天塩川ボーナスステージ~シルバー

前回からつづく)

お昼を過ぎ、
少し上流域に位置する
ポイントへと移動。

できればもう一本、
贅沢を言らせてもらうなら、
サイズアップが理想ではある。

ただ、なんせ、
この時季の道北の日暮れは
驚くほどに早い。

日暮れギリギリまで粘っても、
16時が限界なのだ。

そんな時間的制約があるので、
この日回れるのは
頑張ってもあと2カ所。

まずは、1カ所目の
ピンスポットに立ち寄ってみる。

ところが、
少しだけ内陸に入ってきた分、
徐々に積もっている
雪の量が増えてきてしまった。

湿った雪だから
ちょっとの距離を歩くだけでも
体力をかなり消費。

最近、めっきり
衰えを隠し切れなくなった
オッサンアングラーは、
少しぜーぜー言いながら
流れに向けてルアーを放つ。

すると、ここでも
1投目から魚のバイトを捕えた。

だが、
正体はアメマス。

ただ、サイズこそ60cm弱だが
ブリブリの
グッドコンディションではあった。

続く2投目、
キャストしたルアーが
目の前の流れを横切る間、
何も起こることはなかった。

ところが、
あともう少しで
ピックアップというタイミングで
ルアーを追尾する黒い影を確認。

魚に違和感を与えないよう
リトリーブからの自然な流れで
8の字メソッドを描く。

すると、
そこまでルアーとの距離を
一定に保っていた黒い影が
猛烈な勢いで
ルアーに襲い掛かったのだ。

バシャバシャバシャバシャ!!!

わずか10cmほどの水深しかない
目の前の浅場で
狂ったような勢いで
イトウが左右に首を振っている。

スッポーン!

そして次の瞬間、
魚との距離を
取ることもできないまま
見事にすっぽ抜け。

口から外れたルアーは、
キャスト時の垂らしと同じくらいの位置で
プランプランと
まるで振り子のように揺れている。

あ゛ーーーーーー
やっちまった。。

せめてもの救いは
大したサイズではなかったこと。

それでも、あの状況で
口を使わせるところまでいったなら、
なんとしても
キャッチまで持ち込みたかった。

だから、悔しい!

でも、なぜかそこには
ヘラヘラとした僕がいた。

だって、
人っ子一人いない冬の天塩川で
大の大人がワクワクするような
体験ができただけでも
それは本当に素晴らしいこと。

そんなふうに思える
心の余裕を与えてくれたのは、
目の前に広がる
絶景のおかげだったのだろう。

その後は、
アメマスを数尾追加したものの
イトウは不発。

残り時間も少なくなってきた中で、
これ以上、粘る理由はない。

そう判断し、
この日最後のポイントに向け
すぐに車で移動することを決めた。

そして、約10分ほど車を運転し
目的のポイントに到着。

さらに雪の量が増えた気もするが、
だからといって、ブーブーと
文句を言っても仕方がないだろう。

覚悟を決めて、ラッセルを決行。

大汗をかきながらも、
なんとか河畔まで
無事、たどり着くことができた。

ここは、どちらかと言えば
僕のお気に入りのポイントなんだけれど、
今年は増水などもあって
エントリーする機会が減っていた。

だから、目の前に広がる景色が
なんとなく新鮮に見えたものだ。

すでに陽も傾きかけていたので、
すぐに呼吸を整えて
キャストを開始。

手元に伝わる感触は絶好で
近未来にやってくる至福の時間を
まるでこっそりと
僕に教えてくれているようであった。

ゴン!

ジージージージーーーーー

そんな衝撃が
ロッドを握る右手に伝わったのは、
ルアーが流れを横切り、
緩流帯に差し掛かるかどうかの
タイミングのことであった。

サイズは、悪くない。

ん、、、
でも、何かが違うような……

コトの真相が明らかになったのは
しばらくやり取りしてからのこと。

70cmクラスの
アメマスのどデカい尾っぽに
ルアーがちょこんと
引っ掛かっていたのであった。

そりゃ~制御できないわけだ。

仕方がないので
魚への負荷を最小限に保ちつつ
浅瀬に誘導してフックを外す。

あ~、ごめんごめん。
ミスバイトした自分が悪いんだよ、
なんて言ったりしないから、
ここは勘弁ほしいな。

その後、そのポイントで
60cm台のアメマスを数本キャッチ。

なんだか感覚が
マヒしてしまいそうなほどの
アメマス爆釣劇だ。

ただ、狙いはあくまでもイトウ。

だから、今度は
狙うスポットを微妙にずらして
違うアプローチを試みることに。

そして、その作戦が
見事、的中することになる。

ブン、ブン、ブン、ブン…

この首振り、
これまでのアメマスになかったもの。

そう、期待どおり
イトウのバイトを捕えたのだ。

サイズは、
どうこう言うほどではない。

でも、十分なトルクがあって
イトウと一本のラインでつながった感覚が
しっかりと手元まで伝わっている。

いや~、
ホント、たまんねえーなあ~

そんな至福の時間を
味わわせてもらいながら、
イトウとの間合いを
だんだんと詰めていった。

ネットを使わずに
浅瀬に誘導したイトウは
午前中にキャッチした魚と
似たようなサイズ。

期待した
サイズアップにはならなかったが、
この二度目となる出逢いに
思わず口元が緩む。

この流域のイトウには
スキニーな体型の
個体も少なくないのだが、
コイツもやっぱりブリブリ。

う~ん、
やっぱり今年は
何かが違うらしい。

イトウをリリースする頃には
ずいぶんとローライトに。

これ以上粘る理由もないので、
この日の釣りは
ひとまずこれで終了とした。

なぜなら今回は、
まさかのDAY2があるのだ。

今の状況を考えれば
明日もまたチャンスはあるだろう。

だから、この日の午後は
まだシルバーステージ。

その先があることを期待して
宿を確保していた初山別まで戻り
まずはゆっくりと
カラダを休めることにしたのである。

次回に続く)

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