イトウ向けロッド考_2

前回からつづく)

さてさて、今回も
イトウ向けロッドの話題の続きです。

前回、僕がイトウを
ターゲットにした釣りをはじめた頃、
1980年代製の
「モンスターブラウン」というロッドを
使っていたと書きました。

ただ、使っていて気付いたのは、
中・小型のイトウを釣るには
ホント、最高のロッド。

だけど、大型イトウに
特化した釣りをするには
どうしてもバットパワーが
不足していたのですよね。

そこで、新たな
相棒として導入したのが、
現代の「モンスターブラウン」
だったわけですが…。

残念ながら、このロッドが
ロックフィッシュ向けに
転身を遂げることになった理由は、
単にブランクスが硬すぎるから。

当時の僕は、
何としてもバットパワーの不足という
明確な課題をクリアしたくて、
パワー系のロッドを
いろいろと探していたんですね。

でも、実際に
パワー系のロッドを使ってみると、
ロッドティップが
大型のイトウの首振りに追従できず、
ルアーが吹っ飛ばされて
勢いよく戻ってくる
アディオス事件が多発!

旧式の「モンスターブラウン」では
決して起こり得ないことでしたから、
ああ、パワー系のロッドは
イトウとの相性が
あまり良くないんだなあ~、と
ここではじめて気づいたわけです。

もちろん、
断定はできないけれど、
展示会の会場などで
さまざまなロッドを振ってみても、
やっぱり、パワー系のロッドでは、
リニューアル後の
「モンスターブラウン」で
起こったのと似たような現象が
確実に起こるのだろうと想像しています。

パワー系のロッドには
大型魚のパワーに負けないとか、
キャスタビリティー性能が高いなど、
当然、メリットもいろいろあるわけですが、
こと、イトウ釣りに関しては
う~ん、これはちょっと使えないぞ、と。

そこで、今度は
パワー系ではないけど
大型イトウにも対応できそうな
剛柔を兼ね備えた
ロッドを探したんですね。

その中で
目に止まったのが、コレ!

当時、老舗メーカーのufmウエダが
製造・販売していた
「スティンガーラックス」という名の
ロッドだったというわけです。

ufmウエダのロッドに関しては、
僕のフィッシングライフの中で
すでに主軸として
大活躍してくれていました。

山梨の桂川や
栃木の鬼怒川での本流ヤマメ狙いの際に
メインチョイスとなっていた
「スーパースティンガー」がそれです。

だから、"曲げて獲る"という
当時のufmウエダのコンセプトも
ひとりのアングラーの肌感覚として
十分に理解できていたんですよね。

ただし、
「スティンガーラックス」は、
もともと、本州の大型サクラマスを
メインターゲットに
企画・製作されたロッド。

だから、
パワー不足に対する懸念が
まったくなかったわけでは
ありませんでした。

でも、実際にロッドを振ってみると、
今はあまり見かけなくなった
ボロン素材のハリの効果か、
バットパワーに
特に不足を感じることはなかった。

ブランクスのベンディングカーブも
驚くほどなめらかだったので、
これなら、大型イトウの首振りにも
柔軟に対応してくれるのではないか、と
直感的に理解したんですよね。

フィールドで実際に
「スティンガーラックス」を使ってみると、
狙うターゲットを
大型のイトウに特化した釣りと
これ以上ないほどの
抜群の相性を誇っていたんです。

ある年は、年間約100本の
イトウのバイトを捉えて、
ただの一回も
バラシがなかったこともありました。

確かにイトウは、
北海道のニジマスや
本州のサクラマスに比べると
バレにくい魚ではありますが、
100打数100安打は
さすがに常識的な数字ではないでしょう。

もし、「スティンガーラックス」との
出逢いがなければ、
イトウ釣りに関して、
未だに知り得ていなかったであろうことが
たくさんあったはず。

そういう意味で言うと、
「スティンガーラックス」が
僕のイトウ釣り人生を
大きく変えてくれたことは
どうやら間違いなさそうです。

一方で、
「スティンガーラックス」は
非常に繊細な
ロッドでもありました。

大型イトウとの
ファイトを繰り返すうちに
どんどんと
"腰抜け"になってしまって…。

だから、イトウ釣りの
メインロッドになっていた期間は
およそ5シーズンほど。

まあ、サクラマス向けに
開発されたロッドを
僕が勝手に
イトウ向けに転用したわけだから、
もちろん、文句なんて言えるわけがない。

ただ、僕の釣り人生において
もっとも印象深いロッドだった割に、
主軸として活躍してくれた期間が
思いのほか短かったことは、
正直、寂しくはありましたけどね。

ただ、大型イトウのファイトに
耐えられるレベルでは
なくなってしまったものの、
今、「スティンガーラックス」が
自宅のインテリアに転身したかと言えば、
決してそんなことはありません。

支笏湖でブラウントラウトを狙う時や
屈斜路湖でニジマスを狙う時は
まだまだ現役として
活躍してくれています。

キャスト、ジャーク、
トゥイッチ、ファイト、、、

それを約10シーズンも
繰り返していたので、
グリップは、
こんなズルムケの状態に
なってしまいましたけど…(笑)

正直、現在のパフォーマンスは
ピーク時のおよそ半分程度まで
下がってはいますが、
それでも、まだまだ実戦で
使えるレベルなんですよね。

職人技を凝縮して
つくり込まれたロッドって、
年月が経っても
その魅力が簡単に色褪せることはない。

う~ん、これって、
当たり前のようで、
全然、当たり前のことじゃないんだよな~。

手持ちの「スティンガーラックス」が
"腰抜け"になってきた時、
すぐに新品を買い直したかったのは
言わずもがなのこと。

でもそのときには、
ufmウエダという会社は解散して
すでになくなっていたんです。

そこに関する僕の思いは、
こちらのコラムに書いているので
時間がある時に読んでもらいたいのですが、
ひとりのユーザーの身勝手な思いだと
自分自身でよくわかっていても、
"ウエダ解散"という事実は
なかなか真正面からは
受け止められなかったですね。

それくらい、
僕のフィッシングライフに
寄り添ってくれている存在でしたから。

でも、なくなってしまったものを
いつまでも追い求めることは
不毛なことでしかない。

そう自分に言い聞かせるところから、
「スティンガーラックス」の
後継ロッド探しがはじまりました。

ただ、パワー系のロッドじゃ
だめなんだということだけは、
自分なりにすいぶんと
エビデンスを蓄積していましたから
その方向性がブレることは
まったくありませんでした。

ただ……

さてさて、
話が長くなってきたので、
今日のところは
ここまでにしておきましょう。

次回は、
「スティンガーラックス」の
次に出逢うこととなった
イトウ向けロッドの話を
していこうと思います。

(次回に続く)

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