次に訪れたのは、
勝手知ったるいつもの川。
本当は新規開拓に
いそしみたいところだったのだけれど、
雨上がりのタイミングで
それをやるのは
さすがにリスクが大きすぎる。
ノーリスクで
渓を歩くのは不可能でも、
やっぱり
安全第一が基本中の基本。
もう体は若くないわけだし、
何より遊びで
誰かに迷惑をかけるのは
本意ではないのだから……。
ただそれでも、
いつもと同じことを
漠然と繰り返すだけじゃ
流石に味気がなさ過ぎるだろう。
そう考えて、
いつもとは少しだけ
入渓する流域を
変えてみることに。
そうすることにより、
マンネリ化せず
フレッシュな気持ちで
釣りを楽しむことができるはず。
そんなふうに
考えたのであった。
そして
その判断は
思いがけず吉と出た。
エッ!?
この川って、
こんなに多くのオショロコマを
ストックしていたの?
思わずそんな独り言を
つぶやいてしまうほど、
そこには
多くの魚影があったのである。
そこは、
苔むした
雰囲気抜群の小渓。
決して規模は大きくないけれど、
水・石・地形・周囲の植生と、
魚を育む条件が
これでもかと
揃っているように見えた。
もちろん、
本当のところは
魚たちに
聞いてみなければわからない。
ただ、長年にわたり
多くの渓を歩き続けてきた
オッサンアングラーとしての直感は、
どうやら的を射ていたようだった。
何より、
果敢にバイトしてくる
オショロコマの
コンディションが素晴らしい。
こんな
オレンジ色が
鮮やかな魚とか、、、
こんな
艶めかしさが
ひと際印象的な魚とか、、、
また、
それなりに先行者の痕跡が
残されているにもかかわらず、
サイズのいい魚が
次々と飛び出してくることにも
少し驚かされた。
中には
こんな尺近い個体も混じってくる。
う~ん、
こんなところに
オショロコマの
パラダイスが存在したのか……。
艶めかしい
ビジュアルを誇る
大型オショロコマと出逢うたびに
思わずそう唸ってしまった。
最後の一尾は、
各ヒレを縁取る「白」が、
ツヤツヤとしていて
ひと際目立つ個体であった。
この発色に
なるということは、
よほど
健康状態がいいのだろう。
真下からの
アングルで撮っても
活き活きとした感じが
パリッと伝わってくるし、、、
このアングルなんかは、
まるで今をときめく
旬のモデルさんを
撮影しているかのような、
玄人っぽい
写りになっているではないか。
いや~、
こんな近くに
知られざるオショロコマの
パラダイスがあったとは
それこそ驚きでしかなかった。
まあ、知らなかったのは
自分だけであって、
渓に多くの痕跡を残していた
エサ釣り師たちの間では、
メジャーなフィールドなのかも
しれないけれど……。
おそらく
身近な環境の中にも、
ただ自分が知らないだけで
素晴らしいフィールドは
まだまだたくさん
残されているのだろう。
確かにSNSは
便利なツールではあるけれど、
最後に頼りになるのは
やっぱり自らの想像力と足。
あらためて
そんな原点の大事さが
ドスンと胸に突き刺さった
今回の釣行と
なったんじゃないのかな。