翌朝、
窓の外を覗くと生憎の雨模様。
それも結構な勢いで、
窓に雨粒が吹き付けていた。
雪に変わりそうな
冷たい雨でなかったのが
せめてもの救い。
それでも、
やっぱりテンションは
なかなか上がってこない。
でもさ、
せっかく早起きしたんだから、
宿でゴロゴロしているのも
なんだかもったいないじゃん。
そんなふうに
少しだけ前向きな
気持ちになったのをきっかけとして、
ようやく重い腰を上げ、
最小限の荷物だけを持って部屋を出た。
湖に着いても
天候に大きな変化はなかった。
意識して
風裏のポイントを選んだのだけれど、
時折、爆風が中島を回り込んで
一気に吹き返してくる。
うわっ、
こりゃ長居は無用だわ。
湖畔に立つと
ほどなくしてそう悟った。
ただし、
枯れ葉が一ヶ所に吹き付けられ
ずっと対流しているのは
決して悪い現象ではない。
なぜなら、
そこには枯れ葉だけではなく、
ベイトが集まっている可能性をも
示唆してくれるからだ。
そうそう、
ロングキャストできる
装備を持ち合わせていないとなれば
なおさらのこと。
狙いを
枯れ葉まわりに絞り込み
そこから
ランガンを開始することにした。
さすがに3日間連続の
一撃必殺とはならなかったものの、
この日もわりと早い段階で
魚からの反応を得ることに成功。
ファーストバイトは、
この季節にしては
ずいぶんと明るい色をした
アメマスだった。
見た目の雰囲気では、
産卵とは無関係な個体のよう。
40cm台半ばと
サイズダウンはしたものの、
これはこれで
うれしい魚である。
そして
ラッキーなことに、
セカンドバイトは
早々に訪れることとなった。
今度は、
成熟した立派なアメマス。
60cmには
やや届かないくらいのサイズだったが
こちらはこちらで
いかにも秋鱒っぽい雰囲気がいい。
もちろん、
ライトタックルで対峙する相手としては
かなり手ごわかったけれど、
たまにはこんなシチュエーションも
悪くはないもんだ。
アメマスを
2本キャッチしたところで
カラダ全体が冷えてきて、
心の声が「もう帰ろうよ」と……。
もうこれ以上
スコアを追加しなきゃいけない
理由もないので、
これにて釣りは終了。
今、宿に戻れば、
まだ、朝風呂の時間に間に合う。
そうそう、
あとはもう
釣りより温泉だよな(笑)
出発前のオマケ釣行は
こうして終了。
カラダは冷えちゃったけど、
時間の使い方としては
うまくいったほうだろう。
なんたって、
小渓流用のタックルしか
持ち合わせていない状態下で、
立派なアメマスに出逢えたんだから
文句なんてあるはずがない。
ニジマス?
いやいや、
ラインが全部出されちゃうから
今回はやめておきます(笑)
(おしまい)