この夏、JR宗谷本線で
「風っこそうや」号が運行されています。
「風っこそうや」は
乗客が沿線の景色を楽しむための
新しい観光列車。
窓ガラスをはずし、
風を感じることができる車両で
運行されています。
なぜこの路線に、
夏だけでも観光列車を
走らせることが
できないのだろうか
かつて、出張などで
JR宗谷本線を利用していた時、
そして、天塩川にウェーディングして、
通りかかる列車を見つめている時、
いつも感じていたこと。
機会があるごとに声を上げ続けた
地域の人たちの熱意が、
そして、ちっぽけではあるけれど
私自身の思いもまた、
やっとひとつの形になったことは
実に感慨深いものです。
週末、道北地方を訪れたのも、
実は、「風っこそうや」運行初日の様子を
自分の目で確かめたかったから。
生憎の悪天候で
27日は運休になってしまったけれど、
28日は、予定どおり運行。
満員の乗客で
車内は活気に満ち溢れていました。
「風っこそうや」が幌延駅を出発する際、
トナカイをモチーフとした
幌延町のキャラクター「ホロッピー」が
手を振って見送ると
乗客の笑顔がはじけていましたね。
それはそれは、
本当に素敵な光景だったと思います。
また、沿線の踏切や高架橋には、
何とかして「風っこそうや」の雄姿を
カメラにおさめようと
たくさんの「てっちゃん」が
集まっていました。
普段はひと気の少ない地域に
こうやって道内外から
たくさんの人たちが集まってくるのも
「風っこそうや効果」の
ひとつと言えるでしょう。
地域づくりの視点で見れば、
「風っこそうや」の運行によって
JR宗谷本線の沿線地域に、
どれだけの経済効果が
もたらされるのかというところに
焦点が集まるのも無理はないところ。
けれども、ひとまずは、
この地域に縁遠かった人々の
笑顔があふれる瞬間を創出できたことに
とても大きな意味があるのではないかと
私は考えています。
乗客として眺める
天塩川の雄大な流れ。
そして、見物人として眺める
「風っこそうや」の雄姿。
そのどちらも、
魅力的でないはずがありません。
さらにそこに地元の人たちの
あたたかい"おもてなし"が加わることで
旅の魅力は、ワンランクもツーランクも
アップすること間違いなしですね。
ぱっと見た感じでは、
乗客の多くは、
熱狂的な鉄道ファンで
構成されていたように感じました。
けれど、本当は、
コアな鉄道ファンだけではなく、
広く一般の方にも
楽しんでもらいたい企画だと
思うのですよね。
もちろん、鉄道ファン大歓迎。
だけど、それだけじゃもったいない。
鉄道ファンじゃなくても
国籍や年齢、性別を問わず、
生涯記憶に残るローカル線の旅が
楽しめるんじゃないかと
思ったりするわけです。
そういう意味では、
来年は、是非、「風っこそうや」の
運行本数を増やしてもらって
ひとりでも多くの方に
乗車できるチャンスを
つくってもらいたいなと思います。
路線の存廃問題が
クローズアップされる中、
未来に向けた鉄道路線のあり方を
ひとつ、例示的に示せたことにも
非常に大きな意味が
あるのではないでしょうか。
もちろん、JR北海道が
地方路線存続の条件として掲げ、
さらに国も、
財政的支援を行う大前提としている
「地元の費用負担」を意識した
企画であるという側面も
見え隠れする部分はあるのでしょう。
けれど、そういった
大人の事情的な側面を加味したとしても、
「風っこそうや」の運行は
いろいろな意味で、
良いニュースだったと
個人的には思っています。
最終的に、
道北地域を訪れる人たちも
宗谷・上川北部地域に住まう人たちも
みんなが笑顔になれればいい。
さまざまなわだかまりを乗り越えて、
"関係する人々の想い"のベクトルが
「風っこそうや」を通じて
ひとつの方向を向いたことは、
とても画期的な出来事のように
思えてなりません。
もし、「風っこそうや」が
来年以降も継続して運行することになれば、
是非、皆さんも乗車してみてください。
乗車の際は、列車が天塩川沿いを走る
「稚内⇔音威子府」ルートを選択することを
おススメしておこうと思います。
まあ、このルート選択は、
天塩川をこよなく愛する
ひとりのアングラーの
独り言みたいなものなんですけどね(笑)