石狩川水系をロケハン

グレートフィッシング然別湖
セカンドステージも無事終了し、
週後半は上川地方のフィールドへ。

およそ、10年ぶりくらいになるだろうか。

超久しぶりに、
石狩川水系を探索するのが
初日のミッションだ。

ところが、高速道路の
料金が割引になる時間帯を
必要以上に意識しすぎてしまい、
旭川鷹栖ICを降りた時には、
まだまだ辺りは真っ暗。

仕方なく、
2日目にロケハンを予定していた
天塩川水系へと向かうことにした。

士別市内の天塩川本流に架かる
橋に到着した時には、
夜は明けはじめていた。

車を降り、
おもむろに川の様子をのぞき込むと、
目に飛び込んできたのは、
実に貧相な流れ。

その様子を見れば、
岩尾内湖からの放水が止まっていることは
一目瞭然であった。

出発前に、
テレメータの数値は確認していたから、
驚きこそなかったが、
実際に具合の悪そうな水を目にすると、
やっぱりテンションは下がるもの。

いつもよりヘビーなタックルも積んで、
天塩川本流にも
少しばかり色気を持っていただけに、
朝から、テンションが急降下してしまった。

とはいえ、
士別まで来てしまった以上、
天塩川水系で
一度はロッドを振っておきたい。

そう考えて、
上流に位置する旧朝日町方面へと向かい
少しでも、雰囲気のよさそうな場所を
探すことにした。

旧朝日町の中心部を抜け、
岩尾内ダムに近づくにつれ、
相変わらず水量は貧弱ながらも
水質は少しずつマシになってきた。

とりあえず、
エントリーしやすい場所を見つけ、
ルアーをキャストしてみる。

すると、すぐに小さなアタリが来た。

とは言え、本流用タックルでは
かなり物足りない感触だ。

寄せてくると、
正体はスキニーなアメマス。

ちゃんとした鱒には違いないけれど、
ちょうど産卵の時期とも重なっているから、
コンディションは
あまり良いとは言えない。

数カットだけ撮影させてもらって、
ゴメンとつぶやきながらリリース。

すぐに車に戻り、
今度は、岩尾内ダムの
さらに上流域を目指すことにした。

途中、ポンテシオダムには、
平日だというのに、
多くのアングラーが入っていた。

見る限りは、
フライフィッシャーばかりで、
中には、本格的なフローターを
持ち込んでいる人もいる。

混雑するフィールドが苦手な私は、
そんなポンテシオダムには目もくれず、
さらに上流を目指す。

天塩川の源流域は、
函状の急峻な流れが続き、
途中、いくつかの
美しい支流が合流している。

もしかしたら、
オショロコマが顔を出してくれるかも。

そんな期待を持ちつつ、
ルアーを流れに投じてみたが、
全く反応はない。

次の支流、さらに次の支流と
移動しながら撃っていっても、
結果は同じ。

それでも、今日ばかりは
ガッカリとはならない。

なぜなら、紅葉に彩られた渓の景色は
言葉にならないほど美しく
いのちを洗濯してくれるから。

タックルを石の上に置いて、
しばらく、錦秋の流れに見惚れる。

こんな素晴らしい景色に出逢えるのなら、
魚なんか釣れなくたって
ここに来た甲斐があったというものだ。

十分に景色を堪能し、車へと戻る。

これ以上粘っても仕方がないので、
今度は、小さな峠を越えて、
当初の目的だった
石狩川水系を目指すことにした。

そこから30分ほど車で走り、
愛別川とその支流に立ち寄ってみる。

が、そこでも完全ノーバイト。

仕方がないので、
今度は、別の支流を目指す。

次に向かった支流で、
この日初めて、
オショロコマに出逢うことができた。

見た目は、大雪山系の
典型的なオショロコマといった感じ。

サイズは、
およそ20cmといったところか。

次にバイトしてきた魚は、
オショロコマにしては
悪くないサイズであった。

がしかし、
ランディング目前でフックアウト。

結局、もう1尾、
20cmクラスを追加したところで
川を上がることにした。

10月ともなると、
北海道の日暮れは早い。

時計の針は15時を回り、
陽は西に傾きはじめた。

今回のロケハンでは、
石狩川の支流を
集中的に探ってみる予定だった。

ただ、陽が傾きかけた時間帯に
人気のない支流に入り込むのは
ちょっとばかり気が引ける。

いや、ちょっとじゃない。
やっぱり、クマさんとの遭遇は
どうしても避けたいのだ。

そうなると、
残る選択肢は、石狩川本流しかない。

と言っても、
本格的に本流に刺さっていたのは
もう10年も前の話。

当時とは、ところどころ
流れも変わってしまっている。

だから、過度な期待はせず、
エントリーしやすくて、
雰囲気のある愛別地区のポイントに
入ってみることにした。

踏み跡をたどって
砂交じりの河原に出る。

そこには、
今日のモノではないものの、
無数の足跡が確認できる。

その様子は、
鬼怒川本流と大谷川の合流点に立つ
20年前の自分の姿を
思い出してしまうほど。

そりゃそうだ、
北海道第2の都市、旭川の中心部から
1時間もかからない場所なのだから
激戦区なのは、至極当然なのだ。

そんな様子だから、
難攻不落の鬼怒川攻略に精を出していた
あの頃を思い出しながら、
ルアーを流しにくいであろう
複雑な流れの筋ばかりを狙って
集中的に攻めていく。

すると、流心奥の巻き返しのところで
あっけなくヒット。

長さは、40cmを
少し超えたくらいだったけれど、
超メタボなニジマスであった。

つぶらな瞳を見る限り、
まだまだ幼さを残す顔つき。

きっと、栄養状態がイイのだろう。

キメの細かさこそイマイチながら、
見事な体型をしたその姿に満足。

そっとリリースして、
この日の釣りは締めくくり・・・

となるはずだったのだが・・・

筋書きのないドラマには
なんと、まだ続きがあったのだ。

先ほどのニジマスをリリースしてから
5投目くらいのこと。

ドン!
ギュイーーーーーーン!!!

テトラと大石が絡み合って
複雑な流れが形成されたスポットに
ルアーが吸い込まれた瞬間、
まるで瀬音をかき消すような
金属的な爆音が響いたのであった。

最近、本流のデカニジ狙いから
やや遠ざかっていたこともあり、
ちょっとばかり狼狽。

でも、すぐに冷静さを取り戻して
慎重なやり取りを繰り返す。

何度か肝を冷やされる
シーンはあったけれど、
少し時間をかけて
なんとかランディングに成功。

60cmにわずかばかり足りない
立派なオスのニジマスであった。

かつては、本流のデカニジをメインに
釣りを組み立てていた時代もあった。

けれど、やっぱり在来種とは
心のどこかで
無意識に区別していたのかもしれない。

そうこうしているうちに、
いつの間にか、彼らとの間に
少し距離ができてしまっていた。

でも、こうやって
久しぶりに本流のデカニジに出逢うと
やっぱりいいなと思う。

それが正直な気持ちだ。

だって、こんなに凛々しくて・・・

そして、こんなに上品な色合いで・・・

う~ん、今日は本当にラッキーだ。

だって、狙って釣ったわけじゃなくて、
偶然、めぐり逢えたんだから。

じっくりと回復させてから、
魚をそっとリリース。

足早に車へと戻り、
事前に予約してあった
上川町内の宿へと車を走らせた。

次回へつづく)

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