宗谷単独河川への転戦

天塩川を後にし、
宗谷地方を流れる目的の単独河川を目指す。

駐車スペースに到着したとき、
時計の針は15時50分を指していた。

日没まで正味1時間もないけれど、
言い方を換えれば、
魚の活性が上がる時間とも言えなくもない。

ただ、この日の夕刻は、
とかく激しい気象条件に見舞われがちな
秋の宗谷地方にしては、
風もほとんどなく非常に穏やか。

水面は鏡のようで、
パッと見、これといった生命感にも乏しく、
さほど期待感が高まることもなかった。

もともと、お世辞にも
魚影が濃いとは言えない流域でもあって、
明朝に向けた下見と割り切って
タックルをセットする。

ファーストポイント・・・

そこは、小さなインレットが絡むポイント。
わかりやすいイトウの着き場だが、
アキュラシーの高いキャストが
要求されるポイントでもある。

アンダーハンドキャストで
インレット際にあるエグレに向けて
ルアーをそろっとキャスト。

ぽっちょん・・・

ぬぅ~・・・

ラインにテンションをかけたときには
鈍重なイトウらしい生命感が
すでにロッドにまで伝わっていた。

ハードなアワセを入れ、
しっかりとフッキングする。

首振りのストロークは
午前中、天塩川で味わったそれとは
明らかに違う。

適度にイトウに自由を与えつつも、
少しずつプレッシャーをかける。

この時点で、
サイズは80cm前後とわかった。

有り余るパワーに
幾度もラインを引きずり出されるも、
5kg程度の魚なら、
こちらにもまだまだ余裕がある。

ほどなくして、無事、ランディング。
82cmのオスのイトウであった。

春とは違い、
これといった傷もない美しい魚体。

すでに、うっすらと
ピンク色の婚姻色が出始めていた。

河原がないから、
仕方なくネットの中で撮影。

川に立ちこんで、
時間をかけて体力を回復させてから、
ゆっくりとリリースすると
イトウは悠然と流れに帰っていった。

何とかまともなサイズのイトウを手にし、
満足感が漂う。

期待感が薄かったこともあり、
少しだけ、アドレナリンが出た。

この時点で、時刻はすでに16時20分。
少しずつ光量も乏しくなりつつあったので、
今日の釣りは終了・・・

と思ったのだけれど、
もう1カ所だけ、
近くにやっておきたいポイントがあったので、
数投だけしてみることにした。

そのポイントは、
一見しただけでは、何の変哲もない場所。

注意深く観察していないと、
見過ごしてしまうようなポイントだ。

しかし、そこは
ボトムマテリアルに急激な変化があって、
隠れたイトウの
フィーディングスポットになっている。

ローライトになる夕刻。
時間的にも、もしかしたらの期待があった。

ファーストキャスト・・・

異常なし。

セカンドキャスト・・・

異常なし。

サードキャスト・・・

異常なし。

数投のつもりだったけれど、
すでに、およそ10回くらいは
キャストしただろうか。

辺りがだいぶ暗くなってきたので、
あと数投したら帰ろうと決めた。

次のキャスト・・・

異常なし。

そう思って、
ルアーをピックアップしようとした瞬間、
後ろからものすごい勢いで
イトウが飛び出てくるのが視界に入った。

だが、ロッドティップからルアーまで
もう20cmくらいしか距離が無い。

「そのままの動作で
ルアーをピックアップしてしまえば、
間違いなくイトウはUターンしてしまう」

瞬時にそう判断し、
リールを巻く左手の動きを止めると同時に
一か八か、ロッドティップを水中に沈め
右手のロッド操作だけで
ルアーを動かし続けた。

ドッバーン!

その瞬間、目の前で水柱が上がった。

すぐに、何とかヒットにまで
漕ぎ着けられたらしいことはわかった。

だが、ひとつだけ大きな問題があった。

そう、ロッドティップから
わずか20cmほどの距離のところで
イトウが必死に首を振っているのである。

左手で必死にラインを送り出す。

ジジジ、ジジジ・・・

普段、ドラグが奏でる美しい音色とは
明らかに異なる不協和音ではあったけれど、
何とか、魚との距離を取ることに成功。

これで、完全に主導権を握った。

あとは、落ち着いて
ランディングに持ち込むだけであった。

93cmのオス。

目を瞠るほどのサイズではないけれど、
威風堂々として風格漂うイトウであった。

こちらも、ほんのりとピンク色の婚姻色が
体側に浮かんでいる。

ゆっくり写真撮影するには
全くもって光量が足りないので、
数カットだけ手早く撮影して、
リリース準備に入る。

あえてトレブルフックを使用して
イトウにルアーを呑まれないよう
工夫している効果もあり、
イトウはすぐに体力を回復。

ゆっくりと流れに帰っていった。

予想外ともいえる夕方の2本。
これで、明朝がさらに楽しみになった。

次の日は、天候悪化の予報もあり、
朝、正味2時間の勝負だ。

イトウとつながることができた
心地よい余韻に浸りながら、
大きな期待を胸に抱きつつ、
この日の宿まで車を走らせた。

(次の日に続く・・・)

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