旧産炭地を巡る

お盆を過ぎる頃、
北の大地は、毎年、決まったように
秋の訪れを色濃く感じさせる
空気に包まれる。

大雪山系の黒岳では
早くも初雪が観測されるなど
週後半の北海道は、
秋の気まぐれな天気に翻弄された。

芦別川の三段滝も
ご覧のとおりの増水で
大迫力の絵面に。

上流部の濁りは収まりつつあるけれど、
まだまだ水位が高く、
この週末は、入渓をあきらめることにした。

せっかく空知地方に来たからと、
旧産炭地の面影を残すまちを
少しだけ巡ってみる。

現在、日本でもっとも人口が少ない
「市」として知られる歌志内市には、
炭鉱のまちの象徴ともいえる
かつて、テレビドラマの舞台にもなった建物が
地元の人たちの努力によって
その姿を今にとどめている。

となりの赤平市にあるかつての歓楽街は、
今は、閑散としたたたずまい。

それでも、その一角に残る大衆食堂は
昭和レトロな独特の雰囲気を醸し出す
魅力的な店構えで迎えてくれた。

店に入ると、厨房と客席を隔てる壁には
年季の入ったメニュー札が掲げられ、
出前の注文が入れば、黒電話から
ズッシリと重みのある音色が奏でられる。

不思議なほどに
居心地の良い空間でいただく
カレーそばの味わいは
目と耳だけでなく、舌をも古き良き時代に
タイムトリップさせてくれた。

赤平からわずか50kmも離れていない
富良野や美瑛にあふれかえる
外国人観光客の姿は、
このまちには全くない。

でも、日本の文化を愛する外国人が
一見、ミスマッチにも思える
このまちを訪れたなら、
きっと、心動かされるに違いない。

そんなことを妄想しているうちに、
旧産炭地を巡る充実の時間は
あっという間に過ぎていったのでした。

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