ゴン!
ジィィィィィィーーー
ブルブルブル、バッシャーーン!
ポロリ。。。
あ゛ーーーー(絶叫)
週中、自らのメンタルを
健全な状態に保つため、
終日、強制休暇を
自主取得することにして向かった
尻別川喜茂別地区。
冒頭のくだりは、
その一投目に起きた
無念の出来事である。
悲劇を招いた原因は、
ひとえに心の準備不足。
いつも言ってるじゃないか、
何事も準備が大切なんだぞ!、と
こうやって
釣りは常に教訓を残してくれる。
人間に言われたら、
素直に聞き入れられないこともあるけど、
命がけで魚からきついメッセージを
投げかけられたら、
素直に耳を傾けないわけにはいかない。
この日、
川はやや増水気味で、
いわゆるササ濁りの状態。
すなわち、
予期せぬ大物が
ヒットしてもおかしくない条件が
これでもか、と揃っていた。
にもかかわらず、
こちらの側に
心の準備が整っていなかったのだ。
サイズはせいぜい
50cmクラスというところだったけど、
普通にやれば獲れた魚だけに、
あまりにもったいない。
すべては自分のミス。
マイナスからの
スタートにはなってしまったが、
こういう時こそ、
気持ちをリセットしないといけない。
少しだけ間をあけ
頭をクリアな状態に戻してから、
いつものリズムを意識しつつ、
下流方向へと
少しずつ歩を進めていく。
この日の狙いは、
ズバリ晩夏の大型ヤマメだ。
願わくば「尺」クラス。
それくらいのスケベ心を持って
川に入ったのだが、
いきなりのバラシで
にわかに意気消沈。
まともなサイズのヤマメを
一尾でもキャッチできたらOKと、
少し謙虚になって、
目標を下方修正したのである。
……が、
やはり晩夏の尻別川で
ヤマメをヒットに持ち込むのは
そう簡単なことではなかった。
ランダムに訪れるバイトの主は、
すべてニジマス。
普段なら25cmクラスが多いのに、
なぜかこの日は、
30~35cmがアベレージだった。
だから、
魚とのやり取りはもちろん楽しいし、
文句なんてあろうはずもないのだけれど、
やっぱりヤマメの顔が見たいのだ。
しかしながら、
その後もニジマス……
ニジマス……
そして、ニジマス。
一度だけヒットしたヤマメは
17cmクラスの未成熟魚。
それも、
岸へ誘導しようと思ったら、
ポロリとフックアウトしてしまった。
そんなこんな、
まともなサイズのヤマメはおろか、
いつもなら必ず
顔を出してくれるエゾイワナすら
一回もバイトしてこない。
ということは、
秋産卵の魚たちが
ルアーに対する興味を
失ってしまっているのではないか。
川がこちらに
投げ返してくるボールからは、
そんな想像が掻き立てられた。
う~ん、
これ以上続けても、
出てくる答えは一緒だろう。
そう判断し、
予定を少し早めて
脱渓を決意。
思い切って、
上流域へと移動することにした。
移動先の上流域も、
普段より水量はやや多め。
ただ、濁りの程度は、
これまでの場所よりも
若干は薄かったと思う。
ここでも、
すぐにバイトを拾うことができたのだが、
その主はニジマス。
その後も
25cmクラスが
断続的にヒットしてくる。
だが、
釣れども釣れども
ニジマスばかり。
ヤマメもエゾイワナも
一向に顔を見せてはくれない。
それでも、
心折れずにラン&ガンを続けていると、
ここでようやく
エゾイワナがヒット。
狙いのヤマメではなかったが、
言葉はちょっと悪いけど、
「ニジマス地獄」から
解放されたような気持ちになって、
少しばかり気持ちが落ち着く。
ところでこのエゾイワナ、
スポットが真っ白ではなく、
若干、黄色味を帯びていて
いわゆるクリーム色をしている。
ただ、
すべてのスポットが
同じ色をしているので、
この色彩は、
体表全体を覆う
黄色味に由来するものだろう。
昨年、日高の渓で出逢った
有色斑点を持つ
アメマスの画像と比べると
その違いが分かりやすい。
うんうん、
やっぱり今回の魚は
ノーマルなエゾイワナ。
たしかに普段から
レア魚を狙っている僕ではあるけれど、
いつもいつもビックリするような
魚に出逢えるようなら、
それはもう
「レア」でもなんでもないからね。
エゾイワナを
リリースした後も、
さらに上流に向かって
ラン&ガンを繰り返していく。
狙うレンジを下げたら、
もしかすると
ヤマメがヒットするんじゃないか?
そんな仮説を立て、
ルアーをディープ系にチェンジして
水深のある淵を丁寧に探ってみるも、
答えはやはりニジマス。
沈めた分、
サイズアップはしたのだが、
答えが大きく変わることはなかった。
結局、ここまで、
まともなサイズのヤマメを
キャッチするという
この日の目標には到達できず。
さらに、最大魚も
ファーストキャストでバラした
ニジマスだったという
見事なオチまで付いている。
でもこの日は、
せっかくの強制休暇。
気持ちを切らさず、
川を変えて
もうひと頑張りしてみるか。
再度、
メンタルにスイッチを入れ、
ニセコ・昆布方面へと
移動することを決めた。
準備不足が
たたってしまった前半、
さてさて、
後半の巻き返しはなるのだろうか?
(次回へと続く)