2023 釣り納め DAY2前編

翌朝、
天気予報はピタリと的中。

早朝、弟子屈市街地から
屈斜路湖へと続く
国道沿いの森は
ひっそりと静寂に包まれていた。

どうせ魚とのコンタクトを
簡単に果たせそうにないのなら、
最低限、他のアングラーと
バッティングしないことを最優先に
ポイントを選択することにしよう。

そう考えていたので、
朝一にエントリーする
ポイントの選択に
いっさいの迷いはなかったのだが、、、

車を停め、
そそくさと準備を済ませたら、
湖畔に向け
ゆっくりと歩を進める。

まだ薄暗さの残る森を抜け
眼前の視界が一気に開けると、
波音のない穏やかな湖面が
辺り一面に広がっていた。

それから
さして時を置くことなく、
待ちに待った
日の出時刻を迎えることに。

けあらし、
ダイヤモンドダスト、
そしてサンピラー……

魚の岸寄りが期待しづらい
静かな朝ほど、
美しい景色を拝めるのは
なんとも皮肉なこと。

でも、
景色は地味、
そして魚も釣れない……
よりはよっぽどマシだろう。

厳寒の湖に立つ強い意思を持った
変態アングラーでもなければ、
この素晴らしい景色を
拝むことなどできないのだから。

そして、
逆光のこの時間帯、
氷の造形は
より輝きを増すのだ。

ここに持参した熱湯を
上からそっと注ぐことにより、
かの有名な
ジュエリーアイスが完成することを
私も当然知ってはいる。

でも、
その時々に出逢った
リアルを記録として残したい。
常にそう考える私は、
自然の造形美に
あえて手を加え
作品化しようなどとは思わない。

もしも、
芸術家がこの場所で
作品づくりをしたいのなら、
氷の上からお湯をジャーっとかけて
黒っぽい汚れを溶かしてから
写真撮影するのも
もちろんアリだとは思う。

でも、
本当は手を加えた"作品"なのに、
それをまるでリアルであるかのように
発信するのは絶対に違う。

だって、
氷にまぶされた
黒っぽい砂塵を含むすべてが
リアルなんだ。

それをキレイに見せようと
人力で取り除いたら、
その時点でもはや
自然の造形美ではないのだからね。

ありゃ、
新年早々、
また余計なことを
書いちゃったかな……(苦笑)

閑話休題、
カメラをバックにしまい、
静寂に包まれた湖面に向かって
一応ルアーを投げてはみた。

がしかし、
案の定
何も反応は帰ってこない。

そうこうしているうちに
まさか来ないであろうと考えていた
他のアングラーが
同じポイントに入ってきた。

せめて
「おはようございます」などと
声をかけてくれれば、
大したストレスにならないのだが、、、

けれども、
無言のまま私たちのそばを
ドシャドシャと
ウェーディングしていかれたら
そりゃあ、興ざめだよ。

ただでさえ静かな湖面、
そこをドシャドシャとやられたら、
こちらがポイントを譲って帰るほか
手がなくなっちゃうのよね。

う~ん、
何でこうなっちゃうんだろう……
これが嫌だから
オサッペにはあえて
行かないようにしているのに、
別のポイントでもこれだもん・・・

こういった
愚行さえなければ、
屈斜路湖は本当に
最高の釣り場なんだけど、、、

そんなこんな、
結局、魚は釣れない、
心はモヤモヤ……。

この日の朝は
美しい景色を拝めたことだけが
せめてもの救いだったかな。

まあ朝から
こんな調子だったので、
「今年の釣りはこれで終了か」という
なんとも気の抜けた空気感。

そんなネガティブな
雰囲気があったのは、
偽りのない
事実だったかもしれない。

でもね、
この日は11時過ぎから
風が吹き出すんだよ。

だから、
あきらめるのは
まだ早いじゃないか。

そうそう、
あきらめた瞬間に
すべては終わるんだ。

今、あきらめるなんて
あまりにもったいじゃないか。
アンタさ、
あと何年このフィールドに
自分の足で立てると思ってるんだ!

一方では
懸命に折れかけたメンタルを
叱咤激励しようとする
そんな心の声。

確かにそうだな……
この時ばかりは、
素直にそう思えた。

ヨシ、
一旦ここは立て直しを図り、
午後のラストチャンスに
一発賭けてみることにするか。

ギリギリのところで
踏みとどまったメンタル。

そのあきらめない心が、
最後の最後に
望外な幸運を呼び込むのだから
鱒釣りは本当に面白い。

うんうん、
これだから湖の釣りは
やっぱり
やめられないよネっ!

(次回につづく)

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