2021 釣り納め DAY2

前回から続く)

翌朝、
宿の玄関を出ると、
風向きは北西方向からと
変わっていた。

しかも、
結構な勢いで
吹いているではないか。

この風向き、
この強風ならば、
ポイントは
あそこでよさそう。

この朝、
エントリーするポイントは
すぐに決まった。

ポイントに到着すると、
運のいいことに
先客の姿はなし。

これ幸いとばかりに、
鱒の回遊コースをかすめる
最も期待値の高い場所に
スタンスを取る。

まだ日の出までには
少しだけ時間があったが、
東の空が焼けてきて
景色が実に美しい。

ただ、
まだこれでも序の口。

実際には、
もっともっと
キレイな朝焼けを
拝める日もあるのだ。

それでも、
こんな見事な景色を背景にして
釣り納めができるのは、
ここ屈斜路湖ならではのこと。

なので、
最上級の景色を
さわり程度に
観ることができただけでも
十分に満足なのである。

しかしながら、
この朝、
魚からの反応が訪れることは
ただの一度もなかった。

波も適度にあったし、
手も足も出ないというような
最悪の条件だったわけでもない。
……にもかかわらず、だ。

う~ん、
やっぱり今年も厳しい!
いや、これは
昨年以上の厳しさだ!!

そんな
現実を突きつけられ、
この日は、
意気消沈の朝と
なってしまったのである。

こんな時こそ、
気分転換が大事。

ひとまずウェーダーを脱ぎ、
川湯温泉近くに店を構える
「摩周そば道楽」さんにお邪魔して
年越しそばをいただくことに。

注文したのは、
お気に入りの「いなかそば」。

ここのお蕎麦は、
とっても風味豊かで
いつ来ても
幸せな気持ちになれるんだよなあ~。

そして
迎えた午後の部、
風向きは
北西から北へと変わっていた。

さらに
夕方にかけて、
その強さを
どんどんと増していくではないか。

あらあら、
魚は回ってきそうだけど、
その前に人間のほうが
ゲームオーバーになっちゃいそう。

そんな
過酷な条件の中での釣りを
強いられることに
なってしまったのである。

湖畔に立っているだけでも
体感温度が
どんどんと下がっていく中、
集中を切らすことなく
キープキャスティング。

そんな動作を
ひたすら繰り返していると、
不意をついて
遂にその瞬間が訪れたのである。

ヒットした瞬間は、
その直線的なファイトから、
間違いなく
本命のニジマスに違いない、
そんな感触を持っていた。

ところが、
どうも様子がおかしい。

本当に
ヒットした魚がニジマスなら、
スーパージャンプに向けた
助走に入る動作を必ずやるはず。

だが、
手元に伝わる感触からは
そんな様子を
うかがうことができなかったのだ。

そして、
魚の姿が見えた瞬間、
すべての謎が
一瞬にして解けることとなる。

そう、
良型のアメマスの口に
フックが
外掛かりしていたのだった。

あちゃ~、
これじゃあただの
ぬかよろこびじゃないか。

一瞬だけ、
そうは思ったのだけれど、
せっかくの鱒のバイトを
無駄にしてはいけない。

すぐにそう思い直し、
その後も真面目にファイト。

そして、
この遠征初となる
アブラビレを拝む瞬間が
ようやく訪れたのであった。

サイズは、
50cmを少し超えた程度。

ここ屈斜路湖では、
極めて標準的な雰囲気を持つ
アメマスであった。

まあそれでも、
2日目の午後にして
これが初のキャッチ。

だから、
普段、屈斜路湖で
アメマスをキャッチした時とは
まったく異なる
感情が湧き上がってきたのは
確かだったように思う。

しかも、
これほどの大苦戦を
強いられている中だっただけに
たかがアメマス、
されどアメマス。

アメマスには、
とっても失礼な言い方に
なってしまうけれども、
これが当時の
正直な気持ちだったかな……。

貴重な一尾となった
アメマスをリリースした後、
まだ日暮れまで時間があったので
キャストを継続。

爆風吹き荒れる中、
キャストを繰り返していると、
たった一度だけ
ロッドティップに違和感が、、、

だが、その時は
ルアーがエビになって戻ってきて
その後は
いっさい音沙汰ナシ。

いや~、厳しい!
本当に今年は厳しすぎる!!

こうして
2日目の釣りも終了。

この時点で、
残るチャンスは
とうとう最終日の朝だけに
なってしまったのである。

これまで
年末の屈斜路湖に
15年以上も通い続け、
ニジマスをキャッチできずに
終わったことなんて
ただの一度もなかった。

だが、
そんな最悪の事態が
もうすぐそこまで迫っている。

しかも、
翌朝は風も吹かず
穏やかで寒い朝になる予報。

さてさて、
ついにここで
万事休すとなってしまうのか!?

いやいや、
最後の最後まで
あきらめなければ、
思いもよらない
出逢いの瞬間が訪れることだって
当然ありうる。

やっぱそれこそが
釣りの醍醐味、なんだよなー!

(次回につづく)

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