだろうけど、
その結果に触れることが
必ずしもすべてではない。
科学の力こそが偉大、
そんな価値観を持つ
研究者にこんな暴言を吐いたら
ものすごく怒られそうだけけどね……
オショロコマの写真を
数カット撮影させてもらい、
長居は無用とばかりに
この渓をそそくさと後に。
様子を見ておきたかった
別の河川へと移動することにした。
移動した先の
河川でも、
無事、オショロコマの棲息を
確認することができた。
ここ最近は場荒れが激しく、
将来が危ぶまれる細流なだけに
キャッチするのは一尾までと
勝手に自己規制。
この渓らしい
見事な魚体を一尾でも
拝ませてもらえれば
それだけでもう
十分に満足なんだよね。
そんなこんな、
期せずして尻別川に寄り道する
ハプニングはあったものの、
無事、目的の
オショロコマにも出逢うことができて
この日は大満足。
やっぱりね、
たっぷり一日使って渓を釣り歩くって、
これ以上ない
ストレス発散になるんだよなあ~。
PCに向かってばかりいると
ついつい物事を
難しく考えすぎてしまうから、
週に一回は
完全休養日をつくらないとダメ。
その思いを改めて強くした
という意味でも、
この日はとても意義深い
一日になったんじゃないかな。